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健全黒字経営目指します!

今そのスイッチ入るとこです?

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第18話 今そのスイッチ入るとこです?



「…まず、俺の仕事内容についてですね。」

 ん?なんか一瞬ポケットが温かくなった?
 もしかしてさっき契約に絡めた、今から話す"仕事内容"ってキーワードに契約自動発動したとか?
 だとしたら音声認識かー。
 いやあ、魔法すげえな。スマート家電ならぬスマート魔法。んんっ、むやみやたら新技術はスマートつけちゃうオッさんになってしまったぜ…。いかん、いかん、オッさんりょく封印!

「実は仕事でダンジョンを作りに来ています。」

「だんじょん…?遺跡にだんじょんとか言うのを作る仕事って事か?」

 ん?ダンジョン通じない…?
 え?言語チートさん?仕事放棄?

 あっ、もしかして…
 
 あくまでも推測だが、『ダンジョン』はこちらでは訳せない言葉ではないだろうか。さっきの土足もそうだが、現地にない言葉や文化だと言語チートさんの意訳が働かないのかもしれない。
 
 ものは試しか。

「レオさんレオさん、スマートフォンってわかります?携帯電話の事なんですけど。」

 絶対訳されない筈のスマフォと、一部意訳できそうな携帯電話。

「すまー…とふぉん??携帯…でんわ??聞いた事はないが、持ち運び出来る魔道具か何かか?」

 ビンゴ。

 言語チートさん疑ってすまんかったな…。ちゃんと仕事してました。
 さて、言語チートさんの実力がわかった事だし…、スマフォてきと~に誤魔化すか!まだレオさんにスマフォは早いぜ。携帯はじめるならキッズ携帯からヨ☆(※こちらにありません)

「…そうなんです。よく仕事で使っている通信用魔道具なんですが、こちらではあまり馴染みないかも知れないと思いまして…。」

「馴染みないと言うか、通信の魔道具は持ち運ぶにはかなり大きいぞ?携帯できる大きさのモノは聞いた事ないな。…ああ、だから口外禁止か。納得だ。」

「ははは、まあそれも込みで。」

 おっと薮を突きすぎた。またおかしな誤解が生まれそうだ。軌道修正、軌道修正っと。

「あ、最初ダンジョンの話したんですけど、こちらも馴染みがないようなので簡単に説明しますね。」

「おう、頼む。」

「ええと、ダンジョンとはですね。…えー、迷宮って言うんですかね…、迷路だったり階層があったりしてですね…、あとお宝とか…あるみたいな…、」

 あっれぇ?!ダンジョンは、ダンジョンってどう説明するヤツ?!やっべ、ほいほい箱庭で作りまくった割にダンジョンって正しくは何かわかんないかも…

 俺のしどろもどろっぷりにレオさんもこれには困惑顔である…。

ピローン

 タブレットに通知!これは神の予感!!
 勿論、秒でメッセージ既読。

『イケオジ: 検索オススメです(スマイルの絵文字)』

 神のお告げきたー!!
 です、神!!
 で神パワーですよ!!

『rinrin村長: 神に感謝を捧げます。』

 今度はスマフォを拾い上げ、検索アプリに"ダンジョン"を早打ちする。俺のベル打ち入力が火を噴くぜ!タタタターン!!


ダンジョン

 ダンジョンマスターによりダンジョンコアが設置された領域を指す。
 地下を階層化した迷宮や、複雑な構造をもつ建造物群、自然洞窟など形態は様々である。またその内部構成はダンジョンマスターの一存により成長、変化する事もある。
 ダンジョンの存在意義はダンジョン制作者(=ダンジョンマスター)の目的により変わるが、大原則であるダンジョンコアが設置されている状態が続く限りダンジョンの存在は消滅しない。
 
 一般的なダンジョンの仕様は、侵入者に試練を課し見返りに報酬を与えるタイプが多い。過去珍しいものでは侵入者を対象とした実験施設タイプがある。

 一見報酬を与えるダンジョン側に利は無いように見えるが、ダンジョンコアは侵入者の生命力を動力にしている為、報酬獲得などのプラス要素が外部に拡散されれば動力源増加に繋がり更なる発展が期待できる。

※ダンジョンコアについてはリンクを参照


 よし、いける。ある程度原文でもいける。

「あー、コホン。仕切り直します。ダンジョンについてですが…、」

 実験施設ネタだけ抜かしてほぼ原文をいい感じに話しました!あ、流石にダンジョンコアの生命力吸い取るネタはちょっと心象悪いから、活気があると儲かる事にぼかした。しかし何が儲かるかは言った俺もわからん…。後で考えよ…。

「へえ、ダンジョンってそう言うモンなのか。報酬が見返りにあるってのが面白い。遺跡とは似ているようで違うんだな。」

「ええ、遺跡とは違うと思います。俺が携わる予定のダンジョンは、来た皆さんが新しい事にワクワクしながら冒険できる、そんな場所です。」

 ーーーそう、俺のダンジョンを色々な人に楽しんで貰いたい。そんな場所をこの世界に作りにきた。

「冒険…、新しい事…、この腹ん中から湧いてくる落ち着かないような弾けそうな気持ち、…何なんだろうな?」

 レオさんは胡座をかいた足の間で手を開いたり閉じたりしながらボソリと呟いた。顔こそは俯いてはいるが、その目はまるで期待に走り出す一歩手前の子供のように輝いている。



「俺とダンジョン仕事、一緒にやりませんか?」


 
 ゆっくりと顔があがり視線があう。

「俺も一緒に…?」

「護衛兼雑用でよかったら、ですけどね。」

 軽いノリで締めてお誘いしてみる。
 (洗脳で)仲間になったとは言え、実際はレオさんも傭兵仕事の都合もあるだろうから強制はできない。
 でももし引き受けてくれるなら、マーシナリーであるレオさんは相当心強い味方になる。本来なら傭兵マーシナリー斡旋所なりにわざわざ出向いて探さなきゃいけなかった、ある程度信頼を置けて武力に自信がある人材。(エロい事をしでかすのを抜きにしたら)レオさんは理想的なんだ。

「ははっ、護衛も雑用も得意分野だ。任せとけ!…ああ、そうだな。俺はそのダンジョンにもコウにも興味がある。もっと知りたいしもっと深く関わりたい。だから、コウと正式契約を結ぼう。」

 ニッと男臭い笑みを浮かべ、手を差し出してきた。俺はその手を信頼と共に握り返した。

「よろしくお願いします!」

「おう、よろしく。」



 と、まあ、いい感じでお送りしてましたが!

 なんでまた俺は床に転がされてるのかな…?!

「マーシナリーの正式契約もいいが、俺はコウとは身体カラダの契約してえなあ。嫁いだ身で複数伴侶の申し出は難しいだろうから愛人枠でいいぜ?旦那も許してくれるだろ?」

 最近デフォになりつつある頭上腕拘束に、キス寸前の顔の距離。俺は怒ってもいいレベル。

身体カラダの契約とか愛人とかどこの田舎スケベオヤジじゃーーーッ!!アホかーーーッ!!あと旦那ってなんだよ!そんなのいねえわ!!!」
 
 恋人いねえわ、クソが!!

「は?何、マジで?旦那もいねえのにそんなエロスキル獲得してんのか?!…もしかして性奴隷…(ゴクリ)」

「性奴隷でもねえええわッ!ダンジョン仕事に来たサラリーマンだっつーの!!」

「さらりぃま…?ダンジョンへ出張のしょうとかそう言うのか?コウの国の言葉がわからなくてすまんな…。」

 ムダに分厚い言語の壁ぇ…!

「しょうって、娼婦?!ちっっがーう!!サラリーマンはお給料貰って会社で働く人って意味ぃ!!エッチな言葉じゃありません!!」

ぜぇーはー、ぜぇーはー、

 なんなの、この勘違い負のループ…
 ツッコミがツッコミきれなくスリップ事故起こしとりますが…?

「んー、まあ、いいか。」

「は?何が?!」

 おい、今何を諦めた?言語理解か?エロい事か?つーか、いい加減エロい事諦めろ!今、仕事でマーシナリー契約するとこですからね?!
 
 レオさんの顔がまた近づく。

「入れねえから、また少し相手してくれや。」

 耳元でエロボイスが不穏ワードを囁いて、ベロリとそのまま舐め上げた。

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