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僕は生まれてすぐに引き取られた。
父は幸村コーポレーションの社長、幸村浩司。母は愛人の花城雪。
僕の本当の母さんは、親友だった今の母さんを裏切って父と浮気をしていたらしい。
僕はその愛人の母と父の間に生まれた子だった。
母の顔は覚えてない。
僕を生む時に亡くなったらしくて、僕の誕生日は生まれた瞬間から母の命日になった。
母にあったことも、母と話したこともない僕は、当然のように今の母さんを母親だと信じていた。
心の底から母さんは僕の母さんだと思っていたし、僕は幸村コーポレーションの正当な後継者だと思っていた。
僕が愛人の子だなんて考えたこともなかった。
引き取られてすぐは、愛人の子なのに母さんはすごく僕によくしてくれた。
今思い返せば、自分を裏切った親友の子を育てることは、どれだけ母さんを苦しめたのだろう。
子どもが出来ず、親戚からさんざん早く子供を産め。と攻められていたのに、愛人は簡単に身ごもった。
唯一の味方のはずの父さんが裏切ったことを知った母さんは想像できないくらいに苦しんだはずなのに、子供に罪はない。と事実を僕に伝えることもなく、あっさり特別養子援組をした。
親友に似ている愛人の子を可愛がる父さんになにもいわず、母さんは、僕を実の子供のように可愛がってくれた。
そして何より、親戚からの心無い言葉を僕に聞かせることは一度だってなかった。
でも、僕が二歳になった冬、弟が生まれた。
それまで僕を可愛がってくれていた母さんは、何もいわずに僕を屋敷の離れへ移り住ませた。
僕の出生は結局その離れにいた使用人がすべて教えてくれた。
母にはそれから一度だけ会った。
庭で散歩しているときに、小さな子に「お兄ちゃんだあれ?」と話しかけられた。
迷い込んだのか?と思い、手を引いて歩き出そうとしたとき、急に腕を掴まれた。
「この子にさわらないで!!!」
断末魔のような母叫び声で、やっとこの子が僕の弟なのだと知った。
それが最後に聞いた母の声だった。
それから庭に散歩にいっても、誰にも会えない。
多分母が庭に近づけるなとでも言ったのだろう。
そのせいか、弟には数える位しか会っていない。
それが母の目的だったのかもしれないけど、彼は僕に見向きもしなかった。
庭で会ったときも、一度だけ話しかけられた言葉は、「だあれ?」だった。
僕は弟の顔も名前も知っているけど、多分彼は僕の顔も名前も知らない。
僕はその程度の人間だから。
僕の不幸人生はここらでピークを迎え、
不幸メーターは成長するたびにどんどんどんどん急降下を更新している。
愛人の子だからって使用人にいじめられることもなく、本当に良くしてくれた。
使用人をしている悠美さんの息子の悠汰とも仲良くなったし、今では親友レベルだ。
そして末期の末、自分はもしかして幸村社長の息子ではないのかもしれない。これは幻想なのでは?と思い初めたのが増せていた7歳。そこから早10年。僕は立派に平凡にちょっと体の弱い系男子に育っていた。
今は悠汰と一緒に全寮制の金持ち学校でそれなりに元気に高校二年生をやっている。
悠汰とは長い付き合いな上に、今のところクラス変えで一度も違うクラスになったことがない。
僕と悠汰の仲、最強説が浮上した。
そして部屋も同室だ。
これは本格的に運命の糸で結ばれているのかもしれない。なんて。
そういう生い立ちだからか金銭感覚も、舌も普通の人並みで、最近はまっているのはマッ○の三角チョコ○イだ。
ちなみに僕はホワイトチョコより普通のチョコのほうがすき派。
悠汰はかなりの甘党だからか、ホワイトチョコ派らしい。
父は幸村コーポレーションの社長、幸村浩司。母は愛人の花城雪。
僕の本当の母さんは、親友だった今の母さんを裏切って父と浮気をしていたらしい。
僕はその愛人の母と父の間に生まれた子だった。
母の顔は覚えてない。
僕を生む時に亡くなったらしくて、僕の誕生日は生まれた瞬間から母の命日になった。
母にあったことも、母と話したこともない僕は、当然のように今の母さんを母親だと信じていた。
心の底から母さんは僕の母さんだと思っていたし、僕は幸村コーポレーションの正当な後継者だと思っていた。
僕が愛人の子だなんて考えたこともなかった。
引き取られてすぐは、愛人の子なのに母さんはすごく僕によくしてくれた。
今思い返せば、自分を裏切った親友の子を育てることは、どれだけ母さんを苦しめたのだろう。
子どもが出来ず、親戚からさんざん早く子供を産め。と攻められていたのに、愛人は簡単に身ごもった。
唯一の味方のはずの父さんが裏切ったことを知った母さんは想像できないくらいに苦しんだはずなのに、子供に罪はない。と事実を僕に伝えることもなく、あっさり特別養子援組をした。
親友に似ている愛人の子を可愛がる父さんになにもいわず、母さんは、僕を実の子供のように可愛がってくれた。
そして何より、親戚からの心無い言葉を僕に聞かせることは一度だってなかった。
でも、僕が二歳になった冬、弟が生まれた。
それまで僕を可愛がってくれていた母さんは、何もいわずに僕を屋敷の離れへ移り住ませた。
僕の出生は結局その離れにいた使用人がすべて教えてくれた。
母にはそれから一度だけ会った。
庭で散歩しているときに、小さな子に「お兄ちゃんだあれ?」と話しかけられた。
迷い込んだのか?と思い、手を引いて歩き出そうとしたとき、急に腕を掴まれた。
「この子にさわらないで!!!」
断末魔のような母叫び声で、やっとこの子が僕の弟なのだと知った。
それが最後に聞いた母の声だった。
それから庭に散歩にいっても、誰にも会えない。
多分母が庭に近づけるなとでも言ったのだろう。
そのせいか、弟には数える位しか会っていない。
それが母の目的だったのかもしれないけど、彼は僕に見向きもしなかった。
庭で会ったときも、一度だけ話しかけられた言葉は、「だあれ?」だった。
僕は弟の顔も名前も知っているけど、多分彼は僕の顔も名前も知らない。
僕はその程度の人間だから。
僕の不幸人生はここらでピークを迎え、
不幸メーターは成長するたびにどんどんどんどん急降下を更新している。
愛人の子だからって使用人にいじめられることもなく、本当に良くしてくれた。
使用人をしている悠美さんの息子の悠汰とも仲良くなったし、今では親友レベルだ。
そして末期の末、自分はもしかして幸村社長の息子ではないのかもしれない。これは幻想なのでは?と思い初めたのが増せていた7歳。そこから早10年。僕は立派に平凡にちょっと体の弱い系男子に育っていた。
今は悠汰と一緒に全寮制の金持ち学校でそれなりに元気に高校二年生をやっている。
悠汰とは長い付き合いな上に、今のところクラス変えで一度も違うクラスになったことがない。
僕と悠汰の仲、最強説が浮上した。
そして部屋も同室だ。
これは本格的に運命の糸で結ばれているのかもしれない。なんて。
そういう生い立ちだからか金銭感覚も、舌も普通の人並みで、最近はまっているのはマッ○の三角チョコ○イだ。
ちなみに僕はホワイトチョコより普通のチョコのほうがすき派。
悠汰はかなりの甘党だからか、ホワイトチョコ派らしい。
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