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1章 冒険の幕開け

7話 新たなパーティメンバー

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昨夜グランに言われた言葉がずっと頭の中に残っていだ正義、今はダンジョンに向かってハルディアの中央通りを歩いていた。

「気になるなー」

「?なんのこと?」

「いやー、昨夜のあのSPスキルのことだよ」

昨日一緒に話ししてたじゃん?とミスティアに言うと、

「あーそれは団長がセイギくんにやる気を出させるために言ったんじゃない?」

「でもなーなん言い方が結構本気だったからなー"いつかお前にもSPスキルが出てくるかもな"て言う感じで」

正義はグランの言い方を真似る

「ププッなんか似てる」

予想以上に似ていたのか、思わず吹き出したミスティア
まだこの世界に来て2日しか経っていないが、
もう何日も此処にいるかのようにこの世界に馴染めている。

「今日は中界まで行くのか?」

「うんそのつもりだけど……また後界の魔獣が出てくるかもしれないけど」

「 まぁそんなのは俺が全部蹴散らしてやるぜ!」

正義は自信満々に胸を張って
言った

「前は死にかけたけど……」

「うっ…それを言われると弱る
でも!その時俺はGランクだったし!」

「じゃあ今回は頼りにしてるね!」

「おう!」

楽しげな話をしている内に、ダンジョン塔アクリエルの入り口まで来た。
今回二度目だがその中からは魔獣の気配がかなりする

「腕がなるぜ!」

「それは上級冒険者が言う言葉だよ……」

「俺の気持ちは上級冒険者には負けねぇ!」

「じゃあ行こうか」

正義達はアクリエルの一界層
初心の魔、前界に入った

「おぉー!また来たぜ!よーしどんどん倒して行くぞ!」

正義はそう叫ぶと漆黒の聖剣を抜いて
奥へ走り進んで行く、
ミスティアは呆れた顔でその後ろについて行った

「順調順調!この調子だったら一気に二界層いけんじゃね?」

「そんなに油断してるとやられちゃうわよ」

「おっと!危ね」

ーここでまたあのスキルが使えれば!

とそんなことを考えたが
やはり中々上手くはいかない

「あぁー!出せねぇ!あれはマグレだったのか?」

「そんなことないよ!あれはマグレなんかじゃ!」

ーミスティアってほんとにいいやつ!かわいいプラス性格いいでさぞかしモテるんだろな

「ありがとなミスティア!元気が出たぜ!」

急に力が湧いてくるのがわかった
今ならどんな魔獣が来ても倒せそうだ
とそんなことを思っていたが

「ヤバいな…この状況またピンチ!」

「そんな呑気なこと言ってる暇ないよ!セイギくん!」

今正義達はオークに囲まれていた
あのトラウマが蘇って来そうな顔で
背中にある棍棒を振り落とす

「ぐっ!」

正義は剣で受け止めた

ーなんて力だ!前戦った時は意識があまりなかったからわからなかったが改めて受けるとやっぱり重い!


「うおらぁぁ!!」

なんとか跳ね返すことができ、その勢いで一気にオークに切りかかる。
肉が切れる音と同時に緑色の血しぶきが飛ぶ

「うおっ!きたねっ!」

幸先のいいスタートを切り出しどんどんと進んでいく正義とミスティア、しかしこの先にはまだまだ強い魔獣達がいる事を二人は知らない。

途中でちらほら見える上界へと目指していく上級冒険者たちに闘争心が燃え、正義のやる気を上げる

「さぁ!ミスティア!どんどん次に行こう!次は後界だ!」

ーもし俺にSPスキルが発現しているなら、この一界層の中界で確認して起きたい!

正義の振るう剣のスピードは徐々に増していき、見えないくらいまでになっていく

「すごい!あんなスピードで剣を触れるなんて!それに、次々とオークを倒していく!やっぱりセイギくんはこの先すごい冒険者になるよ!」

「ありがとう!ミスティア!俺も早く団長ぐらいに強くなっていずれはこのダンジョン塔アクリエルを制覇し!英雄になる!」

拳を上に突き上げ、カッコをつけたポーズをとる正義。少し調子に乗ってるようだ

「危ない!」

「ぐえっ!」

ミスティアの声に反応できず、
背後からの衝撃に耐えられずそのまま前に顔面から突っ込んでいったセイギ。その場から動かない

「いやぁすまん!ちょっと周りを見れてなくてよ!」

青い髪にツンツンした頭、イケメンなのかじゃないのかわからない顔立ちをした目の前にいる男は、両手を顔の前で合わせて申し訳なさそうに謝った。

「いや…俺も全然周りを見れてなくてこっちこそごめん」

セイギもすぐに立ち上がり謝る
どうやらこの男も冒険者のようだ

「俺はソルド!ソルド・クラウンだ!よろしくな!」

ーおぉー、フレンドリーな奴だな!俺は嫌いじゃないぜ!こういうキャラは!

「俺はクロサキ・セイギ!よろしく!ソルド!」

お互いに手を取り合い会って数秒で友情が芽生えた。こいつとは仲良くなれそうだ!

「私はミスティア・レイズ!よろしく!ソルドさん!」

「で、ソルドもここの界層でレベル上げか?」

「ん?あぁ!おれもはやくこの界層クリアして次の界層に行くんだぜ!」

「俺もなんだよ!それにしてもソルドの武器でかいな!」

正義はソルドの手に持っている大きな大剣が気になり問いかける
その剣は何かの魔獣で作られたものなのか所々赤い皮で覆われている

「これか?これはな!俺の師匠から貰った大事な剣なんだよ!」

ー師匠か…俺師匠は、この場合団長になるのか?でも何も教えて貰ってないけどな…自分で考えろ!みたいなこと言いそうだし

「いいな!じゃあ今はその師匠のギルドにいるのか?」

正義がそう聞くとソルドの顔が少し暗くなり顔を俯いて

「いや、俺の師匠は死んだ…俺が冒険者になる前に」

「えっ?死んだ?」

ミスティアは手で口を覆って悲しい顔をしてその話を聞いていた。
正義もその話を黙って聞いた

「俺の師匠は今でも誰も到達できなかった界層百界層にたどり着いた唯一の一人だった。でも、そこで魔獣じゃなく誰かに殺されたんだ!師匠は魔獣に殺されずに人に殺されたんだ!だから俺はその人に仇を取るため冒険者になった………つってもまだ駆け出しだけどな」

「百層まである事に驚いたんだが、そのソルドの師匠がすごい人って事にも驚いた!感動したよ!」

「そこ感動するところじゃないよ……」

正義の少しズレた感情に呆れるミスティア
ソルドはさっきまでの暗い顔はすでに元に戻っていた。

そこで正義は少し疑問を抱く

「でも、このアクリエルにいるってことはどこかのギルドに入ってるってことか?」

「師匠がいなくなった今では俺が団長でやってるんだ!一人だけどな」

一つのギルドで団長が、死ぬもしくはいなくなるという事になればそのギルドメンバーの誰かが、次の団長になるらしい
故にソルドのギルドはメンバーがソルドしかいず、必然的に団長になったということだ

「じゃあさ!俺達のギルドに入ってくれよ!」

正義が一つ提案をする
しかし、

「ダメだよ!セイギくん!一度入ったギルドはその団長がクビにするかとかしないと抜けることはできないんだよ!」

「でも今の団長はソルドじゃん?ソルドが自分で抜けて、俺達のギルドに入る!これで一件落着だ!」

「そういう問題じゃなくて!もしソルドさんが抜ければソルドさんのギルドは無くなってしまうの!」

いつになく必死なミスティアに少し驚く正義。肩で息をするぐらい叫んだミスティアは少し困った顔で正義を見ていた

「いいよミスティアちゃん。でも、俺は今のギルドを消すつもりはないからな…すまんがその提案は受け入れられない」

「そうか…それは残念だな…まぁしょうがないか!」

正義もこれ以上は問い詰めることはしない
でも、まだ諦められない正義は最後の手段に出る

「じゃあさ!パーティになろう!」

「パーティか……それなら構わないぜ!」

「よし!決まりだな!これで3人のパーティができた!」

「そうだね!それならギルドも関係ないしね!」

ミスティアも納得した様子で頷く
この件に関しては一件落着したようだ

「じゃあ行こうぜ!」

「おう!」

「うん!」


新たなパーティメンバーを含めて
三人は中界の一本道を駆けていった
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