異世界聖女は最強過ぎたので、魔王に求婚されました

蒼乃ロゼ

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第五歩 夢の中でもフライアウェイ

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 夢を見た。

 自分へと宛がわれた自室に入り、豪奢な部屋に感動する間もなくベッドへ倒れ込んだ。

 帰宅後のルーティーンと一緒なんて、どんだけベッド大好きなんだよってのは置いといて、とにかく疲れ果ててすぐ眠りについた。

 真っ白い空間。
 
 目の前には、見たこともないような美しすぎる女性、多分、女性。

 神秘的な美しさのせいで性別なんて分からないけど。

 何か、言ってる?

 何?


『貴女の、望むままに』


 どういうこと?

 そう、聞こうと思った瞬間。

 落下してた。

 自分でも不思議なもんで、意外と慣れたもんだ。

 だが、これだけはハッキリさせておきたい。


「望んでねぇから!!!!」

 叫んだと同時に覚醒した。
 危ない。
 部屋に誰か居たら絶対変人扱いじゃないか。

「聖女様……、申し訳ございません。魔力の扱いを望んではおりませんでしたか……?」

 居 た わ。

 乙女の部屋に勝手に入るのもアレだが、さっき確かに王は人を派遣すると言っていた。
 反応が無く心配してくれたのかもしれない。ごめんよ。

「あ、あーー。すみません、寝言です」

 どんだけ思い切った寝言なんだ、ってツッコみ入れられても不思議ではない。
 でも事実なのが乙女として恥ずかしい。

「左様でしたか、お休み中申し訳ございません。貴女様の副官を命じられました、魔術師のヴァイスと申します」

 そういう魔術師とやらを改めて直視すると。

「うっ! 眩しい……」

 イケメンだ。
 まごうことなき、ファンタジー的イケメンである。

 しかも銀髪で、前髪が一番長い、前下がりの肩までの割と長髪で、切れ長の眼がドストライクである。
 本音を言えばもう少しドSであって欲しかったが……、温和な性格もまた良し。

 しかし副官、だと?

 これはまずいのではないか。

「聖女様、いかがなさいましたか?」

「い、いえ。思わぬフラグに歓喜してました」

「?」

 しまった間違えた。

「えーーっと、自分にはもったいない先生が来てくださって嬉しいなーーと」

「いえいえ、聖女様ほどの魔力もないのがお恥ずかしい限りですが」

 だから聖女どんだけチートなんだよ。

「えっと、ユメ・シラハシです。ユメと呼んでもらえれば」

「ユメ様、ですね。かしこまりました。どうぞ、よろしくお願いいたします」

 丁寧だ。丁寧系イケメンだ。いや、お兄様系?
 何にせよ、心細い異世界での癒しの存在確保。

「ヴァイスさん? ご指導というのは、今からですか……?」

 正直今日は来たばっかりで、しかもコ○されかけたばかりなので遠慮したいのだが。

「いえ、本日はお疲れでしょうしご挨拶だけと思いまして。明日のご朝食がお済みになりましたら、またお伺いいたします」

 助かった。

「はい、分かりました。明日はよろしくお願いします」

「では、また」

 そう言ってイケメンことヴァイスは部屋を出て行った。

「…………はぁ。分かってたけど、異世界だよなーー」

 もう一度、今度は背中からベッドへ倒れ込む。

 不可抗力でこっちに呼び出されたと思ったら、いきなりお願いごとをされ。

 普通であれば、怒っていい。怒っていいよ私。

「でもなーー。何か、だましてる感じしないしなぁ」

 召喚された場に居た人達、王様、エミールにヴァイス。
 誰もが、自分の存在を素直に喜んでいた。

 これでも接客業だから、人を見る目はあると思う。

 少しでも裏がありそうな気配があれば、自分だってここまで協力的ではなかったはずだ。

「平和な国から来たから、いまいち理解してないけど……。もし私が救世主的な立場なんだとしたら、そりゃ期待するよなぁ」

 戦いの日々に疲れ果てた人達にとって、それは紛れもない希望だ。

 その存在が、非協力的だったとしたら……。

 きっと、悲しむだろうな。

「はぁ。帰りたいけど、どうせ今すぐ帰れる訳じゃないし……。やるかぁ」

 というより早いところ身を守る術を身に付けないと、また良く分からん暗殺者にヤられるかもしれない。

「帰るにしても、まずは身の安全からだな」

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