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52 すべてをやさしく包む、ポトフ先生①
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「とりあえず、はくさい」
前世でも相当お世話になった、はくさい。
水菜もあるようなこちらの世界でもしっかりございました。ええ。
量の割にお値段がお安くて、野菜の中でも救世主的存在。
自炊がめんどうな時はとりあえず、鍋。
もうウインナーからしめじ、なんでもござれでとにかく野菜を摂ろう大作戦をしていた。
「あー鍋? いいかも。……でも、芋系入れるとなると……」
ここはもう、全てを抱擁してくれるあれでいこう。
鍋と並んで一人暮らしの救世主。
野菜? 俺に任せろ、な大先生。
そう、……ポトフ!
「ウインナーというか、ソーセージ? ドイツで食べられてるような、ちょっと長めのやつ。あれリースでちょうど買ってきたし。それと野菜を入れちゃえば、いいでしょう」
なんと言っても押しかけ料理。
レトくんも、お腹が空いてるかどうか不明。
なので、ガッツリ重めではないポトフは最適だ。
彩り的に、にんじんも入れるとして……。あとはローリエと、セロリも入れちゃおうかな。
「和薬膳的なのにしてみてもおいしそうだな~」
クコの実やナツメを入れて、具材はゴボウ、こんにゃく、しいたけと言った和風なもの。
やっぱ料理って、イメージ広がる~。
「にんじんは家にあったし、あとはじゃがいもとローリエとセロリ採って作ろう」
いつものカゴに材料をひとつ、またひとつと詰めていき、いざキッチンへ。
二人はちゃんと会話できたかな。
◇
「ただいま~」
「お帰り、ハニティ」
「……」
「お、ちょっとは肩の力抜けた?」
「っうるさい」
さっきまではもっと鋭いツンツンだったけど、今はちょっと落ち着いたツンツンって感じだ。
少しは兄弟で話はできたのかな。
「……地の大魔女、だそうだな」
「ん? あぁ、プレ大魔女だけどね~。引き継ぐのは二年後くらい?」
「ふん。……おおかた、これまで支配できなかったテオレムの魔法使いも手中に収める気だな?」
「こら、レト。ハニティはそんなこと、しないぞ」
「あー、なるほど」
道理で大魔女たちも介入できなかった訳だ。
テオレムの魔法使いは、極端な考えの王様の元にすべて集約されている。
そこで教育を受けたのなら、根本的に魔法に対する考え方もちがう。
それだけじゃない。
大魔女も王様も、彼らにとっては変わらないんだ。
自分から、『自由を奪う者』と。
そう、思ってしまっても無理はない。
しかも、わたしの料理のような……これまで呪術に対抗する手段はなかったに等しい。
王様を刺激したら、何が起こるか分からないし。
というか、王様に逆らったら少数派の魔法使いはふつうの兵士さんにやられちゃうかもだしなぁ。
「うーん、例えばなんだけどさ。わたしが仮にテオレムを手中に収めた? としたら、どう思うの?」
「なにを……。そんな資格などない」
「まぁ、そうなんだけど。でもさ、王様……ひどい人なんでしょ? 資格、ないんじゃない?」
「ハニティ」
「……なにが言いたい?」
なにが言いたいかってぇ? そんなの、一つしかない。
「じゃぁ、何があれば……あなたはわたしを認めてくれるの?」
「っ!」
「せっかく知り合ったダオの弟さんなんだし、わたしは仲良くしたいけど」
「……」
「やっぱり、ハニティは面白いな」
「そ、そう?」
面白い要素はなかったけど……。真実だ。
レトくんの育ってきた環境は、ダオ同様わたしからすれば考えられないもの。
だったら、どうすれば彼の中で……わたしは彼を傷付けない者として、認めてもらえるのだろう。
さすがに年頃の男の子……、十五、六歳? だろうし。めちゃめちゃ仲良くとまではいかないだろうけど。
「…………はぁ。これまでバカを葬ったことはなかったからな」
「レート」
「……思考がまったく分からん。……貴様のこと、もっと理解する必要があるようだ」
「! それって──」
「か、勘違い……するな! 今後、バカが暗殺対象になった時の予習だ!」
「「おいおい」」
前世でも相当お世話になった、はくさい。
水菜もあるようなこちらの世界でもしっかりございました。ええ。
量の割にお値段がお安くて、野菜の中でも救世主的存在。
自炊がめんどうな時はとりあえず、鍋。
もうウインナーからしめじ、なんでもござれでとにかく野菜を摂ろう大作戦をしていた。
「あー鍋? いいかも。……でも、芋系入れるとなると……」
ここはもう、全てを抱擁してくれるあれでいこう。
鍋と並んで一人暮らしの救世主。
野菜? 俺に任せろ、な大先生。
そう、……ポトフ!
「ウインナーというか、ソーセージ? ドイツで食べられてるような、ちょっと長めのやつ。あれリースでちょうど買ってきたし。それと野菜を入れちゃえば、いいでしょう」
なんと言っても押しかけ料理。
レトくんも、お腹が空いてるかどうか不明。
なので、ガッツリ重めではないポトフは最適だ。
彩り的に、にんじんも入れるとして……。あとはローリエと、セロリも入れちゃおうかな。
「和薬膳的なのにしてみてもおいしそうだな~」
クコの実やナツメを入れて、具材はゴボウ、こんにゃく、しいたけと言った和風なもの。
やっぱ料理って、イメージ広がる~。
「にんじんは家にあったし、あとはじゃがいもとローリエとセロリ採って作ろう」
いつものカゴに材料をひとつ、またひとつと詰めていき、いざキッチンへ。
二人はちゃんと会話できたかな。
◇
「ただいま~」
「お帰り、ハニティ」
「……」
「お、ちょっとは肩の力抜けた?」
「っうるさい」
さっきまではもっと鋭いツンツンだったけど、今はちょっと落ち着いたツンツンって感じだ。
少しは兄弟で話はできたのかな。
「……地の大魔女、だそうだな」
「ん? あぁ、プレ大魔女だけどね~。引き継ぐのは二年後くらい?」
「ふん。……おおかた、これまで支配できなかったテオレムの魔法使いも手中に収める気だな?」
「こら、レト。ハニティはそんなこと、しないぞ」
「あー、なるほど」
道理で大魔女たちも介入できなかった訳だ。
テオレムの魔法使いは、極端な考えの王様の元にすべて集約されている。
そこで教育を受けたのなら、根本的に魔法に対する考え方もちがう。
それだけじゃない。
大魔女も王様も、彼らにとっては変わらないんだ。
自分から、『自由を奪う者』と。
そう、思ってしまっても無理はない。
しかも、わたしの料理のような……これまで呪術に対抗する手段はなかったに等しい。
王様を刺激したら、何が起こるか分からないし。
というか、王様に逆らったら少数派の魔法使いはふつうの兵士さんにやられちゃうかもだしなぁ。
「うーん、例えばなんだけどさ。わたしが仮にテオレムを手中に収めた? としたら、どう思うの?」
「なにを……。そんな資格などない」
「まぁ、そうなんだけど。でもさ、王様……ひどい人なんでしょ? 資格、ないんじゃない?」
「ハニティ」
「……なにが言いたい?」
なにが言いたいかってぇ? そんなの、一つしかない。
「じゃぁ、何があれば……あなたはわたしを認めてくれるの?」
「っ!」
「せっかく知り合ったダオの弟さんなんだし、わたしは仲良くしたいけど」
「……」
「やっぱり、ハニティは面白いな」
「そ、そう?」
面白い要素はなかったけど……。真実だ。
レトくんの育ってきた環境は、ダオ同様わたしからすれば考えられないもの。
だったら、どうすれば彼の中で……わたしは彼を傷付けない者として、認めてもらえるのだろう。
さすがに年頃の男の子……、十五、六歳? だろうし。めちゃめちゃ仲良くとまではいかないだろうけど。
「…………はぁ。これまでバカを葬ったことはなかったからな」
「レート」
「……思考がまったく分からん。……貴様のこと、もっと理解する必要があるようだ」
「! それって──」
「か、勘違い……するな! 今後、バカが暗殺対象になった時の予習だ!」
「「おいおい」」
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