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9.5【別視点】思惑
しおりを挟む「何? ウェイダーが失敗しただと?」
「はい。何でも、ルルメアカリスとグレイヴァーンを味方につけたと」
「なんだと!? せっかく魔族に匹敵する魔力持ちを見付けたというのに……。S級はどうしてこうもままならない! もう良い、クレメントに抗議する!」
「そ、それが先程書簡が届きまして……」
「なにぃ? 見せろ!」
「いかが致しましょう?」
「ーーぐぬぬぬ、くそっ! そもそもあの勇者の実力が足りないのが問題なんだ!」
「別の者を探しますか?」
「幸いまだ時間はある……。その方面でも手を打つ他あるまい。今回こそ我が陣営から称号持ちを出さねば……」
「魔族領への侵攻も、容易ではないでしょうね」
「ふんっ! 大体、得体も知れない種族を放置なさる陛下もわるい。アルバ・ダスクの元凶やもしれんのに、だ」
「そう考える民衆も、少なくはないでしょう」
「そうだ、大貴族の中にも同じ考えの奴が他におるだろう。……先を行かれる前に、わしがやらねば」
「しかし、勇者をS級に上げるためにグレイヴァーンを使いましたが、ルルメアカリスと共に引き入れることは出来ないでしょうか?」
「あいつらは無理だ、組織というものに向いておらん」
「でしたら、他のS級でしょうか……」
「あえてエルダスクを拠点とする冒険者を見繕うのも、一つの手だな」
「なるほど。しかし、そうなると魔族の件は伏せておいた方がよろしいかと」
「うむ。多種族が建国の祖であるエルダスクだ。魔族に対して否定的な者は、グランアルバほどではない」
「ではそのように」
「頼んだぞ」
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