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魔術師と剣士
第一話 邂逅
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目的地であるプラハトの街へと着いた。
道中とくに問題もなく、たまに自生していた薬草を摘みながら街道を道なりに歩いてきた。
一度、野営中に盗賊のような集団の襲撃を受けたが、良い魔法の訓練になった。
急ぐ旅でもない。
まずは宿の確保と街の散策、ちょうど良い依頼があれば旅の資金を得るため受けておこう。
「中々、綺麗な街だな」
街の入り口にいた衛兵に軽く会釈をしながら足を踏み入れる。
どうやら冒険者や外部の者に開かれた街のようだ。
警備はしっかりしている所を見ると、統率は取れているらしい。
先日まで滞在した街よりも幾分か大きく、また活気のある様子。
どちらかといえば武具類よりも、食材や衣類などの店が立ち並び、街並みが非常に綺麗だ。
街の入り口から続く大通りには、建物以外に屋台と言った出店も目立つ。
治安は良さそうである。
まだ時間も早い。今は光の十二時。
お腹も空いたが、先にどういった依頼があるかだけでも確認しておくか。
ソロでも出来る依頼は、基本的に早く担い手が見付かるためだ。
街並みへの目線を上にあげると、建物の中で他よりも高いとある一軒を発見した。そこを目指す。
屋根の上には冒険者ギルドである証、旗が掲げられている。
道なりに進み、中央に噴水がある広場を北へ抜け、目的の建物へと辿り着いた。
賑やかでありながらも綺麗な街並みで、街を歩くだけでも非常に来た甲斐のある街だと思わされた。
あとで是非散策したい。
外から感じた様子だと多少賑わっているようだ。
少し軋んだ音の後、扉は開いた。
「────」
途端、一斉に視線が注がれた。
「おい……、あれ見ろよ」
「黒持ちか、二属性か?」
「この辺じゃ見ないな」
「──生意気そうなガキだぜ」
ギルド内のあちらこちらより、僕を値踏みしているであろう声が聞こえる。
喧噪はそのままに、新参者への好奇が見て取れた。
髪と瞳、どちらか、もしくは両方に黒色を持つ者は、魔力が高い者だと言われている。
事実、名のある魔術師にも黒持ちは多い。
元々は魔法の中で扱うことが難しいとされる闇魔法を連想する色であるが故の、言わば言い伝えのようなものであるが。
黒持ちの数は多いとは言えないが、その存在はしばしば確認され、大多数は魔術師として活躍していた。
僕も例外ではない。
やはり行く先々では特に冒険者の目を引くようで、フードが付いているローブを愛用しているのもそのため。
慣れたとは言え、余計な注目も浴びたくはない。
今回はいくらか大きい街である。
他にも黒持ちがいると予想し特にフードを被ってはいなかったのだが。
ここしばらくは僕以外にはいないようだ。
遠巻きに見られてはいるものの、ギルド内の様子は今のところ変化はない。
冒険者の出入りも多いであろうから、構われないのはありがたい限りだ。
ギルドを入ってすぐ。右の壁に、大きな掲示板がある。
依頼書の張り出されたそれを、一通りながめてみる。
ソロで出来そうなものは──。
<野菜の収穫作業の手伝い>
却下。
<薬草採集>
興味はあるが、急ぎではない。却下。
<宿の清掃作業手伝い>
却下。
<調理師募集>
却下。
「出遅れたか……」
これだけ賑わっているところを見ると、ソロで出来る依頼も粗方受注された後だろう。
魔術師でなければ勤まらないような依頼は、ソロ向けにはなかった。
仕方ない、前回の依頼でまだ滞在費は賄える。
少し食事がてら街を散策して、先に宿を取るか。
「よぉ、兄ちゃん。依頼探してんのかい?」
居心地の良かった空間が一瞬にして、消え去った。
……頼むから、構わないでくれ。
「いや……。滞在前にどのような依頼があるか、覗きに来ただけだ。今日はもう、引き上げる予定だ」
さきほどまでの喧噪が静まり、「出たぜ新人いびり」と言った声が聞こえた。
なるほど。この街に長く滞在する冒険者か。
茶色い短髪が快活な印象ではあるが、どこか下卑た笑みを浮かべている。
こういった相手とは関わらない方が無難だ。
しかも見るからに剣士だし。
剣士とは組まない、そう決めたばかり。
「そうかい。何なら俺の依頼に同行させてやってもいいぜ? 分け前は──俺の方で決めるがな!」
はっはっはと大きな笑い声をあげると、その後ろに控える二人も同様に笑い声をあげた。
お仲間か知らないが、特に笑いを誘うポイントも無かったが……。
大方、分け前を平等にする気はないんだろうな。
「せっかくの申し出はありがたいが、さきほど街に到着したばかりで先に宿を確保したい。今回は遠慮しておこう」
セネル…………さんの件で、年下というだけで嫌悪感を示す輩も居ることは把握している。
なるべく。……なるべく、丁寧に返答した。
「ああ? ────まさか、俺の誘いを断るつもりじゃねぇよな?」
はぁ、面倒なタイプだ。
「先輩である貴方の誘いもありがたいが、まずは街の散策を優先したい」
「ちっ、生意気な小僧だ。俺の誘いを断ったら……、どうなるか分かってるんだろうな?」
どうなるって言うんだ、ぜひ教えて欲しい。
ここで問題を起こせば、下手すればギルドの出入りも禁じられかねないが。
この三人を見る限り、どうやら魔術師がいないようだ。
そこに黒持ちが現れたとあって、声を掛けてきたのだろう。
「兄貴! 新人に分からせてやりやしょう!」
「おい小僧! 兄貴の誘いに乗った方が身のためだぞ!」
完全に脅しが入っている。
いいよな? 仮に手を出してきたら、自分を守るためってことで反撃してもお咎めはないよな?
というかこの『兄貴』はどれだけすごい人なんだ。
「ギルド内じゃ面倒だ、表へ出ろ!」
周りの冒険者はと言えば狼狽する者、煽る者様々だ。
この街出身の者ばかりではないから、どうすれば良いか分からないのだろう。
まぁギルドの外でなら反撃しても構わないし、その方が話は早いか。
どうせ剣士と組むつもりもないし──。
「────まぁまぁ、待ちなって」
道中とくに問題もなく、たまに自生していた薬草を摘みながら街道を道なりに歩いてきた。
一度、野営中に盗賊のような集団の襲撃を受けたが、良い魔法の訓練になった。
急ぐ旅でもない。
まずは宿の確保と街の散策、ちょうど良い依頼があれば旅の資金を得るため受けておこう。
「中々、綺麗な街だな」
街の入り口にいた衛兵に軽く会釈をしながら足を踏み入れる。
どうやら冒険者や外部の者に開かれた街のようだ。
警備はしっかりしている所を見ると、統率は取れているらしい。
先日まで滞在した街よりも幾分か大きく、また活気のある様子。
どちらかといえば武具類よりも、食材や衣類などの店が立ち並び、街並みが非常に綺麗だ。
街の入り口から続く大通りには、建物以外に屋台と言った出店も目立つ。
治安は良さそうである。
まだ時間も早い。今は光の十二時。
お腹も空いたが、先にどういった依頼があるかだけでも確認しておくか。
ソロでも出来る依頼は、基本的に早く担い手が見付かるためだ。
街並みへの目線を上にあげると、建物の中で他よりも高いとある一軒を発見した。そこを目指す。
屋根の上には冒険者ギルドである証、旗が掲げられている。
道なりに進み、中央に噴水がある広場を北へ抜け、目的の建物へと辿り着いた。
賑やかでありながらも綺麗な街並みで、街を歩くだけでも非常に来た甲斐のある街だと思わされた。
あとで是非散策したい。
外から感じた様子だと多少賑わっているようだ。
少し軋んだ音の後、扉は開いた。
「────」
途端、一斉に視線が注がれた。
「おい……、あれ見ろよ」
「黒持ちか、二属性か?」
「この辺じゃ見ないな」
「──生意気そうなガキだぜ」
ギルド内のあちらこちらより、僕を値踏みしているであろう声が聞こえる。
喧噪はそのままに、新参者への好奇が見て取れた。
髪と瞳、どちらか、もしくは両方に黒色を持つ者は、魔力が高い者だと言われている。
事実、名のある魔術師にも黒持ちは多い。
元々は魔法の中で扱うことが難しいとされる闇魔法を連想する色であるが故の、言わば言い伝えのようなものであるが。
黒持ちの数は多いとは言えないが、その存在はしばしば確認され、大多数は魔術師として活躍していた。
僕も例外ではない。
やはり行く先々では特に冒険者の目を引くようで、フードが付いているローブを愛用しているのもそのため。
慣れたとは言え、余計な注目も浴びたくはない。
今回はいくらか大きい街である。
他にも黒持ちがいると予想し特にフードを被ってはいなかったのだが。
ここしばらくは僕以外にはいないようだ。
遠巻きに見られてはいるものの、ギルド内の様子は今のところ変化はない。
冒険者の出入りも多いであろうから、構われないのはありがたい限りだ。
ギルドを入ってすぐ。右の壁に、大きな掲示板がある。
依頼書の張り出されたそれを、一通りながめてみる。
ソロで出来そうなものは──。
<野菜の収穫作業の手伝い>
却下。
<薬草採集>
興味はあるが、急ぎではない。却下。
<宿の清掃作業手伝い>
却下。
<調理師募集>
却下。
「出遅れたか……」
これだけ賑わっているところを見ると、ソロで出来る依頼も粗方受注された後だろう。
魔術師でなければ勤まらないような依頼は、ソロ向けにはなかった。
仕方ない、前回の依頼でまだ滞在費は賄える。
少し食事がてら街を散策して、先に宿を取るか。
「よぉ、兄ちゃん。依頼探してんのかい?」
居心地の良かった空間が一瞬にして、消え去った。
……頼むから、構わないでくれ。
「いや……。滞在前にどのような依頼があるか、覗きに来ただけだ。今日はもう、引き上げる予定だ」
さきほどまでの喧噪が静まり、「出たぜ新人いびり」と言った声が聞こえた。
なるほど。この街に長く滞在する冒険者か。
茶色い短髪が快活な印象ではあるが、どこか下卑た笑みを浮かべている。
こういった相手とは関わらない方が無難だ。
しかも見るからに剣士だし。
剣士とは組まない、そう決めたばかり。
「そうかい。何なら俺の依頼に同行させてやってもいいぜ? 分け前は──俺の方で決めるがな!」
はっはっはと大きな笑い声をあげると、その後ろに控える二人も同様に笑い声をあげた。
お仲間か知らないが、特に笑いを誘うポイントも無かったが……。
大方、分け前を平等にする気はないんだろうな。
「せっかくの申し出はありがたいが、さきほど街に到着したばかりで先に宿を確保したい。今回は遠慮しておこう」
セネル…………さんの件で、年下というだけで嫌悪感を示す輩も居ることは把握している。
なるべく。……なるべく、丁寧に返答した。
「ああ? ────まさか、俺の誘いを断るつもりじゃねぇよな?」
はぁ、面倒なタイプだ。
「先輩である貴方の誘いもありがたいが、まずは街の散策を優先したい」
「ちっ、生意気な小僧だ。俺の誘いを断ったら……、どうなるか分かってるんだろうな?」
どうなるって言うんだ、ぜひ教えて欲しい。
ここで問題を起こせば、下手すればギルドの出入りも禁じられかねないが。
この三人を見る限り、どうやら魔術師がいないようだ。
そこに黒持ちが現れたとあって、声を掛けてきたのだろう。
「兄貴! 新人に分からせてやりやしょう!」
「おい小僧! 兄貴の誘いに乗った方が身のためだぞ!」
完全に脅しが入っている。
いいよな? 仮に手を出してきたら、自分を守るためってことで反撃してもお咎めはないよな?
というかこの『兄貴』はどれだけすごい人なんだ。
「ギルド内じゃ面倒だ、表へ出ろ!」
周りの冒険者はと言えば狼狽する者、煽る者様々だ。
この街出身の者ばかりではないから、どうすれば良いか分からないのだろう。
まぁギルドの外でなら反撃しても構わないし、その方が話は早いか。
どうせ剣士と組むつもりもないし──。
「────まぁまぁ、待ちなって」
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