最強魔術師、ルカの誤算~追放された元パーティーで全く合わなかった剣士職、別人と組んだら最強コンビな件~

蒼乃ロゼ

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魔術師と剣士

第三十八話 反逆者と森の主

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 リューゲンが声をあげると、後ろの魔術師たちは、気付けば大きな陣を描いていた。
 それにならい、奴らも円形に並んでいる。

「なんだ……?」

「王よ、私の後ろへ」

「何が出るかなー♪」

「はぁ」

 これまでのやり取りを「なるほどー」とか言いながら聞いていたヴァルハイトは、やはり緊張感の欠片もない。

「ヴァルハイト、お前はヘクトールを抑えろ。師匠は王をお守りしているからな……、あいつは僕がやる」

「オッケー♪」

 魔法陣を用いるということは、魔術だ。
 もちろん、良い事には使わないだろう。

 止めるしかあるまい。

「吹き荒れろ、烈風シュトルム・ヴィント!!」

 ここが屋外で良かった。
 風の魔法を放つ。

「ーーさせるか、光の盾ライト・シルト

 僕の魔法に気付いたリューゲンに、無詠唱で光の魔法を展開させられた。
 
 『光の盾』は、魔法を吸収し、無効とする魔法だ。

「……! 第二王子に持たされたか」

 無詠唱でよく出来るものだと感心してしまったが、光の魔石をヘクトールが携えている。
 その力を一時的に借りたらしい。

「恐れおののくが良い、魔術とは……偉大なり!!!!」

 叫ぶリューゲンの背後、魔法陣から闇が出でた。
 それらは徐々に形を整えていき、何やら姿を形作る。

「ーーあれは! センの森の主!?」

「あれがか……? なぜ、ここに」

 僕らが通ってきたダンジョン、センの森。

 そこには一切の魔物の気配がなく、また暴れているであろう主の姿も見えなかった。
 あるのは、襲われたであろう馬車の残骸と割れた小瓶だけだった。

 だが、それが今。目の前に居る。

 大きな、魚だろうか。
 蛇ともとれる。

 長く、蜷局を巻くおかげでその場に座している。
 体だけ見れば、大蛇だ。
 
 しかし大きな体躯に見合う、大きな頭は魚のようだ。
 だが、その眼は愛嬌など全くなく、魔物であることは一目瞭然だ。


「アコーーーーーーール!!!!」

 突然、ヴァルハイトは叫んだ。

「……!」

「ヘクトールを捕えろ!!!!」

「その声は……、我が君!?」

「ま、まさか……」

 頭と口を覆っていた装備を外し、ヴァルハイトはその美しい赤い髪と素顔を露わにした。

「ヴァ……、ヴァールハイト……殿下!!??」

「で、殿下だと!?」

「ルカちゃん、あとでねー♪」

 ウインクをしながら後で事情を話すと窘められた。

「ヘクトールはアコールに任せる。森の主はオレがやるよ。……ルカちゃんは、あの頭わるい魔術師、ヤっちゃって!」

「ほう……? 言うな。しかし、光の王家に赤髪など居たか……?」

「りゅ、リューゲン殿!! あいつは、あいつだけは殺しておきませんと……!! このままでは第二王子が、王位に就けません!!」

「ーー何だと?」

「良かったなーヘクトール。この件が終わったらオレを殺すつもりだったろうから、探す手間省けたなぁ?」

 ニヤついた笑みを浮かべながら、ヴァルハイトはヘクトールへと言葉を投げた。
 アコールに何度も命を助けられたと言っていたが、なるほど。
 何らかの事情で命を狙われている、王族だったらしい。

「んじゃ、いくぜ?」

 ヴァルハイトは、森の主と対峙した。

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