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弓師とエルフ
二十四話 変化を楽しむ
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『──なんで!』
ブワッ。
『このオレがぁ?』
ザッ。
『洗濯物なんぞを!?』
さわさわ。
『乾かさねばいかんのだー!!』
「「「おお……!」」」
「また怒りながら風出してる……」
精霊がお休み中の現在、エルフの村ではいろんなことを村人同士で協力している。
洗濯もそうだ。
何軒か分のをまとめて行っているらしい。
俺の分とミラウッド、あと二軒分を先ほど汲んだ水を使って洗う。
洗剤のような役割は精霊の浄化が担っていたので、今回は薬草を入れて自分たちの手でこすって洗う。
そしてぎゅっと絞って干場に干すと、セローの出番。
風を起こして洗濯物が乾く速度をアップ。
セローが風を起こす度に他のエルフからは歓声があがった。
「さすがは風の精霊様……すばらしいですね!!」
「先触れの音を届ける者よ、感謝いたします……」
『……チッ。オレは便利屋じゃねぇんだが』
『まんざらでもないご様子ですわねぇ~風のお方?』
『うるせぇぞ』
イタチ姿のセローはぶつくさ言いつつも、何だかんだ気を良くしているようだ。
「本当に助かります、セロー様。皆を代表して感謝申し上げます」
『ハイハイっと』
照れ隠しなのか、エルフたちにお礼を言われると俺の肩に乗ってそっぽを向いた。
自由に生きる風の精霊は、お礼を言われ慣れていないようだ。
『ところでエルフのお方、ミラウッドさん。コーヤさまの衣服は、足りますの? いいえ、足りませんわよねぇ』
「そうですね、ルナリア様。……コーヤ、この後は服を調達しよう」
「俺のってことか? なんか、わるいな」
「気にするな」
ミラウッドは少し確認してくると言ってその場から離れた。
「いやぁ、コーヤさん。先日の非礼をお詫びします」
「いえいえ、そんな……。どう見ても怪しいですし」
手持ち無沙汰な俺に村のエルフが声を掛けてくる。
初めて会った時、聖樹の儀式の場に居たそうだ。
「一時はどうなることかと思いましたが……。ミラウッドにとっても、結局のところ良い方へ転がったのではないでしょうかね」
「というと?」
「彼は元々、儀式を成功させたら外へ行く予定だったんですよ」
「え!? それって、冒険者として村と外を行き来する……ってことではなく?」
「はい。旅をするつもりだったようで」
ミラウッドが……旅を?
「しかし、精霊様が眠りについている状況……。ミラウッドは村のことを大切に思っていますからね。心配事がある以上、村を離れたくはないと考えているでしょう。そこに、あなたというエルフとは違う存在が来た。外への好奇心旺盛なミラウッドは、あなたと過ごす時間をきっと楽しんでいることでしょうね」
「そう、なのかな?」
「ええ、もちろん。エルフは基本的に人間ほど変化を好む種族ではありませんが、ミラウッドはそうではありません。彼なら人間の感性に近いと思いますよ」
変化を……楽しむ、か。
俺にそんなこと、できるだろうか?
「ミラウッド、すごいなぁ」
「ふふ。彼は優れた戦士。エルフにとっても彼が村から離れることは望みません……。ですが、彼があなたや精霊様と接している姿を見ていると、なんだか気持ちは分かるような気がするんです」
なんだか、セローの言っていたことに似ている。
人間よりも長い時を生きるエルフたち。
彼らにとっても、他者からもたらされる変化というのは……標のように見えるんだろうか。
ブワッ。
『このオレがぁ?』
ザッ。
『洗濯物なんぞを!?』
さわさわ。
『乾かさねばいかんのだー!!』
「「「おお……!」」」
「また怒りながら風出してる……」
精霊がお休み中の現在、エルフの村ではいろんなことを村人同士で協力している。
洗濯もそうだ。
何軒か分のをまとめて行っているらしい。
俺の分とミラウッド、あと二軒分を先ほど汲んだ水を使って洗う。
洗剤のような役割は精霊の浄化が担っていたので、今回は薬草を入れて自分たちの手でこすって洗う。
そしてぎゅっと絞って干場に干すと、セローの出番。
風を起こして洗濯物が乾く速度をアップ。
セローが風を起こす度に他のエルフからは歓声があがった。
「さすがは風の精霊様……すばらしいですね!!」
「先触れの音を届ける者よ、感謝いたします……」
『……チッ。オレは便利屋じゃねぇんだが』
『まんざらでもないご様子ですわねぇ~風のお方?』
『うるせぇぞ』
イタチ姿のセローはぶつくさ言いつつも、何だかんだ気を良くしているようだ。
「本当に助かります、セロー様。皆を代表して感謝申し上げます」
『ハイハイっと』
照れ隠しなのか、エルフたちにお礼を言われると俺の肩に乗ってそっぽを向いた。
自由に生きる風の精霊は、お礼を言われ慣れていないようだ。
『ところでエルフのお方、ミラウッドさん。コーヤさまの衣服は、足りますの? いいえ、足りませんわよねぇ』
「そうですね、ルナリア様。……コーヤ、この後は服を調達しよう」
「俺のってことか? なんか、わるいな」
「気にするな」
ミラウッドは少し確認してくると言ってその場から離れた。
「いやぁ、コーヤさん。先日の非礼をお詫びします」
「いえいえ、そんな……。どう見ても怪しいですし」
手持ち無沙汰な俺に村のエルフが声を掛けてくる。
初めて会った時、聖樹の儀式の場に居たそうだ。
「一時はどうなることかと思いましたが……。ミラウッドにとっても、結局のところ良い方へ転がったのではないでしょうかね」
「というと?」
「彼は元々、儀式を成功させたら外へ行く予定だったんですよ」
「え!? それって、冒険者として村と外を行き来する……ってことではなく?」
「はい。旅をするつもりだったようで」
ミラウッドが……旅を?
「しかし、精霊様が眠りについている状況……。ミラウッドは村のことを大切に思っていますからね。心配事がある以上、村を離れたくはないと考えているでしょう。そこに、あなたというエルフとは違う存在が来た。外への好奇心旺盛なミラウッドは、あなたと過ごす時間をきっと楽しんでいることでしょうね」
「そう、なのかな?」
「ええ、もちろん。エルフは基本的に人間ほど変化を好む種族ではありませんが、ミラウッドはそうではありません。彼なら人間の感性に近いと思いますよ」
変化を……楽しむ、か。
俺にそんなこと、できるだろうか?
「ミラウッド、すごいなぁ」
「ふふ。彼は優れた戦士。エルフにとっても彼が村から離れることは望みません……。ですが、彼があなたや精霊様と接している姿を見ていると、なんだか気持ちは分かるような気がするんです」
なんだか、セローの言っていたことに似ている。
人間よりも長い時を生きるエルフたち。
彼らにとっても、他者からもたらされる変化というのは……標のように見えるんだろうか。
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