47 / 57
異世界と弓作り
四十七話 エルフの懸念【ミラウッド視点】
しおりを挟む
「──ミラウッド、こっちだ」
コーヤと別れ、守衛隊より報告のあった場所へと向かう。
先行していたキリアスが私に気付くと、右手を挙げて合図した。
「状況は?」
「先日と同じさ。フラマの木が焼けている」
そう言って目的のものを振り返ると、キリアスの肩にかかる銀の髪が揺れた。
「……こうも続けば偶然ではない……か」
「やつらも森の異変を感じ取ったんだろうな」
先日に続き森のとある場所でフラマの木が焼けた。
森に棲まう精霊様が眠りについている今、こうした兆候は自分たちの手で見付けるしか方法がない。
普段であればフラマの木は危険が迫ると表皮を焼き、それに気付いた周辺に滞在する精霊が脅威を追い払う……というのが私たちの認識だ。
だが、フラマの木そのものが丸々と焼けている。
幸い早めに気付いたので守衛たちが延焼を防いだようだが。
「……爪痕だな」
「木にとまった鳥を狙ったか」
表皮から全体に燃え広がったらしい炎は、状況を示す証拠をも覆い隠す。
不幸中の幸いと言っていいかは不明だが、その傷は普段見掛けるものよりも遥かに大きく、炎では隠しきれていなかった。
「長老方はなんて?」
「ギルドに申請すれば外部の者に森の異変を気付かれる。……馴染みの冒険者に声を掛けるつもりだ」
「そうか。はぁ……、精霊魔法さえ使えればな」
「言っても仕方あるまい」
森のことはその地に暮らすエルフだけで解決することが望ましい。
だが、精霊様が眠りについているとなると精霊魔法を主に使う私たちにはどうしても強い魔物に対して対処しきれない。
「それにしても、セロー様とルナリア様はいるってのに不思議なもんだ」
「村には聖樹そのものの加護がある。共に暮らす私たちにはそのお力が分かるが、魔物らからすれば秘匿されているのやもしれんな。それに加え、セロー様はコーヤと契約するにあたりお力を加減しておられる」
「なるほど。精霊様からすれば、人ってのは脆いもんだろう」
村の安全だけを考えればセロー様とルナリア様がいらっしゃる今、急いで討伐する必要はないかもしれない。
だが、私たちは森と共に暮らす種族。
食料は元より、生活に必要なもののほとんどをその恵みに頼っている。
森に脅威が迫るのならば排除する。
それが私たちの勤めだ。
「もう行くのか?」
「ああ。フラマの木が燃えていない、安全なルートから行く」
「そうか。気を付けてな」
「そちらもな」
キリアスに別れを告げ、守衛隊の観測状況から比較的安全と思われるルートで森の外に出る。徒歩であればかなり時間が掛かるが、今回は馬を駆って行くことに。
「息災であればいいが……」
冒険者の姉弟。
前衛を務める屈強な剣士である弟と、魔術のエキスパートである姉。
この森の一番近くにある人間の街を拠点としている彼らとは、自分の戦闘スタイルが弓を扱う性質上よく組むことがあった。
彼らと接触して、森の脅威を排除せねば。
コーヤと別れ、守衛隊より報告のあった場所へと向かう。
先行していたキリアスが私に気付くと、右手を挙げて合図した。
「状況は?」
「先日と同じさ。フラマの木が焼けている」
そう言って目的のものを振り返ると、キリアスの肩にかかる銀の髪が揺れた。
「……こうも続けば偶然ではない……か」
「やつらも森の異変を感じ取ったんだろうな」
先日に続き森のとある場所でフラマの木が焼けた。
森に棲まう精霊様が眠りについている今、こうした兆候は自分たちの手で見付けるしか方法がない。
普段であればフラマの木は危険が迫ると表皮を焼き、それに気付いた周辺に滞在する精霊が脅威を追い払う……というのが私たちの認識だ。
だが、フラマの木そのものが丸々と焼けている。
幸い早めに気付いたので守衛たちが延焼を防いだようだが。
「……爪痕だな」
「木にとまった鳥を狙ったか」
表皮から全体に燃え広がったらしい炎は、状況を示す証拠をも覆い隠す。
不幸中の幸いと言っていいかは不明だが、その傷は普段見掛けるものよりも遥かに大きく、炎では隠しきれていなかった。
「長老方はなんて?」
「ギルドに申請すれば外部の者に森の異変を気付かれる。……馴染みの冒険者に声を掛けるつもりだ」
「そうか。はぁ……、精霊魔法さえ使えればな」
「言っても仕方あるまい」
森のことはその地に暮らすエルフだけで解決することが望ましい。
だが、精霊様が眠りについているとなると精霊魔法を主に使う私たちにはどうしても強い魔物に対して対処しきれない。
「それにしても、セロー様とルナリア様はいるってのに不思議なもんだ」
「村には聖樹そのものの加護がある。共に暮らす私たちにはそのお力が分かるが、魔物らからすれば秘匿されているのやもしれんな。それに加え、セロー様はコーヤと契約するにあたりお力を加減しておられる」
「なるほど。精霊様からすれば、人ってのは脆いもんだろう」
村の安全だけを考えればセロー様とルナリア様がいらっしゃる今、急いで討伐する必要はないかもしれない。
だが、私たちは森と共に暮らす種族。
食料は元より、生活に必要なもののほとんどをその恵みに頼っている。
森に脅威が迫るのならば排除する。
それが私たちの勤めだ。
「もう行くのか?」
「ああ。フラマの木が燃えていない、安全なルートから行く」
「そうか。気を付けてな」
「そちらもな」
キリアスに別れを告げ、守衛隊の観測状況から比較的安全と思われるルートで森の外に出る。徒歩であればかなり時間が掛かるが、今回は馬を駆って行くことに。
「息災であればいいが……」
冒険者の姉弟。
前衛を務める屈強な剣士である弟と、魔術のエキスパートである姉。
この森の一番近くにある人間の街を拠点としている彼らとは、自分の戦闘スタイルが弓を扱う性質上よく組むことがあった。
彼らと接触して、森の脅威を排除せねば。
0
あなたにおすすめの小説
目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し
gari@七柚カリン
ファンタジー
突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。
知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。
正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。
過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。
一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。
父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!
地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……
ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!
どうする? どうなる? 召喚勇者。
※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。
七億円当たったので異世界買ってみた!
コンビニ
ファンタジー
三十四歳、独身、家電量販店勤務の平凡な俺。
ある日、スポーツくじで7億円を当てた──と思ったら、突如現れた“自称・神様”に言われた。
「異世界を買ってみないか?」
そんなわけで購入した異世界は、荒れ果てて疫病まみれ、赤字経営まっしぐら。
でも天使の助けを借りて、街づくり・人材スカウト・ダンジョン建設に挑む日々が始まった。
一方、現実世界でもスローライフと東北の田舎に引っ越してみたが、近所の小学生に絡まれたり、ドタバタに巻き込まれていく。
異世界と現実を往復しながら、癒やされて、ときどき婚活。
チートはないけど、地に足つけたスローライフ(たまに労働)を始めます。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる