うさぎガチ勢の引きこもり魔導師は、今日もうさぎさんのために伝説を残す~なに?寝床が寒い?ならばコカトリスの羽毛で巣作りだ!~

蒼乃ロゼ

文字の大きさ
20 / 40

二十羽 四人集まれど出てこない知恵

しおりを挟む

「──さて、作戦会議だ」

 うさぎさんは編みかごの中でお休み中。
 カルナシオンは下僕三人をダイニングテーブルへと招集し、意見をつのった。

「何のですかねぇ」
「世界樹の枝だ。ベムネスラの許可は得たが、他二人にどうやって聖域への道を教えてもらうかだ」
「なるほどな。カルナの手を煩わせるとは、けしからん奴らだ」
「ボクも幻獣種と水霊族の好みは知らないなぁ」

 世界樹へと至る道。聖域への扉が開くかどうかは、彼女らの気分にかかっている。

 一人は通称『天眼てんがんのアイドラ』と呼ばれる幻獣種。
 『幻獣』というのは通常、天上の神々由来の神秘的な存在を指す。
 獣の姿を持つことが多く、精霊たちとの融和性も高い。
 魔族は魔神由来の魔力を持つため、幻獣に近しい魔族のことを『幻獣種』と呼んでいるのだ。20年前に森に引っ越してきた魔族である。

 もう一人はメルティーヌ。
 水の精霊との融和性の高い亜人、水霊族。
 通称がないように、過去に何らかの武功をあげたことはない。
 ないが、自称三女神の一人という人物である。
 もちろんヤバい人物だ。

「というか、なぜ世界樹の枝にこだわるので?」
「この世でもっとも清浄な枝ならば、万が一飲み込んだとしてもうさぎさんの体に影響はないだろう」
「そりゃそうですがねぇ……」

 ギルクライスはなかば呆れたように言う。

「全身全霊をかけて愛でたい……、こんな気持ちは生まれて初めてだ」
「──! そっ、その気持ち、俺はよく分かるぞカルナ!!」
「そうなのか?」

 残念ながら炎竜の全身全霊は届いていない模様。

「うーん。アイドラさんは何となく許可くれそうですけど、メルティーヌさんはちょっと……」
「そうだな……。私も一度しか会ったことはないが、その。気難しそうな……」

 カルナシオンがそう言うと、四人の脳内にはミララクラの姿が映し出された。
 そういう人物である。

「先にアイドラか……。ギル、知り合いだろう?」
「知り合いっちゃ知り合いですけどねぇ。彼女はともかく、あたしは精霊にきらわれてるもんで」

 余談ではあるが、精霊の姿は魔力の高い者ならば視認性が高くなる。
 だが精霊たちも魔力からなる存在とはいえ、意志ある者たちだ。
 どう考えてもヤバい人物の前に姿を現したくはないのである。
 察して欲しい。

「となると、私とテリーがおもむくのがいいか」
「! 水の精霊と俺は相性が……」
「アルは留守番だぞ」

 至極当然のように留守番を言い渡されるアルクァイト。
 一同で最も戦意の高い者は、我慢を覚えさせられているのである。

「あたしが……メルティーヌ殿の元へ行くんですかねぇ?」
「手土産を持ってな」

 そもそも、それが分からないのである。
 すべての森人ドリアスがそうではないが、テリネヴ自身は生物としての性はないものの、周りの影響もあり諸々が男性寄り。
 三人は女性どころか他人の気持ちすら分からない。
 気難しいとされる女性への手土産。会議をする以前に詰んでいるのである。

「……」
「……」
「……」
「……」

 四人は押し黙った。
 脳内には先ほど浮かんだ人物が映し出されているのであるが、この方法は誰にとっても不本意なものだ。

「──はぁ、仕方あるまい。……行くか」
「お」
「腹をくくりましたか」
「人間の街になら、俺が行こう。ここは譲れん!」

 女性の喜びそうなもの。
 それを聞くためにミララクラの元へと行くことを、カルナシオンは不本意に思いながらも決心した。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎ 王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。 ……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。 追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。 無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」 騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

処理中です...