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15.今度は黒
しおりを挟む「いいのか?!」
ものすごい食いつきっぷりに若干後ろに下がってしまう。
「う、うん。何食分かでよければ。たしかデレクさん時間止まる大容量のマジックバック持ってましたよね?」
あたしがコソコソ使ってるマジックバックはやはり一般庶民にとって高嶺の花なアイテムだった。
小さいもので白金貨10枚、大容量だと白金貨100枚。
金貨10枚で白金貨1枚なので日本円でいうと10万円ほど。
つまり大容量サイズだとあらビックリの1000万円。
ちょっと田舎にいけば中古マンション買えちゃうような金額なのだ。
レアアイテムなんだろうなぁとは思ってたけど。予想をはるかに上回るレアさを知ったときはピシリと身が引き締まったよ。
そんな貴重品をあたしみたいに神様からタダでもらったわけじゃなく自分で買ったデレクさん。
ね?S級冒険者の可能性大でしょ?
「ああ。料金はどんなに高くともかまわない。」
「いやいや。材料費だけでいいですよ。自分ちで作るし。」
「いや。手間賃も払う。滞在してるのは“暁の空”だったな。明日の朝受取に行く。ありがとう。」
嫌がるどころか大喜びのデレクさん。
さっきまでの硬派な雰囲気がウソのように音符マークが飛び交ってそうなオーラをまとって再び唐揚げを食べ始めた。
大きな子供みたいで可愛い。
そして私がぼんやりしてる数分の間に完食していつものオールおかわり。
つまり定食もうひとつ追加。
ほんとルエンカ料理大好きだよねぇ。
期待に応えるためにも美味しいお弁当をたくさん作らねば。
「うん。こんなもんかな。」
目の前のこんもりした小山を見渡し頷く。
鮭と高菜とツナマヨのお握り、鶏の唐揚げ、とんかつ、アジフライ、豚の生姜焼き、卵焼き、肉じゃが、ポテトサラダ、ひじきの煮物、きんぴらごぼう、筑前煮、キュウリの浅漬け。
デザートにどら焼きも作ってみた。
デレクさん基本的に甘いものは食べないけどあんこだけは好きなんだって。
これなら1日1食ずつとして1週間分くらいになるかな。
昨日の夜に下準備しておいて今朝は暗いうちから起きだして3時間ちょい。
我ながら頑張った!
キンコ~ン♪
部屋の可愛らしい呼び鈴の音が来客をつげる。
「デレクさん、おはようございます。」
ドアの隙間から顔を出すと。
「おはよう。朝早くからすまんな。」
今日も黒ずくめの美丈夫の姿が。
ん?なんかみょーにゴツイ服着てる?
「ちょうど出来上がったとこですよ。時間って余裕あります?朝ごはんの準備もしてあるので良かったら食べてってください。」
チェーンを外してドアを開け中に招き入れて・・固まった。
「ありがたい。実は朝食がまだなんだ。・・ん?どうした?」
そんな私に気付いたデレクさんが首を傾げる。
「・・デレクさんって・・冒険者じゃなかったの?」
その姿を見ればその職業なんて一目瞭然だったけど聞かずにはいられなかった。
まさかのコスプレかもしれないし。
99.9%ないと思うけど。
「うん?言ってなかったか?俺は黒騎士団に所属している。」
デレク!お前もか!
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