21 / 27
告白
しおりを挟む
「あ、勿論兄さんみたいに危ない仕事はさせないよ。一般的なメイドの仕事だけ。給金もここの倍……いや、三倍出そう。どう?」
「え? 何の話ですか?」
突然のことに話が飲み込めない。戸惑うわたしに、フユトさんは苦笑してみせる。
「何の話って……わからないかなあ。つまりさ、僕はコーデリアちゃんの事が気に入ってるんだよ」
そう言うと、ユフトさんは急に真剣な顔になる。
な、なんだろう。今まで見た事のない彼の表情に、ちょっとどきっとしてしまった。
「君が危ない目に遭うんじゃないかって考えると夜も眠れないくらいに胸が痛い。本当だよ。だから僕のそばで何の危険の心配をする事もなく、普通の女の子として暮らして欲しいって思うんだ。駄目かな?」
「は? え?」
つまりわたしを引き抜きたいという事……?
なにを言いだすんだこの人は。雇用主であるアルベリヒさんの前でそんな事を堂々と。それとも冗談なのかな……?
「フユト。お前はまたおかしな事を言って。コーデリアをからかうな」
わたしの心中を代弁するようにアルベリヒさんがたしなめてくれた。
うう、助かった……。実はなんて答えたらいいのかわからなかったのだ。冗談にしてはフユトさんは妙に真剣に見えるし。
「そ、そうですよ。びっくりしました。あはは……」
若干の落ち着きを取り戻し、無理やり笑い声を搾り出す。そうだ。冗談に決まってる。
わたしがこうして笑ってお茶を濁して、それでもうこの話はおしまい。何事もなかったかのように元通りの空気になるはずなのだ。
けれどフユトさんは首を傾げる。
「えー、心外だなあ。からかってるつもりなんてないんだけど。二人にはどう見えるのか知らないけどさ、これでも僕は本気だよ。本気だからこそコーデリアちゃんをこのまま危険な場所に置いておきたくない。どう? コーデリアちゃん、真剣に考えてくれないかな? それとも、僕の事は嫌い?」
「え? いえ、その、嫌いというわけじゃないですけど……」
嫌いとか好きとかいうもので決めて良い問題じゃないような……。
「それならいいじゃない。僕も、かわいい女の子がそばにいてくれる生活っていいなあと思ってたんだよね。コーデリアちゃんなら大歓迎」
「え? そ、そんな……」
わたしは行くとも言ってないのに……!
無意識のうちにアルベリヒさんに助けを求めるように視線を向けると、目が合った。
「フユト、くだらない事言うのはやめろ。やめないのならさっさと帰れ。コーデリアだって困ってるだろ」
「でも、コーデリアちゃんは僕の事嫌いじゃないって言ってくれたよ? それに、危険な事をさせる兄さんのそばにいるよりは、僕のところに来るほうが、彼女にとってはずっといい事だと思わない?」
「それを決めるのはコーデリアだ。お前は独りよがりが過ぎる。コーデリアの気持ちも尊重しろ」
「ふうん。兄さんはコーデリアちゃんに任せるっていうんだ」
助け舟を出してくれた事は嬉しかったが、それを聞いてなんだか胸が痛んだ。わたしの考えを尊重する。まっとうな意見だけれど、それって、アルベリヒさんはわたしがここを出て行こうがなんとも思わないって事なのかな……。
わたしはアルベリヒさんのそばにいたい。でも、アルベリヒさんは、わたしがいなくても別に平気なのかな……。もしもわたしがフユトさんについていくって言ったら受け入れるのかな……? そんなの嫌だ……。
わたしの心の痛みなど知らないフユトさんがこちらに顔を向ける。
「じゃあ改めて本人に聞くけど、コーデリアちゃんはどうなの? 僕のところに来る気は無い?」
「え、ええと、フユトさんのお気遣いは感謝しますけど……でも、わたしは、ここにいたい……です」
「どうして? 言ったでしょ? 給金も増やすし、なにより、君にとって危険な仕事だってさせない。約束するよ。それなのに嫌なの?」
だって、わたしはアルベリヒさんが好きだ。だからアルベリヒさんのそばにいたい。でも、それを素直に口に出すなんてとてもできない。
「それともここから離れたくない理由でもあるの?」
フユトさんはまるでわたしの心を見透かしているように答えづらい問いを投げかけてくる。
確かにフユトさんの出す条件は破格なんだろう。危ない仕事だってさせないと言う。本当に私の身を案じているのかもしれない。だからこそ、ここに留まる理由を知りたがっているのかも……。
そんな人に、真実を言わずに断るには、どんな理由を使えば良いんだろう……。
言葉に詰まっていると、フユトさんがぱっと顔を明るくした。何かとても良い事を思いついたかのように。
「そうだ。それなら少しの間僕の家で暮らしてみない? お試し期間って事でさ。気に入ったらそのまま住み続ければいいし。きっとうまくいくよ。ほら、アンブローシャスもコーデリアちゃんになついてるみたいだし」
アンブローシャスがわたしの腕の中で身じろぎする。フユトさんの言葉を肯定するように。
「よし。それじゃあ早速引越しの準備をしよう。荷物運ぶの手伝うからさ」
フユトさんが立ち上がるとわたしの椅子の背もたれに手をかける。
「い、いえ。わたしはそんな……本当にその、結構ですから」
「遠慮しないで。ちょっとの間でいいから。ほら」
フユトさんはわたしを立ち上がらせようとさらに促す。
ど、どうしよう。フユトさんってこんなに強引な人だったっけ……? 確かに前にこの家に来たときにも、多少強引にドレスを贈ってもらったりしたけれど。
「やめろフユト」
その時、アルベリヒさんが声を上げた。立ち上がると、押しとどめるようにフユトさんの腕を押さえる。
それに驚いたのか、ロロがぱっと駆け出して部屋の隅のチェストの陰に隠れた。
「なんで兄さんが邪魔するの? コーデリアちゃんの意志に任せるんでしょ?」
「確かに言ったが、どう見てもコーデリアは乗り気じゃないだろ」
「急な話だから戸惑ってるだけだって。ねえコーデリアちゃん?」
「いいや、お前が勝手に盛り上がってるだけだ。しつこくするのはやめろ」
「兄さんこそ勝手にそう思ってるだけでしょ? 部外者は口を出さないで欲しいな」
二人の間に不穏な空気が流れ、わたしは慌てて止めようとする。
「あ、あの、ふたりともやめて――」
けれど、それはかき消されるように、二人の声は熱を帯びてゆく。
「部外者じゃない。俺はコーデリアの雇用主だ」
「あれ? さっきはコーデリアちゃんの意志を尊重するとか言ってたくせに。どんな心境の変化?」
「うるさい。さっきからお前の言葉が不愉快なんだ。強引で、身勝手で。今すぐそのうるさい口を閉じてこの家から出て行け……!」
「いいよ。コーデリアちゃんの荷造りが済んだらすぐにでも。それとも、兄さんはコーデリアちゃんに行って欲しくないのかな?」
「だから……! そうやっておかしな事を言うのはやめろって言ってるんだ!」
アルベリヒさんはフユトさんの腕を乱暴に掴む。よほど腹に据えかねたみたいだ。
どうしよう。こんな事になるなんて……わたしが曖昧な態度を取ったから? わたしのせい?
こんな事になるなら、もっと強くフユトさんの誘いを断ればよかった。
わたしが原因でふたりの仲がこじれてしまうんだろうか? そんなのだめだ。ふたりを止めなければ……!
「や、やめてください!」
わたしは椅子からがたんと立ち上がりながら思わず叫んでいた。
「わたしはどこにも行きたくありません!」
その勢いに二人は驚いたみたいだ。
けれど、一瞬の間を置いた後、フユトさんが今までと同じように口を開く。
「どうして?」
またこの質問だ。
曖昧な理由ではフユトさんは納得してくれないのかもしれない。
この人が納得する理由を言わない限り、この問題は堂々巡りするばかりなのだ。
どうしよう。どうしよう。
なんて言ったら良いんだろう。
でも、このふたりを止めなければ……。
俯くと、アンブローシャスの黒い瞳がこちらを見ていた。素直で純粋な瞳。わたしの事を信じきって、その身を預けてくれている。
アンブローシャスだって、こんな事望んでないよね。フユトさんが家族と諍いを起こすだなんて。ごめんね。わたしがはっきり言えないせいで。
アンブローシャスに心の中で謝ると、わたしは思い切って顔を上げる。
「……わ、わたしは――わたしは、アルベリヒさんの事が好きなんです。そばにいたいんです。だからフユトさんのところには行けません。ごめんなさい……」
ああ……言ってしまった。
「え? 何の話ですか?」
突然のことに話が飲み込めない。戸惑うわたしに、フユトさんは苦笑してみせる。
「何の話って……わからないかなあ。つまりさ、僕はコーデリアちゃんの事が気に入ってるんだよ」
そう言うと、ユフトさんは急に真剣な顔になる。
な、なんだろう。今まで見た事のない彼の表情に、ちょっとどきっとしてしまった。
「君が危ない目に遭うんじゃないかって考えると夜も眠れないくらいに胸が痛い。本当だよ。だから僕のそばで何の危険の心配をする事もなく、普通の女の子として暮らして欲しいって思うんだ。駄目かな?」
「は? え?」
つまりわたしを引き抜きたいという事……?
なにを言いだすんだこの人は。雇用主であるアルベリヒさんの前でそんな事を堂々と。それとも冗談なのかな……?
「フユト。お前はまたおかしな事を言って。コーデリアをからかうな」
わたしの心中を代弁するようにアルベリヒさんがたしなめてくれた。
うう、助かった……。実はなんて答えたらいいのかわからなかったのだ。冗談にしてはフユトさんは妙に真剣に見えるし。
「そ、そうですよ。びっくりしました。あはは……」
若干の落ち着きを取り戻し、無理やり笑い声を搾り出す。そうだ。冗談に決まってる。
わたしがこうして笑ってお茶を濁して、それでもうこの話はおしまい。何事もなかったかのように元通りの空気になるはずなのだ。
けれどフユトさんは首を傾げる。
「えー、心外だなあ。からかってるつもりなんてないんだけど。二人にはどう見えるのか知らないけどさ、これでも僕は本気だよ。本気だからこそコーデリアちゃんをこのまま危険な場所に置いておきたくない。どう? コーデリアちゃん、真剣に考えてくれないかな? それとも、僕の事は嫌い?」
「え? いえ、その、嫌いというわけじゃないですけど……」
嫌いとか好きとかいうもので決めて良い問題じゃないような……。
「それならいいじゃない。僕も、かわいい女の子がそばにいてくれる生活っていいなあと思ってたんだよね。コーデリアちゃんなら大歓迎」
「え? そ、そんな……」
わたしは行くとも言ってないのに……!
無意識のうちにアルベリヒさんに助けを求めるように視線を向けると、目が合った。
「フユト、くだらない事言うのはやめろ。やめないのならさっさと帰れ。コーデリアだって困ってるだろ」
「でも、コーデリアちゃんは僕の事嫌いじゃないって言ってくれたよ? それに、危険な事をさせる兄さんのそばにいるよりは、僕のところに来るほうが、彼女にとってはずっといい事だと思わない?」
「それを決めるのはコーデリアだ。お前は独りよがりが過ぎる。コーデリアの気持ちも尊重しろ」
「ふうん。兄さんはコーデリアちゃんに任せるっていうんだ」
助け舟を出してくれた事は嬉しかったが、それを聞いてなんだか胸が痛んだ。わたしの考えを尊重する。まっとうな意見だけれど、それって、アルベリヒさんはわたしがここを出て行こうがなんとも思わないって事なのかな……。
わたしはアルベリヒさんのそばにいたい。でも、アルベリヒさんは、わたしがいなくても別に平気なのかな……。もしもわたしがフユトさんについていくって言ったら受け入れるのかな……? そんなの嫌だ……。
わたしの心の痛みなど知らないフユトさんがこちらに顔を向ける。
「じゃあ改めて本人に聞くけど、コーデリアちゃんはどうなの? 僕のところに来る気は無い?」
「え、ええと、フユトさんのお気遣いは感謝しますけど……でも、わたしは、ここにいたい……です」
「どうして? 言ったでしょ? 給金も増やすし、なにより、君にとって危険な仕事だってさせない。約束するよ。それなのに嫌なの?」
だって、わたしはアルベリヒさんが好きだ。だからアルベリヒさんのそばにいたい。でも、それを素直に口に出すなんてとてもできない。
「それともここから離れたくない理由でもあるの?」
フユトさんはまるでわたしの心を見透かしているように答えづらい問いを投げかけてくる。
確かにフユトさんの出す条件は破格なんだろう。危ない仕事だってさせないと言う。本当に私の身を案じているのかもしれない。だからこそ、ここに留まる理由を知りたがっているのかも……。
そんな人に、真実を言わずに断るには、どんな理由を使えば良いんだろう……。
言葉に詰まっていると、フユトさんがぱっと顔を明るくした。何かとても良い事を思いついたかのように。
「そうだ。それなら少しの間僕の家で暮らしてみない? お試し期間って事でさ。気に入ったらそのまま住み続ければいいし。きっとうまくいくよ。ほら、アンブローシャスもコーデリアちゃんになついてるみたいだし」
アンブローシャスがわたしの腕の中で身じろぎする。フユトさんの言葉を肯定するように。
「よし。それじゃあ早速引越しの準備をしよう。荷物運ぶの手伝うからさ」
フユトさんが立ち上がるとわたしの椅子の背もたれに手をかける。
「い、いえ。わたしはそんな……本当にその、結構ですから」
「遠慮しないで。ちょっとの間でいいから。ほら」
フユトさんはわたしを立ち上がらせようとさらに促す。
ど、どうしよう。フユトさんってこんなに強引な人だったっけ……? 確かに前にこの家に来たときにも、多少強引にドレスを贈ってもらったりしたけれど。
「やめろフユト」
その時、アルベリヒさんが声を上げた。立ち上がると、押しとどめるようにフユトさんの腕を押さえる。
それに驚いたのか、ロロがぱっと駆け出して部屋の隅のチェストの陰に隠れた。
「なんで兄さんが邪魔するの? コーデリアちゃんの意志に任せるんでしょ?」
「確かに言ったが、どう見てもコーデリアは乗り気じゃないだろ」
「急な話だから戸惑ってるだけだって。ねえコーデリアちゃん?」
「いいや、お前が勝手に盛り上がってるだけだ。しつこくするのはやめろ」
「兄さんこそ勝手にそう思ってるだけでしょ? 部外者は口を出さないで欲しいな」
二人の間に不穏な空気が流れ、わたしは慌てて止めようとする。
「あ、あの、ふたりともやめて――」
けれど、それはかき消されるように、二人の声は熱を帯びてゆく。
「部外者じゃない。俺はコーデリアの雇用主だ」
「あれ? さっきはコーデリアちゃんの意志を尊重するとか言ってたくせに。どんな心境の変化?」
「うるさい。さっきからお前の言葉が不愉快なんだ。強引で、身勝手で。今すぐそのうるさい口を閉じてこの家から出て行け……!」
「いいよ。コーデリアちゃんの荷造りが済んだらすぐにでも。それとも、兄さんはコーデリアちゃんに行って欲しくないのかな?」
「だから……! そうやっておかしな事を言うのはやめろって言ってるんだ!」
アルベリヒさんはフユトさんの腕を乱暴に掴む。よほど腹に据えかねたみたいだ。
どうしよう。こんな事になるなんて……わたしが曖昧な態度を取ったから? わたしのせい?
こんな事になるなら、もっと強くフユトさんの誘いを断ればよかった。
わたしが原因でふたりの仲がこじれてしまうんだろうか? そんなのだめだ。ふたりを止めなければ……!
「や、やめてください!」
わたしは椅子からがたんと立ち上がりながら思わず叫んでいた。
「わたしはどこにも行きたくありません!」
その勢いに二人は驚いたみたいだ。
けれど、一瞬の間を置いた後、フユトさんが今までと同じように口を開く。
「どうして?」
またこの質問だ。
曖昧な理由ではフユトさんは納得してくれないのかもしれない。
この人が納得する理由を言わない限り、この問題は堂々巡りするばかりなのだ。
どうしよう。どうしよう。
なんて言ったら良いんだろう。
でも、このふたりを止めなければ……。
俯くと、アンブローシャスの黒い瞳がこちらを見ていた。素直で純粋な瞳。わたしの事を信じきって、その身を預けてくれている。
アンブローシャスだって、こんな事望んでないよね。フユトさんが家族と諍いを起こすだなんて。ごめんね。わたしがはっきり言えないせいで。
アンブローシャスに心の中で謝ると、わたしは思い切って顔を上げる。
「……わ、わたしは――わたしは、アルベリヒさんの事が好きなんです。そばにいたいんです。だからフユトさんのところには行けません。ごめんなさい……」
ああ……言ってしまった。
0
あなたにおすすめの小説
あなたの片想いを聞いてしまった夜
柴田はつみ
恋愛
「『好きな人がいる』——その一言で、私の世界は音を失った。」
公爵令嬢リリアーヌの初恋は、隣家の若き公爵アレクシスだった。
政務や領地行事で顔を合わせるたび、言葉少なな彼の沈黙さえ、彼女には優しさに聞こえた。——毎日会える。それだけで十分幸せだと信じていた。
しかしある日、回廊の陰で聞いてしまう。
「好きな人がいる。……片想いなんだ」
名前は出ない。だから、リリアーヌの胸は残酷に結論を作る。自分ではないのだ、と。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
離婚するはずの旦那様を、なぜか看病しています
鍛高譚
恋愛
「結婚とは、貴族の義務。そこに愛など不要――」
そう割り切っていた公爵令嬢アルタイは、王命により辺境伯ベガと契約結婚することに。
お互い深入りしない仮面夫婦として過ごすはずが、ある日ベガが戦地へ赴くことになり、彼はアルタイにこう告げる。
「俺は生きて帰れる自信がない。……だから、お前を自由にしてやりたい」
あっさりと“離婚”を申し出る彼に、アルタイは皮肉めいた笑みを浮かべる。
「では、戦争が終わり、貴方が帰るまで離婚は待ちましょう。
戦地で女でも作ってきてください。そうすれば、心置きなく別れられます」
――しかし、戦争は長引き、何年も経ったのちにようやく帰還したベガは、深い傷を負っていた。
彼を看病しながら、アルタイは自分の心が変化していることに気づく。
「早く元気になってもらわないと、離婚できませんね?」
「……本当に、離婚したいのか?」
最初は“義務”だったはずの結婚。しかし、夫婦として過ごすうちに、仮面は次第に剥がれていく。
やがて、二人の離婚を巡る噂が王宮を騒がせる中、ベガは決意を固める――。
【完結】孤高の皇帝は冷酷なはずなのに、王妃には甘過ぎです。
朝日みらい
恋愛
異国からやってきた第3王女のアリシアは、帝国の冷徹な皇帝カイゼルの元に王妃として迎えられた。しかし、冷酷な皇帝と呼ばれるカイゼルは周囲に心を許さず、心を閉ざしていた。しかし、アリシアのひたむきさと笑顔が、次第にカイゼルの心を溶かしていき――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる