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アルベリヒの答え
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まさかこんな時にこんな事を言うはめになるなんて想像もしていなかった。
それは他の二人も同じだったようで、先ほどまでの言い争いも忘れたかのように、驚いた顔でわたしを注視している。
部屋にはしばらくの間静寂が漂う。
やっぱり、アルベリヒさんは、わたしの気持ちに気づいていなかったみたいだ。でなければこんな反応しないだろう。
羞恥と後悔の念がわたしの心にぐるぐると渦巻いて、何も言い出せない。誰も何も言葉を発しない。
最初にその奇妙な均衡を破ったのはフユトさんだった。
「なんだ。そうだったんだね」
いつもと変わらぬ明るい調子で、かすかに笑ったような気がした。
「気付かずにしつこくしてごめんね。そういうことなら邪魔者は退散するよ。それじゃ、ふたりとも、またね」
軽く手を挙げると、驚くほどあっさりと、そしてあっというまに部屋から出て行った。
暫くして、玄関のドアの閉まるぱたんという音が聞こえた。
本当に帰ってしまったみたいだ。
と、そのとき、わたしの腕の中で温かいものが動いた。
「あ、フユトさん、アンブローシャスを忘れていってる……!? う、うそ、どうしよう……」
わたしの戸惑う声に、アルベリヒさんは背を向ける。
「放っておけ。そのうち気づいて取りに来る」
「で、でも……あの、わたし、フユトさんを追いかけてきます」
「……勝手にしろ」
そうして慌ててフユトさんを追って玄関のドアを開けると、そのすぐ目の前に彼はいた。まるでわたしが来るのを待っていたかのように。
「ごめんね、アンブローシャス。お前を利用するような事して」
わたしからアンブローシャスを受け取ると謝りながら撫でる。
「コーデリアちゃんもごめん。女の子にあんな事言わせるつもりはなかったんだけど。恥ずかしかったでしょ? ほんとごめん……実は、兄さんをちょっと煽るつもりだったんだけど、まさか君があんなこと言うなんて。完全に予想外だったというか……いや、でもやっぱり僕のせいか。ごめん」
フユトさんはわたしにもすまなそうな顔でひたすら謝る。
「煽るって、どういう意味ですか? 最初からアルベリヒさんと喧嘩するつもりだったんですか?」
「そうじゃなくて……」
フユトさんは気まずそうに頭をかく。
「うかうかしてるとコーデリアちゃんがどこかに行ったちゃうかもしれないよって、兄さんに自覚させたかったというか」
「なんのためにそんな事……」
尋ねると、何故かフユトさんは苦笑した。
「君もたいがい鈍いな」
どういう意味だろう。
首を傾げたものの、フユトさんは答えてくれなかった。
「でも、予想とは違う結果になっちゃったけど、僕はコーデリアちゃんに感謝してるよ」
「感謝?」
「うん。コーデリアちゃんみたいな良い子が兄さんの事を好きになってくれて嬉しい。さっきの言葉、本心なんだよね?」
改めて問われると恥ずかしい。
だけど事実だし、二人の前で思い切り告白してしまった手前、誤魔化すこともできずに頷く。
「そ、そうですけど……でも、アルベリヒさんはわたしの事どう思ってるかわからないし……」
「そんなの、心配しなくても大丈夫だって。これからも兄さんの事、よろしく頼むよ。あの通り捻くれてるけど、根はいい人だからさ。あ、きみはもう知ってるか」
何が大丈夫だと言うのか。全然大丈夫じゃない。勢いであんな事を言ってしまったけれど、これからまた家の中でアルベリヒさんと顔を合わせなければいけないのだ。そんなの気まずい。気まずすぎる。
けれどフユトさんはそんなわたしの内心に気づく様子もなく「じゃあね」と軽い調子で言うと、くるりと踵を返し去って行ってしまった。顔だけをこちらに向けて手を振って。
ひとり残されたわたしは、これからどうしたらいいのかと途方にくれる。
ああ、もう、なんであんな事言ってしまったんだろう。もう頭を抱えて地面を転げまわりたい……。
しかしながら、いくら気まずくともそのまま逃げるわけにもいかない。
重い足取りでおそるおそる部屋に戻ると、アルベリヒさんが窓のそばに立っていた。外の景色を眺めているようだ。その表情はここからは見えない。
「ええと、無事にアンブローシャスはフユトさんに返せました」
そう報告すると、アルベリヒさんは窓に顔を向けたまま「そうか」とだけ答えた。
うう、気まずい。でも、でも、アルベリヒさん、さっきの事、どう思ってるんだろう……。
やっぱり突然あんなこと言われて戸惑ってるかも……。
「あ、あの、アルベリヒさん、さっきは……」
言いかけるわたしの言葉を遮るように、アルベリヒさんは大げさなため息をつく。
「まったく、さっきは何事かと思った。コーデリア、お前、いくらフユトのところに行きたくないからって、普通あんな嘘つくか? まあ、おかげであいつも諦めたみたいだが」
「え……?」
どういう事? アルベリヒさんは、さっきのわたしの言葉を、あの場を切り抜けるための方便だと思っている……?
そんな、違う。違うよ。わたしはあの時本当に……。
でも、その一方で、さっきのあの言葉を冗談にしてしまえば、これまで通りの関係が維持できるのでは? という考えがかすめる。
何事もなく使用人と主人という関係のまま、これからも何も変わらずにこの生活が続いて行くのかもしれない。それもまた、ある意味幸せなのかもしれない。
でも……とわたしは考える。それなら、わたしのあの告白が嘘になっちゃう。わたしは本当にアルベリヒさんの事が好きなのに。それを嘘にしてしまっていいの? アルベリヒさんに対する心からの想いを偽りにしてしまっていいの?
もしもこれから先、再びアルベリヒさんへの想いを口にしたとしても、それも全部冗談だととらえられてしまうの?
そんなの嫌だ……。
その時、隠れていたはずのロロがどこからか現れて、わたしの足元に擦り寄ってきた。長いしっぽがわたしの足を撫でるように触れる。
ああ、本当にこの子はわたしの気持ちを察してくれる。心細いときに一緒にいてくれる。大好きなわたしの友だち。
わたしはロロを抱き上げる。わたしを見つめるその瞳が、背中を押してくれたような気がした。
ロロ、わたし、今から勇気を出すから、そばにいてね。
黒い仔猫を胸に抱くと、アルベリヒさんの背中に向かって口を開く。
「アルベリヒさん、さっきの言葉は、嘘なんかじゃありません。わたしはアルベリヒさんの事が好きです。本当です」
アルベリヒさんはかすかに顔を上げたような気がしたが、それでもこちらを見なかった。
「前にお祭りに連れて行ってくれましたよね。あの時、アルベリヒさんと一緒にいると幸せだって思って、同時にそれが好きって気持ちだって事に気付きました。確かに怖い目にもあったけど、でも、いつもアルベリヒさんが守ってくれたし、これからだって心配してません。それよりもわたしはアルベリヒさんのそばにいたい。それがわたしの幸せなんです」
わたしは時おり言葉に詰まりながらも続ける。
「買い物の時にいつも手を繋いでいてくれるでしょ? アルベリヒさんの手はとっても大きくて温かくて、わたしは、あの時間がすごく好きです。わざわざ遠くのお店に行くのも、本当はアルベリヒさんとずっと手を繋いでいたいから。その後で、わたしの作ったお料理を食べる姿を見るのも好きで、つい作りすぎちゃったり……ええと、それに、スケートを一緒に練習するって約束してから、冬になるのを楽しみにしてるし……今だって、お庭で一緒にお茶を飲めるように計画している最中だし。この間スミレを植えたんですよ……それから、それから――」
溢れそうなこの気持ちを明確に言葉にしようとすると難しい。ただでさえ気持ちが昂ぶっていて考えがまとまらない。途中でうまく説明できなくなってしまい、わたしは黙り込む。
どことなく張り詰めた沈黙がその場を支配する。
何か言って欲しい。言葉を聞かせて欲しい。できればアルベリヒさんの気持ちを知りたい。
そう願うわたしの耳に、アルベリヒさんの声が聞こえた。いつも聞いている心地よいテノールの声。
「すまないが……」
ぽつりとアルベリヒさんが言った。たったそれだけ。
でも、それだけで全てがわかってしまった。
こちらを振り向くこともなく発したその言葉の意味は「拒絶」。
わたしは、おそらく、きっと、とても悲しい事に
失恋してしまったみたいだ。
それは他の二人も同じだったようで、先ほどまでの言い争いも忘れたかのように、驚いた顔でわたしを注視している。
部屋にはしばらくの間静寂が漂う。
やっぱり、アルベリヒさんは、わたしの気持ちに気づいていなかったみたいだ。でなければこんな反応しないだろう。
羞恥と後悔の念がわたしの心にぐるぐると渦巻いて、何も言い出せない。誰も何も言葉を発しない。
最初にその奇妙な均衡を破ったのはフユトさんだった。
「なんだ。そうだったんだね」
いつもと変わらぬ明るい調子で、かすかに笑ったような気がした。
「気付かずにしつこくしてごめんね。そういうことなら邪魔者は退散するよ。それじゃ、ふたりとも、またね」
軽く手を挙げると、驚くほどあっさりと、そしてあっというまに部屋から出て行った。
暫くして、玄関のドアの閉まるぱたんという音が聞こえた。
本当に帰ってしまったみたいだ。
と、そのとき、わたしの腕の中で温かいものが動いた。
「あ、フユトさん、アンブローシャスを忘れていってる……!? う、うそ、どうしよう……」
わたしの戸惑う声に、アルベリヒさんは背を向ける。
「放っておけ。そのうち気づいて取りに来る」
「で、でも……あの、わたし、フユトさんを追いかけてきます」
「……勝手にしろ」
そうして慌ててフユトさんを追って玄関のドアを開けると、そのすぐ目の前に彼はいた。まるでわたしが来るのを待っていたかのように。
「ごめんね、アンブローシャス。お前を利用するような事して」
わたしからアンブローシャスを受け取ると謝りながら撫でる。
「コーデリアちゃんもごめん。女の子にあんな事言わせるつもりはなかったんだけど。恥ずかしかったでしょ? ほんとごめん……実は、兄さんをちょっと煽るつもりだったんだけど、まさか君があんなこと言うなんて。完全に予想外だったというか……いや、でもやっぱり僕のせいか。ごめん」
フユトさんはわたしにもすまなそうな顔でひたすら謝る。
「煽るって、どういう意味ですか? 最初からアルベリヒさんと喧嘩するつもりだったんですか?」
「そうじゃなくて……」
フユトさんは気まずそうに頭をかく。
「うかうかしてるとコーデリアちゃんがどこかに行ったちゃうかもしれないよって、兄さんに自覚させたかったというか」
「なんのためにそんな事……」
尋ねると、何故かフユトさんは苦笑した。
「君もたいがい鈍いな」
どういう意味だろう。
首を傾げたものの、フユトさんは答えてくれなかった。
「でも、予想とは違う結果になっちゃったけど、僕はコーデリアちゃんに感謝してるよ」
「感謝?」
「うん。コーデリアちゃんみたいな良い子が兄さんの事を好きになってくれて嬉しい。さっきの言葉、本心なんだよね?」
改めて問われると恥ずかしい。
だけど事実だし、二人の前で思い切り告白してしまった手前、誤魔化すこともできずに頷く。
「そ、そうですけど……でも、アルベリヒさんはわたしの事どう思ってるかわからないし……」
「そんなの、心配しなくても大丈夫だって。これからも兄さんの事、よろしく頼むよ。あの通り捻くれてるけど、根はいい人だからさ。あ、きみはもう知ってるか」
何が大丈夫だと言うのか。全然大丈夫じゃない。勢いであんな事を言ってしまったけれど、これからまた家の中でアルベリヒさんと顔を合わせなければいけないのだ。そんなの気まずい。気まずすぎる。
けれどフユトさんはそんなわたしの内心に気づく様子もなく「じゃあね」と軽い調子で言うと、くるりと踵を返し去って行ってしまった。顔だけをこちらに向けて手を振って。
ひとり残されたわたしは、これからどうしたらいいのかと途方にくれる。
ああ、もう、なんであんな事言ってしまったんだろう。もう頭を抱えて地面を転げまわりたい……。
しかしながら、いくら気まずくともそのまま逃げるわけにもいかない。
重い足取りでおそるおそる部屋に戻ると、アルベリヒさんが窓のそばに立っていた。外の景色を眺めているようだ。その表情はここからは見えない。
「ええと、無事にアンブローシャスはフユトさんに返せました」
そう報告すると、アルベリヒさんは窓に顔を向けたまま「そうか」とだけ答えた。
うう、気まずい。でも、でも、アルベリヒさん、さっきの事、どう思ってるんだろう……。
やっぱり突然あんなこと言われて戸惑ってるかも……。
「あ、あの、アルベリヒさん、さっきは……」
言いかけるわたしの言葉を遮るように、アルベリヒさんは大げさなため息をつく。
「まったく、さっきは何事かと思った。コーデリア、お前、いくらフユトのところに行きたくないからって、普通あんな嘘つくか? まあ、おかげであいつも諦めたみたいだが」
「え……?」
どういう事? アルベリヒさんは、さっきのわたしの言葉を、あの場を切り抜けるための方便だと思っている……?
そんな、違う。違うよ。わたしはあの時本当に……。
でも、その一方で、さっきのあの言葉を冗談にしてしまえば、これまで通りの関係が維持できるのでは? という考えがかすめる。
何事もなく使用人と主人という関係のまま、これからも何も変わらずにこの生活が続いて行くのかもしれない。それもまた、ある意味幸せなのかもしれない。
でも……とわたしは考える。それなら、わたしのあの告白が嘘になっちゃう。わたしは本当にアルベリヒさんの事が好きなのに。それを嘘にしてしまっていいの? アルベリヒさんに対する心からの想いを偽りにしてしまっていいの?
もしもこれから先、再びアルベリヒさんへの想いを口にしたとしても、それも全部冗談だととらえられてしまうの?
そんなの嫌だ……。
その時、隠れていたはずのロロがどこからか現れて、わたしの足元に擦り寄ってきた。長いしっぽがわたしの足を撫でるように触れる。
ああ、本当にこの子はわたしの気持ちを察してくれる。心細いときに一緒にいてくれる。大好きなわたしの友だち。
わたしはロロを抱き上げる。わたしを見つめるその瞳が、背中を押してくれたような気がした。
ロロ、わたし、今から勇気を出すから、そばにいてね。
黒い仔猫を胸に抱くと、アルベリヒさんの背中に向かって口を開く。
「アルベリヒさん、さっきの言葉は、嘘なんかじゃありません。わたしはアルベリヒさんの事が好きです。本当です」
アルベリヒさんはかすかに顔を上げたような気がしたが、それでもこちらを見なかった。
「前にお祭りに連れて行ってくれましたよね。あの時、アルベリヒさんと一緒にいると幸せだって思って、同時にそれが好きって気持ちだって事に気付きました。確かに怖い目にもあったけど、でも、いつもアルベリヒさんが守ってくれたし、これからだって心配してません。それよりもわたしはアルベリヒさんのそばにいたい。それがわたしの幸せなんです」
わたしは時おり言葉に詰まりながらも続ける。
「買い物の時にいつも手を繋いでいてくれるでしょ? アルベリヒさんの手はとっても大きくて温かくて、わたしは、あの時間がすごく好きです。わざわざ遠くのお店に行くのも、本当はアルベリヒさんとずっと手を繋いでいたいから。その後で、わたしの作ったお料理を食べる姿を見るのも好きで、つい作りすぎちゃったり……ええと、それに、スケートを一緒に練習するって約束してから、冬になるのを楽しみにしてるし……今だって、お庭で一緒にお茶を飲めるように計画している最中だし。この間スミレを植えたんですよ……それから、それから――」
溢れそうなこの気持ちを明確に言葉にしようとすると難しい。ただでさえ気持ちが昂ぶっていて考えがまとまらない。途中でうまく説明できなくなってしまい、わたしは黙り込む。
どことなく張り詰めた沈黙がその場を支配する。
何か言って欲しい。言葉を聞かせて欲しい。できればアルベリヒさんの気持ちを知りたい。
そう願うわたしの耳に、アルベリヒさんの声が聞こえた。いつも聞いている心地よいテノールの声。
「すまないが……」
ぽつりとアルベリヒさんが言った。たったそれだけ。
でも、それだけで全てがわかってしまった。
こちらを振り向くこともなく発したその言葉の意味は「拒絶」。
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