傲慢上司の躾け方

浅草A太朗

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タクシーが着く頃には既に夢の世界の住人になった中原の腕を肩にかけて支える他ない。
この調子ではしばらく起きもしないだろう。
幸いな事に明日は休み。
だからこそのこの盛大な飲み会であったとも言えるのだが。

いかに体力自慢の佐々木であっても、意識のない成人男性を引きずっていくのは至難の業である。
おとなしく到着したタクシーに中原を押し込んだ所で気が付いた。

彼の住居なぞ知らない。
かと言ってこの男を己の家に連れ込むなぞ反吐が出る。
ましてや目を覚ました時に何を言われるかわかったものではない。

仕方なく一緒に乗り込んだタクシーで近くのビジネスホテルの場所を運転手に告げる。
時刻が遅いこともありスムーズに走り出したタクシーはあっという間に目的地に到着した。

ホテルは幸いにして閑散期。予約なしで問題もなかった。
空き部屋を確保し、チェックインを済ませる間
待合のソファに転がしておいた中原がようやくうすらと目を覚ましたらしい。

だが佐々木はもうここに来るまでの間に決めていた事がある。
ここから彼を逆らえないようにしてやろうと。
彼の完璧超人なところを粉微塵にしてやろうと。

部屋に連れ込むも特に抵抗しない中原。
瞳は開いてはいるが、意識はまだ夢現といったところなのだろう。
それならばちょうどいい。
上着だけ皺にならぬよう脱がしてやった上で、ベッドに乱暴に投げやる。

そこでようやく寝言ともつかぬやや艶めかしい声をあげる。ん、と漏れた声に熱い酒精の混じった吐息が吐き出される。

ぼんやりと天井を眺める中原にそっと近づき
佐々木は耳元に唇をよせ囁く。

『これから起きることは俺が許可するまで思い出せない。だが忘れる事もない。』

そう低い声で中原の耳に、脳に染み込ませるように呟きついで指を鳴らす。
中原の瞳がぼんやりと一瞬濁る。
そして光を取り戻した頃にはうつらうつらと夢の中へ再び陥りかけていた。

『眠くて耐えられないでしょう?眠って構いませんよ。

低く甘い声で語りかければ、中原の瞼は素直に閉じられ健やかな寝息が後を追う。

その様子に満足げにひどく歪んだ笑みを湛えた佐々木は、手早く自らの上着やネクタイをかけるとベッドの真ん中で仰向けに眠る彼にゆっくりと跨った。

そう、彼が家を出た理由は能力者である事。
その力を使った家業を継ぎたくなかっただけではない。
彼は同性愛者なのだ。
親に打ち明けるまでもなく心を見透かされ実家では居心地が悪かった。
けして女性を抱けないわけではないが、劣情を催すのは圧倒的に男性相手だったのだ。

そういう点で言えば中原はいけすかない事極まりないが、佐々木の好みである事に違いはない。
しかも仕返ししてやりたいとなればこれ程の適役もいまい。

今までこの様な使い方はあまりしてはこなかったが
何とも都合の良い実験体が手に入ったものだ。
中原のネクタイを解き、シャツの前をはだけてゆく。中に着込まれた白い肌着を胸元まで引き上げる。

日本人にしては色白すぎる肌の色は酒によって赤みを帯び、うすらと腹筋の浮かび上がる腹部はしなやかで触り心地がよい。

さあこれからどうしてやろう、獲物を前に佐々木の目は酷くぎらついていた。
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