引きこもりの魔女の話

ともっぴー

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アレク、魔女に会いに行く(5)

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**エルシー

遠くまで行って買ってきただけあって、陛下はドラゴンフードをとても喜んでくれた。お腹を空かせていたこともあってバリバリムシャムシャとよく食べる。

「いい子ね。これからは木じゃなくてこっちを食べるのよ。」

「キュン」

分かったのか分かっていないのかは別として、返事は素直だ。

2人の男達はというと、無事に話し合いが終わったらしく、大人しくなって私の後を付いてきていた。
アレクのにこやかな顔とは対照的に、ダニエルの顔はえらく沈んでいるのだけど···。

「何があったか知らないけど、喧嘩はいけないわ。」

そう声をかけるとアレクは間をおいて、「そうだな。」と呟いた。

その声が妙に耳に残ったのは、沈黙が長過ぎたせいかしら?



**アレク

夕食はダニエルに作らせた。
その隙に、魔女と2人きりで話したかったのだが····そう上手くはいかないものだな。
子ドラゴンが城の中まで入ってきて、魔女に纏わりついていたのだ。魔女は笑っていた。
さっきも感じたことだが、魔女は変わった。

料理が出来てから子ドラゴンはようやく外に出され、3人で食事をした。
せっかく久しぶりに魔女と会えたのだが、どうも気持ちが沈んでしまう。胸に重しが乗っているようだ。それに、視界の端にいるダニエルの存在がざわざわと気に触る。

話が途切れた時に、思いきって聞いてみた。

「魔女···、今日はその、···いや、随分久しぶりに笑顔を見た気がする。」

もっと踏み込んで聞きたかったが、これが精一杯だ。

「····そう··ね。···確かに。」

少し考え込む魔女を見て、つい、拳に力が入る。
長年、閉ざされた魔女の心が開かれるのを切望していた筈なのだが、楽しそうな魔女をまの当たりにすると、言い様のないモヤモヤとした気持ちが、込み上げてくるのだ。
それは先程、魔女が「喧嘩はいけない」などと他人を心配する素振りを見せた時からだ。俺はずっと動揺していた。

「あ、私ここ数年、とても充実しているのよ。だからかしら?」

ちらりとダニエルを盗み見た。奴はどんな顔をしているのか······、ぐ。
·······ぎりり、と奥歯を噛み締めた。

「···それは、なぜだ?」

絞り出した様な声が出た。

「ふふふ。家族が出来たからよ。」

「はっ! 家族だとっ!??」

思わず立ち上がり大声を上げた。こんな奴が家族だとは!

「? ···ええ。私の家族よ。あなたも会ったでしょう?可愛い陛下と奥さんと子供達。」

「ん? ·······あ。ああ、あの····か、可愛い陛下···。 ···っだよな。そうだよな。そうだった、そうだった、可愛い陛下だったよな。」

なんだ。
全身の力が抜け、椅子にどしん、と座り込んだ。

そうだよ。ドラゴンに陛下なんて名前を付けてたじゃないか。ダニエルなんて無関係だ。

それが分かれば、十分だ。

だよな?
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