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**レイラ
「ジュリ、どうしたの?」
ジュリが突然の涙を流して驚いた。
「え? あれ、 あれ? おかしいな、すみません、、あれ、止まらな、、ひっ、、ひっく、、うぅ、、ひっく、 」
そのうちに、とうとう声を上げて泣き出してしまった。
私はジュリをソファーに座らせて、落ち着くまで背中をさすってあげた。
落ち着きを取り戻したジュリは、恥ずかしそうに、言った。
「すみません、ありがとうございます。こんな風にお菓子を分けてもらうなんて、初めてで、泣き出したら止まらなくなってしまいました。」
「そうだったのね、、、」
私に事情があるように、ジュリにはジュリの事情があるのだと思った。決して私だけが辛いのではない、と気付かされる。
「あ、ねぇ、じゃあさ、残りも全部食べちゃおうか。」
「ふふ、ありがとうございます。」
ジュリに笑顔が戻ってほっとした。
そして2人で美味しく食べていたのだけど、次の瞬間、同時に手が止まる事になった。
一番底に折りたたまれた紙が入っていたのだ。
はっと息を飲んだ。
「、、お、嬢様? こ、れ、、は、、、?」
手が震える。取ろうとしたけど、ジュリの方が早かった。恐くて顔を見れなくて、緊張しながらジュリの反応をまった。
かさっ、と開く音がする。
「、、お嬢様は、、陛下がお嫌いですか?」
ジュリがぽつりと聞いて来た。
陛下が嫌い? 質問に対しどう答えていいか、どきどきしながら言葉を探した。なんて書いてあるんだろう。
「い、いいえ。、、最初は恐かったけれど、今はそう思っていないわ、、え、ええと、嫌いじゃないわ。」
ジュリの目が再び紙に移された。
「 、、、では、これは、もう必要ありませんよね?」
沈黙の後、ジュリが差し出した紙を見ると、必ず助ける、とだけ書いてあった。それもシンの字だった。
背中が ひやり、とする。
「え、ええ。そうね。」
「リサさんですか? 私、伝えてきます。もう必要ないって。」
「え? ええ。あの、でもあの、私、この人に返さないといけない物があって、、、」
「それは絶対に返す必要がある物でしょうか?」
「ええ、とても大切な物なの。」
「この人に会うということですか? 陛下は、ご存知でしょうか? 」
「も、もちろん知っているわ。あ、で、でも、実際に会えるかどうかも分からないし、こ、この手紙の事は、言わないでいて欲しいの。」
「、、、」
「会えるか分からないけれど、もし会う事が出来たら、この人を巻き込まずに、逃がしてあげたいの。」
「、、、でも、陛下のお許しなく会う事は出来ませんし、お嬢様に何かあったら、、陛下が悲しみます。」
「ええ。分かっているわ、会えないかもしれない。だから尚更、事を荒立てたくはないのよ。
それに、私には何もおこらないし、、悲しむなんて、、陛下は悲しみはしないんじゃないかしら。 」
「陛下はきっと悲しみます。」
「、、、本当にそう思う?」
「陛下はお嬢様を大切に思っています。」
ジュリの言葉に胸がざわついた。私への執着がもしも、悲しんでくれる程の想いだったら、、もしも特別に思ってくれているのだったら、、、 私の気持ちを伝えて、きちんと通じ合えば、今みたいな飼われている様な関係ではなくなるかもしれない。
陛下を信じていいかもと、期待してしまう。
ジュリは長い間、沈黙して、静かに言った。
「今はいいません。だけど、必要があると思ったら、その時はごめんなさい。」
「、、、分かったわ。ありがとう。」
その後手紙は、マイクのと一緒に燃やしておいた。
***マイク視点***
蜂の巣を取りに、マルクスさんと森に来ていた。刺されたら危ないけど、虫を相手にするのはほっとする。森の空気も美味しい。
「おいマイク、ぼさっとしないで餌を仕掛けろ。」
「すみません、つい気持ちが緩んでしまって。」
頭をボリボリ掻きながら言うと、マルクスさんは笑った。
「ははは、そうか。まぁ、ちょっと嫌な仕事が続いたからな。でもマイク、優し過ぎるってのも考えもんだぞ。」
「はい、すみません。」
俺は蜂を誘き寄せる為の餌を枝に取り付けた。そして2人で草陰に隠れて寄ってくるのをひたすら待った。
しばらくすると、一匹の蜂が餌につられてやって来て、その蜂に、気付かれないようにそっと目印をくくりつけた。
「よし。飛んだぞ。あっちだ」
マルクスさんの指す方に目印が飛んで行く。見失わない様に2人で追いかけた。
何時間も追いかけて、やっとたどり着いた巣は、予想以上に大きく、立派だった。
作業を進めながら、ふと、思うことがあり、口に出した。
「マルクスさん、何だかこの方法って、ジェミューに印を付けるのに似ていますね。」
「ん? ああ、これを真似したんだろうなぁ。」
「え? そうなのですか?」
レイラと重なって、蜂が哀れに見えてきた。
「おいおい、虫にまで同情するなよ。これは仕事だ。」
「すみません。、、、マルクスさんは、この仕事で、辛くなることはありませんか?」
「そうだなぁ、今は慣れちまったけど、俺も最初は生きてる者から命を取るのが辛かったな。」
「そうですか、、、 俺も慣れちゃうんですかね、、」
「まぁ、仕事だからな。ところでお前何歳になった?」
「え? 19です。」
「そうか。早めに理解ある人を見つけておかないと、俺みたいになるぞ。」
笑いながら言われ、リサを思い出した。
「マルクスさんは、結婚を考えたことはないのですか?」
「結婚か? 昔、一度だけあったな。けどなぁ、相手はそう思ってくれなかったんだな。」
「え? リサとは、、、」
つい口から出てしまった名前に、マルクスさんが目を丸くした。
「リサ? あの娘は親子程も差があるぞ。」
「え? あれ? そう、、ですね、、、俺はてっきり、、だってマルクスさん、リサの事、いつも気にしてますよね?」
慌てて言ってしまい、しまったと思った。ばれたらリサに怒られそうだ。
「、、ああ、そう見えるか、、隠せないものだな、、、 リサは、俺が想っていた人の娘だよ。早くに亡くなってな。子供を残していくっていうのは、本当に可哀想だった。」
「、、、だから、リサに構うんですね。」
「まぁな。でも旦那様には言うなよ。あの人にちょっかい出したのを今だに根に持っているからな。」
ははは、と笑い飛ばすマルクスさんを、俺は複雑な思いで見ていた。
マルクスさんの思わせぶりな態度に一喜一憂しているリサには、伝えないほうがいいのだろうか、、、伝えないでいるのも気まずい。
俺は新たな悩みを抱えた。
「ジュリ、どうしたの?」
ジュリが突然の涙を流して驚いた。
「え? あれ、 あれ? おかしいな、すみません、、あれ、止まらな、、ひっ、、ひっく、、うぅ、、ひっく、 」
そのうちに、とうとう声を上げて泣き出してしまった。
私はジュリをソファーに座らせて、落ち着くまで背中をさすってあげた。
落ち着きを取り戻したジュリは、恥ずかしそうに、言った。
「すみません、ありがとうございます。こんな風にお菓子を分けてもらうなんて、初めてで、泣き出したら止まらなくなってしまいました。」
「そうだったのね、、、」
私に事情があるように、ジュリにはジュリの事情があるのだと思った。決して私だけが辛いのではない、と気付かされる。
「あ、ねぇ、じゃあさ、残りも全部食べちゃおうか。」
「ふふ、ありがとうございます。」
ジュリに笑顔が戻ってほっとした。
そして2人で美味しく食べていたのだけど、次の瞬間、同時に手が止まる事になった。
一番底に折りたたまれた紙が入っていたのだ。
はっと息を飲んだ。
「、、お、嬢様? こ、れ、、は、、、?」
手が震える。取ろうとしたけど、ジュリの方が早かった。恐くて顔を見れなくて、緊張しながらジュリの反応をまった。
かさっ、と開く音がする。
「、、お嬢様は、、陛下がお嫌いですか?」
ジュリがぽつりと聞いて来た。
陛下が嫌い? 質問に対しどう答えていいか、どきどきしながら言葉を探した。なんて書いてあるんだろう。
「い、いいえ。、、最初は恐かったけれど、今はそう思っていないわ、、え、ええと、嫌いじゃないわ。」
ジュリの目が再び紙に移された。
「 、、、では、これは、もう必要ありませんよね?」
沈黙の後、ジュリが差し出した紙を見ると、必ず助ける、とだけ書いてあった。それもシンの字だった。
背中が ひやり、とする。
「え、ええ。そうね。」
「リサさんですか? 私、伝えてきます。もう必要ないって。」
「え? ええ。あの、でもあの、私、この人に返さないといけない物があって、、、」
「それは絶対に返す必要がある物でしょうか?」
「ええ、とても大切な物なの。」
「この人に会うということですか? 陛下は、ご存知でしょうか? 」
「も、もちろん知っているわ。あ、で、でも、実際に会えるかどうかも分からないし、こ、この手紙の事は、言わないでいて欲しいの。」
「、、、」
「会えるか分からないけれど、もし会う事が出来たら、この人を巻き込まずに、逃がしてあげたいの。」
「、、、でも、陛下のお許しなく会う事は出来ませんし、お嬢様に何かあったら、、陛下が悲しみます。」
「ええ。分かっているわ、会えないかもしれない。だから尚更、事を荒立てたくはないのよ。
それに、私には何もおこらないし、、悲しむなんて、、陛下は悲しみはしないんじゃないかしら。 」
「陛下はきっと悲しみます。」
「、、、本当にそう思う?」
「陛下はお嬢様を大切に思っています。」
ジュリの言葉に胸がざわついた。私への執着がもしも、悲しんでくれる程の想いだったら、、もしも特別に思ってくれているのだったら、、、 私の気持ちを伝えて、きちんと通じ合えば、今みたいな飼われている様な関係ではなくなるかもしれない。
陛下を信じていいかもと、期待してしまう。
ジュリは長い間、沈黙して、静かに言った。
「今はいいません。だけど、必要があると思ったら、その時はごめんなさい。」
「、、、分かったわ。ありがとう。」
その後手紙は、マイクのと一緒に燃やしておいた。
***マイク視点***
蜂の巣を取りに、マルクスさんと森に来ていた。刺されたら危ないけど、虫を相手にするのはほっとする。森の空気も美味しい。
「おいマイク、ぼさっとしないで餌を仕掛けろ。」
「すみません、つい気持ちが緩んでしまって。」
頭をボリボリ掻きながら言うと、マルクスさんは笑った。
「ははは、そうか。まぁ、ちょっと嫌な仕事が続いたからな。でもマイク、優し過ぎるってのも考えもんだぞ。」
「はい、すみません。」
俺は蜂を誘き寄せる為の餌を枝に取り付けた。そして2人で草陰に隠れて寄ってくるのをひたすら待った。
しばらくすると、一匹の蜂が餌につられてやって来て、その蜂に、気付かれないようにそっと目印をくくりつけた。
「よし。飛んだぞ。あっちだ」
マルクスさんの指す方に目印が飛んで行く。見失わない様に2人で追いかけた。
何時間も追いかけて、やっとたどり着いた巣は、予想以上に大きく、立派だった。
作業を進めながら、ふと、思うことがあり、口に出した。
「マルクスさん、何だかこの方法って、ジェミューに印を付けるのに似ていますね。」
「ん? ああ、これを真似したんだろうなぁ。」
「え? そうなのですか?」
レイラと重なって、蜂が哀れに見えてきた。
「おいおい、虫にまで同情するなよ。これは仕事だ。」
「すみません。、、、マルクスさんは、この仕事で、辛くなることはありませんか?」
「そうだなぁ、今は慣れちまったけど、俺も最初は生きてる者から命を取るのが辛かったな。」
「そうですか、、、 俺も慣れちゃうんですかね、、」
「まぁ、仕事だからな。ところでお前何歳になった?」
「え? 19です。」
「そうか。早めに理解ある人を見つけておかないと、俺みたいになるぞ。」
笑いながら言われ、リサを思い出した。
「マルクスさんは、結婚を考えたことはないのですか?」
「結婚か? 昔、一度だけあったな。けどなぁ、相手はそう思ってくれなかったんだな。」
「え? リサとは、、、」
つい口から出てしまった名前に、マルクスさんが目を丸くした。
「リサ? あの娘は親子程も差があるぞ。」
「え? あれ? そう、、ですね、、、俺はてっきり、、だってマルクスさん、リサの事、いつも気にしてますよね?」
慌てて言ってしまい、しまったと思った。ばれたらリサに怒られそうだ。
「、、ああ、そう見えるか、、隠せないものだな、、、 リサは、俺が想っていた人の娘だよ。早くに亡くなってな。子供を残していくっていうのは、本当に可哀想だった。」
「、、、だから、リサに構うんですね。」
「まぁな。でも旦那様には言うなよ。あの人にちょっかい出したのを今だに根に持っているからな。」
ははは、と笑い飛ばすマルクスさんを、俺は複雑な思いで見ていた。
マルクスさんの思わせぶりな態度に一喜一憂しているリサには、伝えないほうがいいのだろうか、、、伝えないでいるのも気まずい。
俺は新たな悩みを抱えた。
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