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しおりを挟む「お邪魔しまーす...」
コウに宛てがわれた一室の入口で光が小さく会釈する。
「ま、まあ、テキトーに座って」
「あ、はい。...て、飲むんですよね?」
「あっ、一応、酒あるはあるけど、無理ならいいよ、無理しなくて」
はは、とコウは笑う。
引き攣り笑いになっているのはコウ自身も正直わかっている。
が、何故か、光をあのまま、帰したく無かった、これが本音だ。
手持ち無沙汰でソファに座り、辺りをキョロキョロしている光を眺める。
そんなちょっとした仕草すら可愛いと思う自分...。
(いつから俺、ゲイになったんだ....)
心ではそう思うものの。そこらの女の子よりも光は可愛い。
素の状態の天然っぽいところも、ふっくらとした柔らかそうな白い頬もくりくりとした大きな瞳も、さらさらしてそうで、いい香りがしそうな髪の毛も。
男にしては小さい手も。
あまりにまじまじと見ていた為に、光が気がついた。
「...どうしましたか?」
「や、ううん。悪い、暇だろ」
にこ、と光が笑んだ。
「大丈夫です。憧れの人とこうして一緒にいれる、て光栄だし、嬉しいから」
思わず、ドキ、とした。
(憧れの人...。俺が...?)
ごく、と自然と喉を鳴らした。
「あ。夜景。ここら辺、てまあまあ灯りあるから。実家とか田舎だから、全くなんですけど」
窓際に立ち、光が外の景色に目を輝かせている。
背後から抱き締めたくなるのを、ぐ、と堪えた。
例え、二丁目で勤務しているから、といえど、光がゲイかどうかは定かじゃない。
(...という言い訳だな、これ)
正直、男と致した事がない。それに、幾ら可愛くったって、付いてるもんは付いてるに違いないのだから...。
「どうします?飲みますか?」
明るい笑顔で光が振り向いた。
「あ、だね。ビールとハイボールがあるけど...あ、自販機にまだ他にもあるかもだけど、買いに行く?」
光は首を横に振ると、
「ビールでいいです」
と笑顔を見せた。
コウは冷やしておいたビールとハイボールを取り出し、ビールを差し出すと、
「ありがとうございます」
と光は満面な笑顔で受け取った。
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