君だけのナイト☆

ミヒロ

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数日後、学校から帰宅した俺は部活も終え、夕飯前にベッドに寝転がり雑誌を読み、ダラダラと過ごしていた。

不意に玄関がノックされ、開けると....。

天使の笑顔がそこにあった。

「これ...カップケーキなんですが、良かったら....」

店名も入ってはいないシンプルな箱を受け取った。

「あ、その...お口に合わなかったら、す、すみません。ま、不味かったら捨てていいですから....」

おどおどしたハルの姿もまた可愛らしい。

だが、そのセリフに気がついた。

「もしかして、手作り?」

「は、はい...。嫌ですよね、男の僕からなんて....」

「そんな事ないよ、ありがとう、嬉しいよ」

ハルが満面の笑顔になった。

「柔道部、て聞いたものだから、糖分は疲労回復にいいかな、て」

心遣いもまた嬉しい。

「ありがとう。良かったら、上がって一緒に食べないか?」

ドキドキしながらの提案に、ハルは顔色を曇らせた。

「あ、そうしたいですけど、でも、その」

「なにか用事があるの?」

聞いた俺が馬鹿だった。

突然、何処からともなくスマホが鳴り出した。

しばらく鳴り続け、俺は、出ないの?とハルに促した。

ハルは俯き、スマホを取り出し、耳に当てた。

『早く来いよ!ハル!時間、過ぎてんじゃねーか!』

スマホから誰ともわからない男の怒声が漏れていた。

「す、すみません、すぐ向かいますから」

慌ててハルは電話を切ったが、かなり気まづい空気が漂った。

「あ、その、僕、友人から呼ばれていたものだから...これで」

「あ、うん...またな」

「失礼します」

深々と頭を下げ、玄関を締め切る前にハルが走っていくのが見えた。

きっと、やる相手だろう。

俺とのときのように抱かれ、艶めかしい姿を見せるのか、と思うと、胸が痛んだ。

思わず、ハルの持ってきてくれたケーキの箱を投げそうになったが、寸でのことでやめた。

「....ケーキに罪はないよな」

テーブルに置き、箱を開けると、カップケーキが4つ入っていた。

1つに被りつくと程よい甘さが、俺には何故かとても苦く感じた。
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