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しおりを挟むそれから、セイヤさんは週に2日のペースで来店し、俺を指名した。
ただ...やっぱり何もしては来ない。
山のようにお菓子や飲み物をみんなで分けて、と持ってきてくれ、みんなセイヤさんが来る度、俺に群がった。
そして。シュンが指名された。
めちゃくちゃ緊張しているのがわかった。
肩を抱かれ、部屋に入るとしばらくして小さな喘ぎ声が聞こえた。
マコを見ると、親指の爪をカミカミしてた。
目が合ってしまい、
「なに」
と詰め寄られた。
ちょっとおちょくっただけなんだけど、俺をライバル視してるみたいだ。
「いや、心配してんのかな、て」
「そりゃ当たり前でしょ、タチだったのに...大丈夫かな、変なことされてないかな...」
しかめっ面で閉まっているドアを睨みつけている。
「変なこと」
俺はプリンの蓋をペリッと捲ると、右手にあったスプーンと同時にマコに取り上げられ、あ!と言ったが、
「大丈夫かなあ...」
勝手に食べ始めた。
「大丈夫だよ、うちの客、変なのいた試しはないし」
「どうだか、言わないだけなんじゃ」
俺のプリン食べ、あんあん聞こえるドアを見つめてる。
「オーナーの息子なんでしょ。開けて見てもいい」
「はあ?ダメに決まってる」
とプリンとスプーンを取り返し食べた。
「なんでだよ、あいつにもしもの事があったら」
とまたプリン奪われた。
「ないから」
「あるから」
そうして、プリン奪い合いしてたら、横からひょいとプリンが出てきた。
「やったあ!2個食べれる!」
はあ、とため息をつき、
「俺の客が持って来てくれたんだけど...別いいよ」
とあぐらをかいた足首を両手で握りしめた。
「嘘だよ、はい」
と、手付かずのプリンをマコに差し出されたが、要らない、とその場を去り、キッチン近くのソファに座った。
確かにシュンも心配ではあるんだけど...。
「なんだよ、根に持つタイプ?」
と、マコが着いてきてた。
真新しいプリンとスプーンを渡される。
「そうゆんじゃなくて」
「なに」
「これ、くれた人」
「プリン?」
「とか」
蓋を開けて食べた。
「もうひと月になるのにさ、会話だけで帰るんだ」
「ふーん、あれじゃない?勃たないとか?」
「まだ若いよ、20代」
「ふーん、なら、タイプじゃない」
「だったらなんで毎回、俺、指名」
「うーん...なんでだろ」
スプーンを咥えて天井を仰ぎ、マコが唸った。
「ありがとうございましたー」
受付してる、カズヤの声。
ふと、
(あ、昨日はリョウとしたし、今日はカズヤとしなきゃ)
なんて思い出した。
「シュン!」
マコが呼び、シュンが寄ってきた。
「どうだった?大丈夫だった?」
シュンがニコッと笑った。
「最初、緊張したけど、余裕だった」
マコはシュンを見上げ、固まってしまった。
「あ、プリンいーな。1口ちょうだい」
マコからプリンを取り上げ、食べ始めた。
マコはシュンを見つめ固まったまま。
「?」
と俺はリビングに戻った。
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