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33.湯けむりと耳飾りと、まどろみの夜
しおりを挟む——朝。
窓から差し込む柔らかな光が、メリィのまつげを照らした。
ゆっくりとまぶたが開き、ぼんやりと天井を見つめる。
「……ん……」
その気配に、すでに目覚めていたネロが声をかけた。
「……メリィ」
「ネロ…?……よかった、怪我、大丈夫…?」
メリィがゆっくりと身体を起こすと、ネロは静かに微笑んだ。
「オレは大丈夫だ。おまえこそ……痛いところ、ないか?」
「わたしは平気。ネロのほうこそ……無理、しないで」
見つめ合う二人に、部屋に入って来た仲間たちが駆け寄る。
「メリィ姉さま!」「よかった、起きたぁ!」
マヌルとメルルが尻尾をぶんぶん振りながら駆け寄ってくる。
「心配かけてごめんね……マヌル、メルル」
「うー…!無事だからいいけど!」
「ネロさまも無茶しすぎ!」
「オレは平気だって」
ネロが小さく笑う。
「無理すんな。今度何かあったら……メリィが泣く所じゃすまねぇぞ」
ワノツキが腕組みしながら低い声で釘を刺す。
その時、双子がハッとした顔をしメリィとネロを交互に見る。
「メリィ姉さま、その耳飾り……!」
「ネロさまのと、お揃いじゃないですか!?」
色こそ違えど同じデザインの耳飾りを片耳に付ける二人に双子は興味津々のようだ。
耳元に手をやり、照れるメリィ。
ネロはそっぽを向いて「……気にするな」と低く呟く。
「わぁー、!!いいなーいいなー!!!」
「いつの間に買ったんですか?ジョエルの街の時?まさか、ネロさま、こっそり買ってプレゼントしたのですか!?」
はしゃぐ双子に、ワノツキが呆れたように笑った。
「おまえら、朝っぱらから騒ぎすぎだ。」
その横でズメウがじっとふたりを見つめ——ぽつり。
「……我の分は、無いのか?」
静寂。
一瞬、全員がフリーズする。
「……ぷっ……あはははっ!」
ネロが吹き出し、メリィも思わず肩を震わせる。
ワノツキも「おまえな……」と苦笑い。
「何故だ。我も欲しい……」
ズメウは真顔のまま、首を傾げるのだった。
後日、
一行は湖の街を後にし歩き出す。
道中立ち寄った、温泉が名物の小さな村へと宿泊することになった。
全員で大浴場へ向かうと——
「えー皆様……なんとこちら“混・浴”!!でございます」
「なッ……!?」
「えぇぇぇ!?」
メリィが真っ赤になって飛び退き、ネロも顔をしかめる。双子は一瞬固まり——。
「「むしろおいしい展開!!」」
とガッツポーズ。
「落ち着け!!」
ワノツキが即座に止めた。
「小生、何も聞いておりませんでしたよ!?しかしこういうサプライズ、嫌いではありません!」
タカチホが派手にポーズを決める。
「男も女も体は同じだろう」
ズメウが無頓着に脱ごうとして、メリィが慌てて止める。
「ちょ、ちょっと待ってズメウ!そういうのはだめ!」
「あー、こうなると思った……ほら、ちゃんと仕切りあるみたいだぞ」
ワノツキが苦笑して脱衣所を指さす。
「メリィ姉さま!こっちの露天風呂は男女別々のようです!」
「一緒に行きましょう!!」
華やかな声は遠ざかり、混浴風呂では男性陣の筋肉自慢大会(主にワノツキとズメウ)が開催された。
そして男性陣は卓球勝負に。
ネロ、タカチホの頭脳チーム、ズメウ、ワノツキの筋力チームが争う!
勝敗は筋力チームが勝利を収めた。
「筋肉の差だな」
「うぐぐ……あんな重いサーブ、反則ですヨ……」
続いてサウナ我慢対決。
最後まで平然と座っていたのはズメウだった。
「ぐっ……まだだ……」
ワノツキが汗だくになりつつも耐える。
「……ふん。この程度、火山の炉心に比べれば……何ということはない」
汗ひとつかかないその顔に、ネロとワノツキが負けを認めるしかなかった——。
因みにタカチホは開始2分でダウンしたとか。
男性陣が部屋へと帰ってくると枕が飛んでくる。双子とメリィからの攻撃だった。
「「くらいやがれですー!!」」
「枕投げなら負けないよ!!」
「何故枕を投げるのだ?」
「そういうもんなんだ」
「っし!反撃開始だ!!」
「ちょ、まって!!どうして皆さん小生に向けて投げるんですか!や、やめ!アァーーー!!!!!」
夜、満天の星空の下。
楽しく賑やかな夜が更けていく。
そして翌朝——彼らは新たな目的地、「人形の街 マリオドール」へと出発するのだった。
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