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始まりの章
4話 真実とは……
しおりを挟むダイカン王国、リダ領にある公爵家ムンジェン・リダソンド邸。ソンドの街に大きく居を構える領主邸でありそれは一言で貴族感溢れる豪華な作りであった。
白を基調とした建物にふんだんに使われる金の装飾は恐らく魔法的な何かによる光源に照らされて燦爛と輝きを増し、銀の装飾がアクセントとなり主張の強い金の輝きを融和させていた。
俺の通された客室も豪華な作りでサイドチェストやテーブルにも金細工が施されていて、玄関ホールで見た巨大な金のシャンデリアに似た小じんまりとした銀のシャンデリアで部屋を照らされていた。
そんな豪華な貴族部屋で俺は動き易く普段着の様な服に着替えて、鏡の前で自分自身の顔を確認していた。
元々は純日本風なのっぺりとした顔の筈なのに、目の前に映る自分の顔が騎士仮面物語のアバターと瓜二つだったのだ。これは想像の範囲内だった、自分の身につけていた装備を見てすぐに直感できた事で多少の安堵感はあったが、少し気になるのがこの目つきだ。
コレは、悪い目つきだ。
街中でこんな目つきの人間に会ったならば確実に目を逸らして道を避けていくだろうと思える悪役な印象が強い目だ。
いや、瞳そのものにもそれは言えるのかもしれない。
その時にある漫画で人を殺めて人相の変わる表現をした物があったようなと、記憶の隅で思い出していた。ストレスは感じてなかった筈なんだが自分の印象とは違い身体にはハッキリと負荷が出ていたのかもしれない。
まぁ、今後慣れていけば元に戻る様なものかもしれないから今は放っておいても大丈夫だろう楽観的に思った。
深呼吸に似た深いため息を意識的に吐き出しながらベットに飛び付いて横になる。まるではしゃいだ子供の様だなと思うが触り心地のいいシーツに体が吸い寄せられる思いだった。
沈んでいく身体に脱力感が襲いかかってくるが俺はステータス画面から無限収納の中身の確認の必要性を感じていた。
アイテム欄は自動整頓の機能は付いておらず、使った物、手に入れた物が上から順に積まれていくシステムで、整頓はコマンド選択して実行しなければ乱雑に上から順に簡易的な使用ランキング的な性能になっていた。
ショートカットの様な機能は付いておらず、クエストによって使用頻度の高いアイテムは手動で入れ替えながら準備をしなければいけないと言う、毎度の「不親切にありがとうございます」の残念仕様だ。
しかし俺の使っていたアイテム以外はデフォルトの整頓済の並びに変わっている事から、無理矢理押し込められた感が強い。
デフォルトの並びとしては消耗品回復アイテムから装備品、食料系、素材、特殊アイテムの順に並べられている筈だ。
アイテムのページ数が517項となっている。1ページに100種類載ることから、全部で5万を超えるアイテム数になる訳か。膨大な量だ。しかし六法全書の様な何を言っているか分からない代物ではなく、アイテム一つのイメージが手に取るように分かるモノだから気持ちは何倍も楽に思える。
最初に違和感を覚えたのは神滅の杖だ。
これは装備欄の中に二つしか無かった。
全てのアイテムが無限という事ではないと最初に伝えられた気分だ。
そしてその後に見つけたのがはじまりの指輪だ。これはストーリーを進めると必ず手に入るイベントアイテムの一つで何故かバグを利用した無限増殖が不可能なアイテムの一つだった。
マイタウンが実装されてから行われるバグはデータのアイテムを全てタウンの中に置いてきてからロードし直すとアイテムは持っているのにタウンにはアイテムがビッシリと置き置かれていると言う仕様なのだがこの指輪は拾う事が出来ないと表示されるものだった。
性能も微妙で毒と即死の無効効果が付いているだけで防御力などには微塵も期待できないアクセサリーの一つだが、これも9999《over》と表示されている。
ここでちょっと考えてみた。人気の無い魔術師系装備の神滅の杖が2つしか無い。そして増やす事の出来なかったはじまりの指輪が9999《over》となっている事から全アイテムが9999を超えている事では無いと証明された訳だがなら一人一つのイベントアイテムがなぜカンストされているのか。
全プレイヤーのデータアイテムが俺の手元にあるのか、しかしその線は若干の薄さを感じる。
神滅の杖はエグい程のレア素材を3種類、二桁以上をご所望される神級の装備ではあるがその為に性能だけは破格で他の追随を許さない程の最強武器であるがその真価は発揮するにはある称号が最低条件であった。
それはソロ踏破者に与えられる『魔導の極みに見つめられる者』と言う称号でその恩恵はダメージキャップ開放と言うチート的な性能だった。
魔法の威力はMGIのステータスに依存して上下するがダメージの計算式の中に最大ステータスの項目があるために一定のステータスを超えるとそれ以上ダメージが上がらないという制限を取っ払ってしまう壊れ性能の一つだ。
只でさえ魔法のステータスによる上昇の割合が低い上にこんな計算式まで使われていては思うようにダメージが上がらないという事もあり、LV600前後の魔術師とLV999の魔術師のダメージはほぼ変わらない形になってしまっていた。
物理攻撃だと割合も高く、ダメージキャップそのものが無い為に、通常攻撃の倍くらいのダメージが魔法であり、物理系の最強スキル
だとその倍以上のダメージを叩き出せていた。
そしてステータスの割合が高いと言うことはLV900とLV999の違いも大きくあり、レベルカンストがどれだけ大事か痛感させられる事は想像に難く無いが、魔術師にとってはダメージキャップのせいで上がりにくいHPやDEFの差で若干死ににくくなる程度。
どれだけ不憫なのかとよく嘆かれていたし、嘆いてたものだ。
話が逸れたが魔術師の称号持ちは少ないであろうが確実にソロプレイヤーの中にはいる筈である。
俺は確かに努力して騎士仮面物語の中で自慢が出来る成果を挙げはしたが決して自分が特別だとは思っていなかったし、先達は必ずいる者だと思っている。
俺以上にハマってた廃プレイヤーも沢山いる筈だと思っているからこそ、この破格の性能の神滅の杖が2つと言うのはどうにも納得が出来なかった。
そうなると特定の条件のデータを俺が持っていると言うことになるが、これ以上は推測の域を超えないのでありがたくこのアイテム達を使わせてもらおうと過去に出会っていたプレイヤー達に軽く謝辞を思いなす。
装備の項目に目を通すとその数の違いが嫌でも目に入ってきた。
伝説級までなら9999《over》となってはいるが幻想級になると数の振り幅が4桁から3桁と極端に大きくなっていき、神級となると剣や大剣、太刀等の人気職は4桁に届きそうだが低いのは杖の2つと落差が目に付いてくる。
万を超えるアイテム5分の1以上は素材で埋められている。
ステータス上昇効果のある食事の種類も1万種類を超えていて消耗品の回復アイテムや装備品等は2000種類に及ぶが半分以上がアクセサリーで占められている。
残りの部分は特殊アイテムと言われる、魔法効果のあるアイテムである。
その一つに物見のメガネと言うアイテムがありこのアイテムを使うと始めて手に入れたアイテムの説明を見る事のできる言わば鑑定の効果がある。
しかしただの鑑定アイテムだが40種類ある
と言うと説明が下手とか、頭がおかしいとか言われるのだろうか。
別に装備用のメガネとか素材用とか分かれている訳ではなく、デザインで約40種類という訳の分からない仕様になっているのだ。
スタンダード、黒縁、レディース、インテリ、モノクル、サングラスと種類が存在して色も、黒、赤、青、銀、中には緑や鼈甲なども用意されているがこれはある人物の頭の悪い発言から増えることになった曰く付きのアイテムなのだがもう一つ同じ人物による曰くの付いたアイテムがあり、俺はまだその存在をまだ確認出来ていなかった。
後日の余談としてその曰くは必ず話そうとは思うが今は鑑定という機能がどこまで通用しているのかが気になる為に物見のメガネ(スタンダード)を身に付けて検証しようと思う。
アイテムの確認も完全では無いがこういう世界に来れたのだからその醍醐味の一つを堪能しようじゃないか。
異世界ラノベの王道、それは鑑定だ。
ひたすら鑑定の遊びに俺は疲れた心身も吹っ飛ぶような勢いでベットから飛び起きてメガネで辺りを見回して見る。
下級 メッキのテーブル(三流品)
下級 メッキのサイドチェスト(三流品)
中級 壁掛の鏡 (一流品)
下級 メッキのシャンデリア(三流品)
……………おい。
めちゃくちゃ良い部屋と思ってた所に思いっきり冷や水を浴びせられた気分だ。
真実は残酷なんだな、知らぬが仏とは良く言ったものだ。つか鏡だけが一流品で他が三流ってどういう事だ。しかも鏡だけ中級だ。
鏡の職人が良い仕事したのか?それとも他がダメなのか……いや、この事はあまり深く詮索してはダメな気がする。もっと別の物が観れる街中とかでこのアイテムは使うとしよう。
俺はその場で再度アイテム欄を開いて未だに見つけられないアイテムを一から探し始めた。
「女神のフンが無いんだよなぁ……」
呟いたと同時にドアからノックの音が鳴った。
「オフィーリアです、宜しければ御邪魔しても良いですか?」
夕食も終わり、就寝時間に差し掛かるような夜の時間に女性の訪問とは——。
まさかのテンプレ展開、お礼として今夜は的な展開になるのか!?
そんな淡い期待が自然と湧き出て返事の声もかなり上ずったものになってしまった。
「ど、どうぞ↑」
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