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第1章
9話 目覚めの日
しおりを挟む眠りにつくと一気に深い深層域まで意識が下がり俗に言うノンレム睡眠の状態へと移行するらしいが今回の俺の睡眠は一気に意識が下がり、そのまま急浮上して覚醒域までレベルが上がってしまったのだろう。
目覚めると隣には傾国の美女が寝息をたてていた。
森を通る街道のど真ん中で青姦とかどんなプレイなのだろうか。少しだけ自傷気味に自分の行いを責めたが俺はすぐに起き上がろうと体に力を入れた。
フロウローズの寝息の音や癖になる甘い花の香りから離れたくないと心が拒絶するがそれを払拭するように勢いよく立ち上がり辺りを見回した。
眠ってしまっていたがそれほど時間は経ってないのかもしれない。
辺りには脱ぎ捨てた俺の装備品が散らばったまま何かが近づいた跡や、通った痕跡は残されていなかったからだ。
俺はすぐに下着やズボンなどを履き、地べたに寝そべるフロウローズに最初に出した毛皮のコートを敷いてその上に移した。
そのままコートで包むと気持ちよさそうにしていたので一安心をしたが不安もあった。
フロウローズとSEXをする直前に彼女の瞳は淡い青色から淀んだ黒へと変わり始めていたのを見ていたからだ。
光から出てきた彼女の瞳は吸い込まれるくらい美しかった。
黒く淀んだとしても傾国の美女である事に変わりはないのだがそれでもあの青さを知ってしまうとやはり良くない傾向なのだろうとハッキリ分かる。
フロウローズ・ゴットバルド
LV8
貴族
称号 傾国の美女
状態 呪い
物見のメガネをかけてフロウローズを凝視してみると難なくステータスを見る事が出来た。やはり原因は呪いで間違い無いのだろう。これを解呪してやらないとフロウローズの目は初めて見たときの様に真っ黒に染まってしまう可能性がある。
フロウローズの横に座って額に手を当てて状態回帰の法を唱えた。
自分にかけた現行回帰の法の時より光が強く、時間もかかっている様に思える。
ずっと手を当てている部分から光が溢れていたが収まる気配が全く見えてこない。
俺の魔法では解呪出来ないのかもしれない。
その時は無限収納から聖水やら万能薬やら使えそうなものを片っ端から使ってやれば良い。
ふと自分の行動と焦っている心の内を理解して思わず一人で笑ってしまった。
どうやら本気で惚れてしまったに違いない。
これだけの美女であり、初の素人DTを脱却させてくれた女性だ。こだわりを持つのも至極当然なのだろう。
俺がこの世界で生き抜く為の強いこだわりになっていくかも知れない。
そして出来たらもう一度、あの青い瞳のフロウローズと笑顔で語り合いたいと強く願ってしまった。
そんな次の期待をいくつか思い当てると次第に光が収まり魔法の終わりを告げてきた。
フロウローズ・ゴットバルド
LV8
貴族
称号 傾国の美女
状態 普通
物見のメガネで鑑定をし直すと見事にフロウローズの呪いは解かれて無事に終わる事が出来た。フロウローズの状態をしっかり確認して軽く達成感が生まれて一息入れる。
寝息を立てるフロウローズの全身を初めてじっくりと見てしまった。
月明かりに照らされる白い肌は輝いても見え、その感触はサラサラで柔らかく。ずっと触っていたい欲望にかられてしまう。
細身でしなやかな体つき、それでもおっぱいは大きく、Dか、Eか、と思える存在感。
唇と同じ濃い桜色をした乳首が呼吸によって上下する姿を俺は固まった様に凝視してしまう。
ムクムクと湧き出る欲情に思わず手が伸びるがそれはすぐに思いとどまった。
契約、彼女はそう言って俺に身体を許してくれた。
一度許したなら二度も三度も同じだろうと言うのは男の身勝手と言うものだ。それに寝込みを襲そうのもまずいと思う、目を覚ました時に悲鳴と共に平手でも食らったら立ち直れないだろうな。
そう思いなおした俺はすぐにその場を離れて脱ぎ散らかした防具の回収をした。
相当焦って脱いだのが分かる程、脱いだ防具があちこちに点在していた。
胴回りなどの大きな部位は近場にあるのだが手甲や具足なんかは道端まで飛び散っておりそれを拾い集める姿がなんとなく恥ずかしかった。
片付けが終わり夜空に輝く月を見つめながら今後のことを少し考えてしまった。
フロウローズと交わした約束、契約と言った方がいいのだろう、彼女の復讐を手伝わなくてはならない。
嫌だと言うわけでもない、それによってフロウローズが救われるなら俺は喜んで手を貸すつもりだが、だが関われば確実に人を殺すだとか殺されるだとかそう言う人死に関わることになるのだろう。
正直に言えば怖かった。
憎しみに駆られたあの目、オフィーリアに向けられた憎しみの目も、公爵の人の命をなんとも思わないあのしたり顔も。
少しだけ重いため息をついて気持ちを切り替えると敷いていたコートごとフロウローズを抱えて森の中に移動する。
今日は野宿のつもりではあるがこんな街道のど真ん中に美女を裸のまま寝転がせて置けばあっという間に襲われてしまうのは当然だろう。
街道が見えなくなる程度まで森の中に入り、こじんまりと拓けたスペースにフロウローズを寝かせ、さらにその上に同じコートを上に被せる。
侵入防止の結界石をセットして俺も近くの木を背もたれにして座り込んだ。
今日はほとほと疲れた。
この世界に来て初めて人に会って、人を殺し、殺されそうになる。その後に怨念の塊の様な瞳をした傾国の美女を助けてDTを無事に卒業する。
濃密な1日だったと痛感しながら毛皮の山に隠れたフロウローズを一瞥した後、ゆっくりと目を閉じる。
すぐに思い出されるのはフロウローズと交じり合った時のこと。
苦悶に耐える顔、柔らかくサラサラな肌、癖になる甘い花の香り、そして最後に快感に蕩けた顔。
脳内プレイヤーが発動してその時の状況が鮮明に何度も繰り返し見ることができた。
気持ちの中ではそんなことせずにとっとと寝なくてはと思っていても脳内に走る映像が興奮を呼び起こして中々眠ることができない。
足に心地よい重みを感じて目を開けて確認をする。
辺りはすっかり朝になっていた。
木々の隙間を陽の光が差し込み、新緑の草木を更に白く染め上げるよな強さを放ち。恐怖や不安感を生み出していた夜の森は幻想感すら思わせる清々しい姿へ変えていた。
重みの正体は左足に縋りつくフロウローズでコートを着込み太ももに頭を乗せてピッシリとくっつきながら小さく丸まっていた。
頭を優しく撫でると、起きていたのかゆっくりと身を起こして真っ赤な顔をしながらあどけない少女の様ににっこりと笑って朝の挨拶をした。
「おはようございます」
「うん、ぉ、おはよう」
爽やかな朝の森に傾国の美女、そしてその透き通る様な淡い青色の瞳に俺の緊張は収まることなく強い鼓動を生み出していた。
惚れた。
心底そう確信した俺はフロウローズとの契約は必ず成し遂げると心に決めた。
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