スライムは仲間を呼んだ!~デバフで支援してたのに追放された俺はスライム狩りでレベル爆増!魔王を倒したら惚れられ、気付けばハーレム状態に!

藤村

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第三章 マナクルス魔法学園編

閑話① ロイス・レイウスの計画

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 ついにこの時がやってきた。

 一体、どれだけ待ちあぐねただろう。
 本当ならあの時。
 酒場で連れ戻すことができれば良かったんだけどね。

 計画とは実行に移す前の段階であり続けることが望ましい。計画とはあくまでも目的を達成するための手段。

 叶うのなら、そんなものに頼らずに目的だけを達成したい。
 それが僕の美学。
 
 だから嬉しかったなぁ。
 冒険者ギルドであの子の目撃情報が得られた時は。
 思わず踊ってしまうんじゃないかってくらいに嬉しかった。

 だが、僕の美学は瓦解した。

 なんだ、あの小生意気な小僧は。
 正義のヒーロー気取りか知らないが、
 他人の家庭の事情に土足で踏み入りやがって。

 出来ることならあの場で殺してしまいたかった。

 けれど一目見て理解したよ。
 こいつはヤバイってね。
 彼は抑えているつもりだったろうが、この僕の目は欺けない。

 全身から溢れ出る微弱なオーラ。
 それは異様なまでのプレッシャーを以てして僕の背筋を泡立たせた。

 あれ程までの手練れに出会ったのは実に一年振りだ。

 強きを愛する人間としての喜びと。
 目的を達成したいと願う人間としての怒りと。

 二つの感情が綯い交ぜになり、僕は激しい混乱に襲われた。
 混乱した時の対処法は心得ている。
 突拍子もないことをやってのければいいのだ。

 自傷行為なり酒の一気飲みなり。
 はたまた、金の無駄遣いなりね。
 僕は金の無駄遣いを選んだ。
 昔から浪費癖のある僕は、金を盛大に使うことによってストレスを発散してきたからだ。

 例えばギャンブルなどがそう。
 結果はどうでもいい。
 それで勝とうが負けようが、大金を消費したという事実が、僕の心を軽やかな気分にさせたものだった。

 顔も名前も知らぬクズの群れ。

 そんなクズどもに大金を使うのも一興かもしれないなと。冷静な部分の僕はそう判断したらしい。

 結果、効果は覿面てきめん
 さすがは僕としか言いようがない。
 店を出たあと、妙に気分が良かったのを覚えているよ。

 あの子を。
 ノエルを目の前で逃したというのにね。
 
#

「こっちの準備は順調だ。ロイス、そっちは?」

 ロイスに声をかけた筋肉質の男。
 彼はロイスの父、ヴェッジである。
 流れるような金髪とブルーの双眼が特徴的な、現レイウス家の当主だ。

 膂力パワー増強系のスキルとその体格から脳筋に思えるが、研究者としての一面も持ち合わせている。

 彼の開発した魔力増強剤やスキル付与剤は闇の世界で高く取引されている。

 表立って公表できないのは、
 非人道的な開発方法と命を脅かすほどの副作用が原因だ。

 だが、その存在を知らない人間はいない。
 数年前。
 これらを発端とした、大きな事件が引き起こされたからだ。、

「問題ないよ。プランAは既に始動している。……ただ、一つだけ不安要素が出来てしまった」

 ロイスは一枚の書類をヴェッジに渡した。
 それは肖像画と呼ばれるもので、そこに描かれていたのは――。

「なんだ、この男は」
「レイン・ロッド、十七歳。つい最近になって編入して来たらしい」
「何者だ」
「一応は剣士見習いなんだってさ。冒険者ギルドに問い合わせてみたら、レベルは23だと言われたよ。妙だとは思わないかい? ……あぁそうか。父さんにはまだ話してなかったね」
 
 ロイスは酒場でのことを話した。
 この自分ともあろう人間が、
 一見しただけで気圧されたことを。

「フム、それで23レベルというのは些か信じ難いな」
「メアリ・ルーの前例があるとはいえ、そんな特殊な存在が簡単に現れるとは考えにくい。それに、受付嬢の態度にも違和感を覚えた」
「というと?」
「妙に歯切れが悪かった。例えばそうだな……まるで、誰かに何かを口止めされているかのような。そんな歯切れの悪さだったよ」

 ロイスの勘は正しかった。
 まさしくその通り。
 
 今、魔法都市・カツシアの全冒険者ギルドには緘口令が敷かれていた。

 現代最強の魔法使い、メアリ・ルーからの要請とあっては、それを拒否できる人物はどこにもいなかった。

 受付嬢界隈は全身全霊でレイン・ロッドという人物の情報を隠蔽。

 さらに、SSS難度ダンジョン【最果ての洞窟】から☆マークを外したのである。
(☆マーク=ダンジョンクリア済みの証)

「なるほどな。その小僧には何か秘密があるやもしれん。お前ほどの手練れが言うのなら、私たちの方も最大限の注意を払おう」
「ああ、是非そうしてくれ。万が一のことがあったら……僕は暴れる・・・からね?」

 ロイスが「暴れる」という部分を強調して言うと。
 ヴェッジの頬を、一筋の冷や汗が流れていった。

「問題ない。この日の為に我々は一年の歳月をかけてきたのだ。昨年とは状況が違う。きっと上手くいくさ」
「うん、うん。そうだね、そうだよ、そうでなくちゃあ理不尽だよ」

 ロイスは懐からもう一枚の書類を取り出し、ニタリと笑った。
 それは、マナクルス魔法学園のカリキュラムである。

 今日の二限。
 二年赤組は年に一度の校外授業を行うことになっている。

 去年はヴェルモンドとかいう死に損ないに横槍を入れられたが、昔の話は水に流そう。

 大切なのは今!
 今この瞬間なのだから。
 今日だ。
 今日こそは必ずノエルを取り戻す。
 そのために僕は完璧な計画を用意したのだから。
 
 まずはレイウス家に仕える従者を学園に差し向ける。

 ノエルの居場所を特定するため、
 数多くのダンジョンに従者を待機させておく予定だからね。

 彼らを目撃した学生は魔道具のスマホウ・フォンで教師にコンタクトを取ろうとするだろう。それを邪魔だてする係を用意しておくのさ。

 地の利は向こう側にある。
 故にそいつは捕らえれるなり殺されるなりするだろう。だ

 がそんなことはどうでもいい。
 奴は所詮、数ある駒の中の一つに過ぎないのだから。

 本命は僕が雇った殺し屋の方だ。
 腕利きの少数精鋭がら影からノエルの奪還を狙う。それが作戦!

「完璧だ。あまりにも完璧すぎる。例えるならばそう、その完璧さはまるでこの僕のようではないか」

 作戦は完璧だ。
 どう考えても付け入る隙がない。
 故に!
 
 レイン・ロッドという不確定要素が存在したとしても、このプランAが失敗する可能性は限りなく低いということだ。

 仮に万が一失敗したとしても。

 僕には第二の矢、
 プランBがある。
 念には念を。
 僕は用心深い性格なのさ。

「ふふっ、もうすぐだ。ああ、愛しい愛しいノエル。可愛い可愛い僕のノエル。もうすぐだ。あともう少しで、また君を抱きしめてあげられるんだね? もう少しで、また一緒に暮らせるんだね?」

 考えただけで泣けてくるよ。
 
 ノエル、
 ノエル、
 ノエル……。
 好きだよ。
 愛しているよ。
 
 君のためなら、
 僕は僕の命だって投げ捨てられる。
 それほどまでに僕は君のことを愛しているんだ。

 分かってくれるよね?
 僕のかわいいノエル……。
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