外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花

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第一章

第28話 【冒険者登録・4】

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 それから冒険者登録は終わったので、俺と師匠は王都に戻ろうと思いギルドを出た。

「アレンさん! 用事は終わりましたか?」

「クリス。お前、まさかずっと待ってたのか?」

 冒険者ギルドの建物から出ると、俺達の後ろから追いかけて来たクリスさんが話しかけて来た。

「はい。だって、あのアレンさんが弟子を取ったなんて凄いニュースじゃないですか? 一応、情報屋の端くれですから待ってたんです。食事、奢るんでお話聞かせてもらえませんか?」

「飯か……アルフはどうする? 丁度、昼時だしタダ飯を食べられるが」

「俺は別に構いませんよ。でも、師匠は自分の事を話しても良いんですか?」

「こいつは信用のある情報屋だからな。まあ、安い飯で教えるつもりは無いけどな」

 師匠はニヤッと笑みを浮かべると、この街の高級料理店へと移動した。
 この店に入る際、クリスさんは落ち込んだ雰囲気を出していた。

「うう、情報料が高すぎる……」

「白金級冒険者の情報を手に入れようと思ったら、もっと掛かるんだからこのくらいで済んで有難いと思えよ」

「それはそうですけど~」

 クリスさんは愚痴を言うと、師匠は言い返し。
 それに対し、クリスさんは悲し気にそう肩を落としながらそう言った。
 それから個室へと案内され、メニュー表を見た。

「師匠。本当に好きな物を食べていいんですか?」

「大丈夫だぞ、お金はクリス持ちだからな。それにああみえて、クリスは金も持ってるから遠慮せずに注文していいぞ」

「そ、そんなにお金持ってないですからね? 程々にしてください!」

 そんな悲痛な叫びを横目に、俺はメニュー表から好きな料理を注文した。
 そして10分程して注文した料理が届き、料理を食べながらクリスさんとの話し合いが行われた。

「成程、やはりルクリア商会の会長が間に入っていたんですね。普段、こっちで活動をしてるアレンさんが王都に戻って暫く帰ってこなかったので、何かあったのかと思ってたんですよね」

「まあ、俺は冒険者の前にルクリア商会の一員だからな。エルドさんからの頼みがあれば、そっちを優先する。これは他の商会所属の冒険者も同じだろう」

「……それを聞くと、ルクリア商会は本当に凄い商会ですよね。確か、アレンさんの他にも白金級冒険者の方が居ますよね?」

 クリスさんの言葉を聞き、俺は口に入れていた料理を吹きそうになり、慌てて手で口を抑えた。

「えっ、そうなんですか!?」

「アルフは知らなかったか。一応、俺の他にも白金級冒険者は居るぞ。まあ、各地に今は散ってるから会ってないが。その内、帰ってくるからその時になったらエルドさんから紹介されると思うぞ」

「白金級冒険者って一つの商会に何人もいる程、沢山居ないと思うんですけど……」

 冒険者は世界に沢山いるが、白金級冒険者の数は少ない。
 年々増えてる冒険者だが、白金級冒険者になれる冒険者は沢山の冒険者の中から才能のある者しかなれない。
 その為、銀級冒険者や金級冒険者で止まる冒険者が多いと、以前見た本に載っていた。

「ルクリア商会が世界で有名なのは、商会の大きさもそうだけど。その商会に所属してる人達が個々で、凄い業績を残しているんだよ」

 驚く俺に対し、クリスさんはルクリア商会が何故凄いのか教えてくれた。

「その中でもアレンさんは特に凄くて、魔法使いとしての腕を評価されて国からスカウトされた程だからね」

「く、国からスカウトですか!?」

「何年も前の事だろ? 四六時中、貴族に囲まれた生活なんて嫌だから断ったけどな」

 平然とそう言う師匠に対し俺は、本当に凄い人が俺の師匠なんだなと改めてそう思った。
 その後、食事を終えた俺と師匠はクリスさんに別れの挨拶を言って、馬車に乗った。

「師匠。さっき言ってた白金級冒険者の方達って、いつ頃戻ってくるとか知ってますか?」

「俺も知らない。というか、いつ戻ってくるのか分からないんだ。偶にフラッと戻ってくる奴もいれば、エルドさんから呼ばれて戻って来たり、全員が一緒になる事はほぼ無い」

「そうなんですね。師匠以外の白金級冒険者の方って見た事が無いので、どんな方なのか気になります」

 そう俺が言うと、師匠は「戻って来た時の楽しみに取っておくんだな」と笑みを浮かべて言った。
 その後、俺は王都までの帰り道は馬車の中で、いつも通り魔法の訓練をして時間を潰す事にした。

「無事に冒険者登録は出来たみたいで良かったの」

 王都に戻ってきた俺と師匠は、商会に真っ直ぐ帰りエルドさんに報告を済ませた。
 エルドさんは俺の冒険者カードを見てそう言うと、師匠と大事な話があるからと俺だけ先に部屋から出された。

「もしかして、冒険者登録をしてる間に何かまた決まったのかな?」

 俺はそう思いながら、自分に知らされるまでは聞かないでおこうと思い寮へと戻った。
 それから俺は中途半端に時間があったので、夕食の時間まで広場で魔法の訓練の続きをする事にした。
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