外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花

文字の大きさ
34 / 140
第一章

第34話 【悩みの解決・2】

しおりを挟む

「所でアルフは、勉強は得意なのか?」

 話も落ち着いた所、エルドさんからそんな質問をされた。

「勉強ですか? 学園がどこまで教えているのかにもよりますが、学園で教わる内容でしたら大丈夫だとは思います」

 そう言うと、エルドさんは後で明日学力テストを行っても良いか尋ねて来た。

「大丈夫ですよ。あっ、それなら勉強道具があると助かります。最後に勉強してから大分経つので」

「うむ、分かった。後でアルフの部屋に届ける様に指示を出しておく」

 エルドさんからそう言われた俺は、久しぶりに勉強が出来るなと思い何故か少しだけ楽しみだと感じた。

「アルフ君、テストって聞いて楽しそうにしてない? 私だったら家でもテストとか言われたら、泣きそうになるよ?」

「そこまで勉強が嫌いなの? まあ、俺はそこまで嫌いじゃないからね。新しい知識を覚えるのは楽しいから」

 マルクスさん程では無いが、新しい事を覚えるのは昔から好きだった。
 それに記憶力には自信があるから、少し勉強すれば大体の事は思い出せるだろう。
 明日のテストで良い点数を取って、エルドさん達を驚かせようと密かにそう考えていた。

「って、そう言えばアルフを学園に通わせるのはいいですけど、どうやって入学させるんですか? もう入学時期から大分経ちますけど、それに学園に通う事が出来たとしても高等部に入学出来るんですか?」

 話が終わりかけて、解散となる前に師匠はそこに気付いてエルドさんに質問をした。

「そこは大丈夫だ。学園には遅れて入学できるように、特別入学試験というものがあってな。その試験に合格すれば、学園に入学する事が出来る」

「そんな制度があるんですね」

「普通の入学試験よりも難しくされておって合格する者は少なく、一般的には知られてない制度だな」

 そうエルドさんから教えて貰った後、明日の試験の為に時間が必要だろうと言われて話し合いは終わった。

「師匠。今日の訓練はどうしますか?」

「そうだな、明日テストが行われるなら勉強に時間を使った方が良いだろう。今日の訓練は休みにするか?」

「……あの、少しだけやりませんか? 勉強に時間が必要なのは分かってますけど、いつもしてる事を急にやめるってなると違和感を感じてしまうので」

 休みにするか? と聞いてくれた師匠に対して俺はそう言うと。

「アルフは本当に努力家だな。分かった。取り合えず、午前はいつもは運動とか【剣術】の訓練時間に使ってるが。そこを魔法の訓練時間にして、午後からは勉強の時間にするか」

「はい!」

 俺は師匠の言葉に、そう返事をして訓練を始めた。
 それから午前中だけしか訓練が出来ない俺は、いつもより更に集中して訓練を行った。
 そして訓練を終えた俺は、食堂で師匠と一緒に昼食を食べた。

「これが勉強道具かな?」

 昼食後、師匠とは別れて部屋に戻ってきた俺は部屋の中に木箱が置いてあり、その中にノートとペン、勉強用の本が入っていた。
 俺はそれらを箱の中から取り出し、テーブルに並べ勉強を始めた。

「なんだか懐かしいな……」

 勉強を始めて直ぐ、久しぶりに勉強したせいで懐かしさを感じ、昔の事を少しだけ思い出した。

「クラリス、元気にしてるかな」

 家で勉強をしている時、クラリスとよく一緒に勉強していた。
 だからなのか、俺は小さかったクラリスの幻覚を見て少しだけ涙を流した。

「懐かしんでる場合じゃない! 今は明日のテストの為に頑張らないと!」

 俺は自分の頬を両手で叩き、気合を入れ直した。
 それから俺は、夕食の時間まで勉強を続け。
 風呂と夕食を済ませた後、部屋に戻ってきた俺は再び勉強を再開した。

「アルフ。お前、もしかして寝ないでずっと勉強してたのか?」

「……途中から楽しくなって、つい徹夜してしまいました」

「勉強が楽しくって、アルフは本当に変わってるな……」

 翌日、朝食を食べていると師匠が来て、俺の顔を見た師匠は直ぐに徹夜したと気付いた。

「体調は大丈夫なのか? 具合が悪いとかなら、テストを明日にずらしてもらってくるぞ」

「いえ、大丈夫ですよ。それに目に少し隈が出来てますけど、そこまで眠いって訳でもないので」

「アルフがそう言うなら良いが……」

 その後、朝食を食べ終えた俺と師匠はテストを受けにエルドさんの部屋に向かった。
しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」 「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」 「それは貴様が無能だからだ!」 「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」 「黙れ、とっととここから消えるがいい!」  それは突然の出来事だった。  SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。  そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。 「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」 「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」 「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」  ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。  その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。 「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。 そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。 【第二章】 原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。 原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

処理中です...