外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

第一章

第35話 【悩みの解決・３】

　部屋に到着して入ると、中にはエルドさんとエリスさんが待っていた。

「おはよう。アルフ」

「おはよう。アルフ君」

「おはようございます。エルドさん、エリスさん」

　部屋に入り挨拶を交わした俺は、用意されていたテスト用紙を受け取り、問題を解き始めた。
　内容は復習した内容の所もあるが、殆どが知っている内容がテストに出ていた。
　もしかして、学園の入学テストよりも少し簡単なのかな？
　そう俺はテストを解きながら思い、１０分程で問題を解き終えた。

「終わりました」

「……見ておったから嘘じゃないと分かるが。ちゃんと解いたのか？」

「はい。簡単だったので、多分間違った所は無いと思いますよ」

「簡単……」

　エルドさんは俺の言葉にそう言うと、エリスさんに解答用紙を回収させて確認をさせた。
　そして数分後、エリスさんは少し手が震えながら「全部、合ってます」と言った。

「み、見せるんだ」

　エルドさんはエリスさんにそう言って、答案用紙を確認すると。

「本当に全部合っておる……」

　そう驚いた表情をして俺の顔を見て来たので、俺はあんなに簡単だったのに驚く所あったのかな？　と不思議に感じた。

「アルフ。お主は天才だったのか？」

「えっ、そのテスト簡単に作った物じゃないんですか？」

「……学園の特別入学試験と同等の問題をエリスに用意させたものだ。簡単という内容ではない」

「ええ、事前に私も解いてみたけどかなり難しく作ったつもりだったんだけど……」

　問題をかなり難しく作ったと言われ、俺は逆にそれを聞いて驚いた。
　今回解いた問題だが、俺が１０歳の頃には勉強していた内容だった。
　だからてっきり、初等部が受けるような問題で実力を測ろうとしていたのかと解きながら思っていた。

「……取り合えず、筆記試験は問題無さそうだな。後は実技の方だが、アレンそっちは頼めるか？」

「はい。本当は特別入学試験の日まで、筆記と実技の両方の時間を取る予定でしたが、今回のテストでアルフは勉強の時間は特に必要なさそうなので実技の為にいつもの訓練を続けさせておきますね」

「うむ、頼んだ。アルフも頑張るんだぞ」

「は、はい！　絶対に合格できるように頑張ります！」

　その後、俺はエルドさんの仕事部屋に来て３０分もしない内に退出して師匠と広場へと移動した。

「……まさか、アルフがあそこまで頭が良いとは思わなかったな」

「自分では頭が良いとは思った事は無いんですよね。家では基本的に褒められるもせず、淡々と次々と詰め込まれていたので……」

「そうなのか？　でも、それで身につけてるって時点で凄いと思うぞ。正直、俺はそこまで頭が良い方では無いからアルフは凄いと思うよ」

　師匠は幼少期から学問に苦手意識があるらしく、エルドさんに恥をかかせない為に最低限の事は覚えたと教えてくれた。

「さてと今日からの訓練だが、マルクスさんから言われた魔物狩りに手を出そうと思う」

「魔物狩り！　遂にですね！」

「本当はもう少し後にしようと考えていたけど、マルクスさんからの話を聞いて早い方が良いと思って予定を変更する事にした」

　今後の予定として、五日後に学園の入学試験がある。
　なのでその日まで、午前の剣術やトレーニングの時間も全て魔物狩りに使う事になった。

「それで師匠、何処で魔物狩りをするんですか？　王都近くで狩りをするんですか？」

「いや、王都の近くだと王都の冒険者と会う可能性が高い。アルフも自分を馬鹿にした相手と会うのはまだ嫌だろ？」

「……そうですね。出来るだけ会いたくない人達ではあります」

「だろ？　だから魔物狩りをする場所は、隣街のウィストで魔物狩りをする予定だ。登録以来行ってないし、あっちなら冒険者として活動をしながら魔物狩りが出来るからな」

　隣街のウィストは、冒険者登録をした街。
　前回見た感じ、冒険者の人達も良い人ばかりいたイメージだ。

「それとこれは大事な事だが、その期間は王都を行き来するのは面倒だから、街に滞在する予定だ」

「分かりました。寝泊りは宿ですか？　それとも、秘密の訓練場でやってたみたいに野宿ですか？」

「野宿でも悪くは無いが、今回は違う。ウィストの街には、俺の家があるからそこで過ごす予定だ」

　えっ、師匠って王都に住んでなかったのか！？
　俺はそれを聞いて驚き、師匠にその事を聞いた。

「言って無かったか？　普段、用事か無い時とかは向こうに戻っているんだ」

「そうだったんですね。知りませんでした。でも、何でウィストの街に家を持ったんですか？」

「……あっちの方が暮らしやすいからだな。王都は色々と煩い奴が多いからな」

　師匠は少し嫌な顔をしながらそう言い、俺は多分師匠が嫌がってるのは貴族絡みだろうなと察した。
　王都並みに冒険者が多いウィストの街には、王都とは違って貴族の数はそこまで多くない。
　その話を聞いた後、ウィストの街に向かう準備を始めた。