61 / 140
第一章
第61話 【注目の的・1】
しおりを挟むはじめての休日を終え、学園に登校をした俺は注目を集めていた。
「……なんか、先週より注目されてるような?」
学園までは馬車で移動する為、人の視線は感じなかった。
しかし、教室に向かっていると周りの視線を感じ、早歩きで教室まで移動した。
「なんでこんなに注目されてるんだ?」
「先週の授業でかなり凄い技連発してたでしょ? 師匠の件も合わさって、噂がかなり広まってるみたい」
教室に到着した俺は、情報を知る為に先に来ていたリサに尋ねるとそう言われた。
確かに先週、魔法訓練の際はアリスに魔法を見せるのも兼ねて、魔法は使っていた。
だけど俺からしたら、そこまで難しい魔法は使って無かったんだけど……。
「ちなみに魔法専門の人達よりも凄い魔法を使う生徒が居るって、学園でかなり噂になってるみたいだよ」
「マジか……」
生徒のレベルをちゃんと把握出来てなかったせいだな、今後はより気を付けないと。
俺は反省をしつつ、席に座りアリスに「おはよう」と挨拶をした。
「アルフ君、おはよう。朝から注目の的だね……私だったら、もう逃げてるよ」
「この間まではそこまでだったんだけどね。アリスにも迷惑だよね……」
「そんな事は無いよ。確かにちょっと人の視線は感じるけど、アルフ君と一緒に学園で生活できるのは楽しいから」
「ありがとう。アリス」
そう言われた俺は、少しだけ元気を取り戻した。
その後、休憩時間に廊下から視線をちょくちょく感じつつも、午前中の授業を終えて午後の授業となった。
「う~ん。やっぱり、ここは更に視線を感じるな……アリス、大丈夫か?」
「う、うん。大丈夫だよ……」
訓練場では多くの生徒がいる為、午前中よりも視線を感じる。
そんな場で俺の隣に居るアリスは、俺の後ろへと身を隠しながらそう言った。
「アルフ君、注目の的だね~。まあ、でもアルフ君の魔法を見たらそう思うのは仕方ないよね」
「あれでも抑えてたつもりなんだけどね……」
リサの言葉にそう返し、暫くすると先生が訓練場へとやって来た。
今日の授業内容は、現在の魔法のレベルを測る為に学園側が用意した的に魔法を当てる内容だった。
主に試験で行われるやり方で、こうして授業でやる事で本番での成功率や実戦で使う際により的確に使えるようにするためみたいだ。
「さてと……アルフレッド君、最初にやってくれるかな?」
「俺ですか?」
「うん。この中で一番、魔法のレベルが高いのは君みたいだからね」
先生からそう言われた俺は、周りからの視線を感じつつも呼ばれたからにはやらないといけないと思いながら前に出た。
「的は壊さない方が良いですよね?」
「そうだね。今回は、威力よりも精確性と魔法構築の早さを見ようと思ってるから、これは他の皆もだから的は壊さないようにね」
先生はそう言うと俺は、的から数m離れた位置に俺は立った。
「アルフレッド君、いつでも良いよ」
「はい。分かりました」
先生からの許可が下りた俺は、【水槍】を一本だけ作り的に向かって放った。
俺の魔法は的の中央に直撃して、威力を抑えていた為、的はすこしだけ凹んだだけですんだ。
「流石、アルフレッド君だね。魔法の発動も早くて、的の中央にしっかりと当ててるね」
先生は拍手をしながらそう言うと、それから生徒達は順番に同じように的当てを始めた。
「ねえ、アルフ君。どうやったらあんな綺麗に的に当てられるの?」
アリスとリサの所に戻ってくると、リサからそんな事を聞かれた。
「う~ん。まあ、訓練の成果かな? 師匠からは魔法展開の速さとかは、結局基礎が大事だって言われて色んな訓練をしてるけど、訓練が始まる時はいつも基礎訓練から始めてるんだよ」
「そうなの? もっとこう凄い訓練をしてるのかと思ってた」
「凄い訓練がどんなものを想像してるか分からないけど、師匠から教えられてる訓練方法は基本的に基礎を伸ばしていく感じの訓練だね。師匠曰く、強くなるのに近道は無いから地道に努力する事が大事だって言ってた」
「地道に努力……」
リサは俺からそう聞くと、やる気に満ちた目をして「私も頑張ろう」と言った。
「でも、リサは薬師になるのが夢なんじゃないの?」
「うん。でも、やっぱり薬を作るには自分で取りに行かないといけない時もあるでしょ? そんな時の為に、今から強くなっておきたいんだ」
「そうなんだ。もし何か困ったら、相談に乗るよ」
「えっ、良いの!?」
リサは俺の言葉に驚きそう聞いて来たので、俺はリサに対して「友達だからね」と言った。
「アルフ君、ありがとう!」
そうお礼をリサは言うと、俺の後ろに隠れてるアリスが少しだけ顔を出し。
「が、頑張ってね。リサちゃん」
「ッ!」
アリスからの応援の言葉にリサは勿論、俺もアリスの行動に驚いた。
魔法訓練はリサも含めて三人でずっと一緒に居たけど、アリスがリサに対してこんな風に喋りかけるの初めての事だ。
言った本人であるアリスは、恥ずかしくなったのか俺の後ろに再び隠れ、言われたリサは完全に固まってしまった。
それからリサは硬直したまま順番になってしまい、俺が大声で呼びかけてようやく意識が戻って来た。
823
あなたにおすすめの小説
なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?
名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」
「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」
「それは貴様が無能だからだ!」
「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」
「黙れ、とっととここから消えるがいい!」
それは突然の出来事だった。
SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。
そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。
「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」
「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」
「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」
ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。
その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。
「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。
いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。
そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。
【第二章】
原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。
原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる