外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花

文字の大きさ
62 / 140
第一章

第62話 【注目の的・2】✤

しおりを挟む
「ふむ、既に学園では注目されているのか……」

 一日の授業が終わり、商会へと帰宅した俺は学園での噂についてエルドさんに報告をした。

「注意する前の出来事だとは言え、既にそこまで学園に広まっておるとはな」

「師匠が落ち着くまで、迷宮でのレベル上げもできませんから」

「そうだな……暫くはこのまま様子見になるだろう。アルフは普段外に出掛けないが、学園から帰ってくる際も気を付ける様にこれはアリスもだぞ?」

「「はい!」」

 エルドさんから忠告をされた俺とアリスは、そう返事をしてから部屋を出た。
 その後、アリスとの訓練を終えて夕食を食べ、風呂に入って部屋に戻ってきた俺は椅子に座って考え事をしていた。

「師匠やエルドさん達は、俺の事を凄く心配してるのは俺がまだ弱いからだ……今より、もっと強くなるにはどうしたらいいんだ?」

 自分で言うのもあれだが、常人よりもスキルを覚えるのは早い。
 それにスキルレベルを上げるのだって、普通の人と比べたらかなり早く上げられる。
 だけど、スキルが有ったからと言って素の能力値が低ければ、どんなにスキルがあっても強い人には敵わない。

「どうしたらいいんだろう……」

 俺は悩むが、特に良い案は思い浮かばずそれから数日間、エルドさんから言われた通り、学園でも大人しく過ごす事にした。
 だけど一度有名になってしまった俺は、どんなに大人しく過ごしていたとしても人の視線を感じ、中々に居心地の悪い生活を送った。
 そんな生活を送りつつ、俺は自分の出来る事を精一杯頑張る事にした。

「アルフ。待たせて悪かったな、無事に出産を終えたから迷宮にレベル上げに行けるぞ」

 そう言われたのは、エルドさんから忠告をされて約二週間が経った頃だ。
 無事にリアナさんの出産を終え、母子共に健康な事を確認出来た師匠は、数日間家族と過ごして俺の所に来てそう言った。

「明日明後日、丁度学園も休みだろ? その二日間で迷宮に行こうと思う」

「その、凄く楽しみにしていましたけど……家族と一緒に居なくて大丈夫なんですか?」

「大丈夫だ。もうリアナも子供も安定しているし、万が一の事を考えて護衛も居るからな」

 そう師匠は言うと、この期間で俺がどう成長したのか確認する為にステータスを見せて欲しいと言ってきた。
 俺は特に拒否する理由も無い為、師匠と一緒に自分のステータスを確認する事にした。


名 前:アルフレッド
年 齢:16
種 族:ヒューマン
身 分:平民
性 別:男

レベル:15
筋 力:294
魔 力:435
敏 捷:103
 運 :91

スキル:【経験値固定:/】【剣術:6】     【属性魔法(4):/】
    【魔力制御:10】【従魔:10】 【調理:7】
    【指導:3】         【並列思考:3】【身体強化:3】
加 護:Error



水属性魔法:10
土属性魔法:8
火属性魔法:4
風属性魔法:6


「……何となく想像していたが、レベルが上がってないのにかなり能力値も上がってるし、何よりスキルレベルがかなり上がってるな」

「自分に出来る事は何かと考えたんですけど、やっぱり今の自分をより強くする事が大事だと考え。アリスの訓練を見ながら、この期間は自分を鍛える事に専念してきました。それで色んな訓練を同時にしていたら、何故か【並列思考】ってスキルも獲得しました」

「そのスキルも魔法使いなら使えるスキルの一つだな、同時に複数の事を考える事が出来るから戦況の把握だったり、複数の魔法をより多く出したりと色んな使い道が出来るんだが……」

 師匠は【並列思考】について教えてくれると、その次に獲得した【身体強化】へと視線がいっていた。

「【身体強化】はどうしたんだ?」

「それはエリスさんに教わったんです。接近戦もするなら、このスキルも持っていた方が良いと言われて、やり方を教わってこの期間に習得しておきました」

 師匠が居ない間、暇な時間を見つけてエリスさんは俺の訓練に付き合ってくれた。
 その際、接近戦も今後するならと新しいスキルまで教えて貰った。

「益々、アルフは魔法と剣士の両方を極めようとしているな……」

「両方出来ていた方が、戦いの場では有利だと師匠も言っていたので師匠が居ない間、その理想に少しでも近づけようと頑張ってみました」

「それが出来るから、アルフは本当に凄いよ」

 師匠は感心した様子でそう言い、俺は師匠からの褒められて笑みを浮かべた。
 その後、俺と師匠の会話が終わるのを待っていたアリスの訓練を再開し、その間に師匠はエルドさんの所に迷宮についての話をしに行った。

「アルフ君、迷宮に行くの?」

「うん。前から約束していたからね。強くなって戻って来るから、楽しみにしてて」

「……迷宮は怖くはないの?」

 アリスによって迷宮は怖い所の様で、そんな所に自分から行こうとしている俺にそんな事を聞いて来た。

「怖くはないかな? どちらかというと、楽しみだって思ってるよ。今まで訓練していた事を実際に試したいからね」

「そうなんだね。怪我はしないように無事を祈ってるね」

 そうアリスから言われた俺は、「ありがとう」と言葉を返した。
しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」 「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」 「それは貴様が無能だからだ!」 「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」 「黙れ、とっととここから消えるがいい!」  それは突然の出来事だった。  SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。  そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。 「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」 「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」 「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」  ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。  その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。 「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。 そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。 【第二章】 原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。 原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

処理中です...