外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花

文字の大きさ
76 / 140
第二章

第76話 【試験・2】

しおりを挟む

 翌日、学園に登校した俺はリサにエルドさんから許可が下りたから、商会でも勉強会が出来る事を伝えた。

「えっ、学園の外でも教えてくれるの?」

「昼休みだけじゃ、テストまで勉強時間が足りないと思うからね。それにテスト習慣は、基本の授業以外は休みなんでしょ?」

「うん。基本的に試験優先だから、試験時期はお休みになるから昨日はいつもより早くに帰れたよ。それで家で勉強しようと思ってたけど、いつの間にか薬の調合してたんだよね……」

「多分、一人でやるとそういうのに手が出ちゃうし一緒に勉強した方が効率は良いと思うけど、どうかな?」

 そう聞くと、リサは「絶対に行く!」と言った。
 リサは勉強会ではあるが、学園の外でもアリスと一緒に居れるからか「楽しみ~」と嬉しそうに言った。

「リサ、僕の事言ってくれた?」

「あっ、忘れてた。ごめんね~、レイン」

 俺とリサが話していると、そこにレインが加わった。
 クラスの人達はアリスが人見知りだと知っている為、アリスとずっと行動を共にしている俺にはあまり近づかないで遠くから見守っている。
 そんな中、レインだけは話をしに来ていた。
 レインはリサの幼馴染らしく、そこ繋がりで少しだけアリスもレイン君には心を開きかけてはいるが、まだ話しかけるのは程遠い感じだ。
 ただ初期に比べたら、少しだけ距離が縮まっていると俺は感じていた。

「アルフ君、良かったらだけど僕もその勉強会に参加させてくれないかな? 僕もそこまで、勉強に自信がある訳じゃないんだよね……」

「俺個人としては別に良いんだけど、使う場所が商会の建物だから俺個人では判断できないんだよね……」

「あっ、そっか……」

「それにアリスの許可も必要だしね、レインも勉強会に参加しても良いかな?」

 そう俺は隣で話だけ聞いていたアリスに聞くと、アリスは頷き「いいよ」とレインの参加は認めてくれた。

「となると、後はエルドさんの許可だけだけど、今日取れるか分からないけど一応来てみる? 無理だったら、帰る事になるけど」

「ついて行くよ。それで駄目だったら、お昼休みだけでも教えて欲しいかな」

「うん。そこは約束するよ」

 そうしてその日の学園が終わった後、商会の馬車にリサとレインも乗せて一緒に商会へと帰宅した。
 帰宅後、俺はエルドさんの所へと行き、レインも一緒に勉強会に参加して良いか聞いた。

「ふむ、その子もアリスの友達候補という事か?」

「そうですね。クラスの人達の中でリサが一番アリスと距離が近く、その次がレインですね」

「そうか、ならその子も一緒に勉強会に参加させても良いぞ。アリスには男女関係なく交友関係を広めて欲しいからな、そうしないといずれ商会を継ぐとなった時に大変になるからな」

「そうですね。学生の内に少しでも慣れておけば、大人になった時の苦労は減ると思いますしね」

 そうしてレインの参加も無事に降り、俺とレインとリサを寮へと案内した。

「ルクリア商会って昔から知ってたけど、こんなに敷地が広かったんだ……」

「俺も最初の頃は驚いてたけど、流石に今はもう慣れたよ」

「お父さん達、私がルクリア商会の建物に入ったって聞いたら驚くだろうな」

 リサは寮の案内を終え、勉強部屋として使う部屋に入るとそんな事を言った。

「リサの両親は、ルクリア商会関係者ではないんだね」

「今は別の商会と取引してるんだけど、いつかはルクリア商会と取引するのが夢だって言ってるよ。私達職人からしたら、ルクリア商会って憧れの商会でルクリア商会に認められたら、一人前だっていう職人もいるくらいだよ」

「そうなんだ。って事は、リサもいつかはルクリア商会と取引したいって思ってるの?」

「勿論。一人の職人として、やっぱりルクリア商会に認めて貰いたいからね」

 そうリサは自分の夢を語り、俺達は勉強会を始めた。
 まず最初に、各自の得意な科目と苦手な科目を言い合うと、アリス達は揃って〝得意・歴史/苦手・算術、魔法学、商売術〟となった。

「歴史は皆やっぱり得意なんだね」

「歴史って小さい頃から読み聞かせとかで聞いてるから、それで多分得意なんだと思う。誰々が活躍したとか、皆結構覚えてるからね」

「確かに小さい頃って、そういう系等の本で色々と覚えたりするもんね。逆に算術とかは、大人になっても出来ない人が多い位には難しいからね」

「ある程度は出来るけど、やっぱり苦手かな~」

 そうしてアリス達は一番苦手なのは、全員揃って〝算術〟という事も分かった。
 その他の教科は、それぞれ得意不得意が分かれていた。

「それじゃ、取り合えず今日の所は〝算術〟を徹底的にやろっか。少しでも理解できるようになった方が、試験に役立つと思うからね」

 そう俺は言って、早速算術をアリス達に教え始めた。
しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」 「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」 「それは貴様が無能だからだ!」 「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」 「黙れ、とっととここから消えるがいい!」  それは突然の出来事だった。  SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。  そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。 「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」 「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」 「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」  ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。  その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。 「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。 そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。 【第二章】 原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。 原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

処理中です...