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第二章
第80話 【代償・2】
しおりを挟むそれからルクリア家の人達はアリスを褒め称え、アリスの勉強の面倒を見た俺に凄く感謝していた。
その後、エルドさんは今夜はパーティーだと言って、食堂の方に連絡を入れていた。
そして、エリックさん達はアリスを連れて部屋から出て行き、俺だけエルドさんと部屋に残った。
「アルフ。改めて、本当によくやってくれた。あのままアリスが一人で学園に通っていたら、進学が出来ずに学園を辞めていたかもしれん」
エルドさんはそう言うと、成功報酬だと言って金貨数枚を渡して来た。
「え、エルドさん? 俺は仕事をしただけですから、これは受け取れません」
「仕事だととしても、成果がよかったら追加で報酬を渡すのは変では無いだろう? 今回の件は、ルクリア家の今後を変えたんだ。アルフの気持ちを考え、抑えに抑えてこの金貨の量なんだ。本来であれば、数百枚金貨を渡しても良いと儂は思っておるんだがの……」
エルドさんはそう言うと、この金貨を受け取らないのであれば、金貨数百枚を無理だと言っても渡すぞ? と変な脅しをされた。
流石にそんな大量の金貨は渡されたら困る為、俺は金貨を受け取る事にした。
「それと、アルフに残ってもらったのは報酬の件とは別に話す事があって残ってもらった」
「それって、家の事ですか?」
そう聞くと、エルドさんは頷き資料を取り出して机に置き。
俺はその資料の中身を見させてもらった。
その中には、ノルゼニア家の事を王家と共に調べた内容が書かれていた。
「こんなに酷い家だったんですね……」
「王もこれ程とは思って無かったみたいだな、上手く隠れていたがアルフのおかげで捜査が行われ明るみになって、凄く感謝していたぞ」
「それに関しては俺は本当に何もしてないんですけどね……それで、ノルゼニア家はこれからどうなるんですか?」
そう聞くと、エルドさんは国から聞いた話を俺に話してくれた。
今日から数日後、国は既に待機してる兵士達に連絡をいれて、ノルゼニア家と関わってる貴族を全てを捕らえる作戦を実行するみたいだ。
「貴族の家がかなり減りそうですね……」
ノルゼニア家を筆頭に資料の中には、ノルゼニア家を入れて5つ以上の家が関わっている。
俺が安心したのは、知り合いの家が無い事くらいだった。
あれ、でも待てよ? 家の者達が捕らえられるって事は、クラリスはどうなるんだ?
「アルフのその顔は妹の心配をしてるようだが、その心配は大丈夫だ。既に王家が動いて、アルフの妹は王城で生活をしている」
「あっ、そうなんですね……それは良かったです」
エルドさんのその話を聞いて、俺はホッと一安心した。
その後、エルドさんはまた数日後、呼び出すかも知れないとだけ言い話し合いは終わって部屋を出た。
「家、取り潰しかな……」
正直、未練とかは無いが自分の生まれ育った家が無くなってしまう事に対し、少しだけ寂しさを感じた。
もう家を出された身ではあるけど、育てて貰ったのは変わりないからな……。
だけど、その成長の糧に多くの人達を犠牲にしたと考えると……。
「いや、今は暗い事は考えないでおこう。今日はアリスの成績向上を祝うパーティーがあるんだから、こんな暗い気持ちになってたらルクリア家に失礼だからな」
そう俺は自分に言い聞かせ、気分を変える為に広場で少しだけ体を動かす事にした。
それから少しして、広場に居た俺にパーティーの準備が出来たと報告を受け、汗だけ綺麗にふき取ってから食堂へと移動した。
パーティー会場となった食堂には、いつも以上に人が集まっていた。
まだ開始前だが、エリックさんは既にお酒を飲んで酔っているみたいだ。
「アリスの成績向上を祝って、乾杯!」
「「乾杯!」」
エルドさんの乾杯の音頭にこの場にいる全員が、コップを掲げて「乾杯」と言ってパーティーが始まった。
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