外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花

文字の大きさ
80 / 140
第二章

第80話 【代償・2】

しおりを挟む

 それからルクリア家の人達はアリスを褒め称え、アリスの勉強の面倒を見た俺に凄く感謝していた。
 その後、エルドさんは今夜はパーティーだと言って、食堂の方に連絡を入れていた。
 そして、エリックさん達はアリスを連れて部屋から出て行き、俺だけエルドさんと部屋に残った。

「アルフ。改めて、本当によくやってくれた。あのままアリスが一人で学園に通っていたら、進学が出来ずに学園を辞めていたかもしれん」

 エルドさんはそう言うと、成功報酬だと言って金貨数枚を渡して来た。

「え、エルドさん? 俺は仕事をしただけですから、これは受け取れません」

「仕事だととしても、成果がよかったら追加で報酬を渡すのは変では無いだろう? 今回の件は、ルクリア家の今後を変えたんだ。アルフの気持ちを考え、抑えに抑えてこの金貨の量なんだ。本来であれば、数百枚金貨を渡しても良いと儂は思っておるんだがの……」

 エルドさんはそう言うと、この金貨を受け取らないのであれば、金貨数百枚を無理だと言っても渡すぞ? と変な脅しをされた。
 流石にそんな大量の金貨は渡されたら困る為、俺は金貨を受け取る事にした。

「それと、アルフに残ってもらったのは報酬の件とは別に話す事があって残ってもらった」

「それって、家の事ですか?」

 そう聞くと、エルドさんは頷き資料を取り出して机に置き。
 俺はその資料の中身を見させてもらった。
 その中には、ノルゼニア家の事を王家と共に調べた内容が書かれていた。

「こんなに酷い家だったんですね……」

「王もこれ程とは思って無かったみたいだな、上手く隠れていたがアルフのおかげで捜査が行われ明るみになって、凄く感謝していたぞ」

「それに関しては俺は本当に何もしてないんですけどね……それで、ノルゼニア家はこれからどうなるんですか?」

 そう聞くと、エルドさんは国から聞いた話を俺に話してくれた。
 今日から数日後、国は既に待機してる兵士達に連絡をいれて、ノルゼニア家と関わってる貴族を全てを捕らえる作戦を実行するみたいだ。

「貴族の家がかなり減りそうですね……」

 ノルゼニア家を筆頭に資料の中には、ノルゼニア家を入れて5つ以上の家が関わっている。
 俺が安心したのは、知り合いの家が無い事くらいだった。
 あれ、でも待てよ? 家の者達が捕らえられるって事は、クラリスはどうなるんだ?

「アルフのその顔は妹の心配をしてるようだが、その心配は大丈夫だ。既に王家が動いて、アルフの妹は王城で生活をしている」

「あっ、そうなんですね……それは良かったです」

 エルドさんのその話を聞いて、俺はホッと一安心した。
 その後、エルドさんはまた数日後、呼び出すかも知れないとだけ言い話し合いは終わって部屋を出た。

「家、取り潰しかな……」

 正直、未練とかは無いが自分の生まれ育った家が無くなってしまう事に対し、少しだけ寂しさを感じた。
 もう家を出された身ではあるけど、育てて貰ったのは変わりないからな……。
 だけど、その成長の糧に多くの人達を犠牲にしたと考えると……。

「いや、今は暗い事は考えないでおこう。今日はアリスの成績向上を祝うパーティーがあるんだから、こんな暗い気持ちになってたらルクリア家に失礼だからな」

 そう俺は自分に言い聞かせ、気分を変える為に広場で少しだけ体を動かす事にした。
 それから少しして、広場に居た俺にパーティーの準備が出来たと報告を受け、汗だけ綺麗にふき取ってから食堂へと移動した。
 パーティー会場となった食堂には、いつも以上に人が集まっていた。
 まだ開始前だが、エリックさんは既にお酒を飲んで酔っているみたいだ。

「アリスの成績向上を祝って、乾杯!」

「「乾杯!」」

 エルドさんの乾杯の音頭にこの場にいる全員が、コップを掲げて「乾杯」と言ってパーティーが始まった。
しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」 「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」 「それは貴様が無能だからだ!」 「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」 「黙れ、とっととここから消えるがいい!」  それは突然の出来事だった。  SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。  そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。 「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」 「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」 「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」  ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。  その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。 「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。 そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。 【第二章】 原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。 原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

処理中です...