外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花

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第二章

第88話 【規格外の兄妹・3】

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 王都に帰還後、商会へと戻って来てそのままエルドさんの所へと報告に向かった。

「ふむ、今回は前回よりも目標を下げた様だな」

「はい。あまり高い数値を言うと、アルフはそれに答えようと頑張るのであえて下げる事にしました」

「前回の探索でそれが分かっているからな、良い判断だ。このまま週末はレベル上げをしていけば、アレンのレベルにも追いつきそうな勢いだな……」

 以前、師匠にレベルを聞いて知っているが、師匠の現在のレベルは300を超えている。
 師匠の歳でとか言う以前に、レベル300なんて高いレベルは早々この国には居ないと習った。
 冒険者の中級クラスでも60後半、上位の冒険者でも100未満の冒険者も居る。
 そんな中、白金級とは言え300とは師匠は化け物だ。

「流石に師匠に追いつくにはまだまだ時間が掛かりそうですけど、これからも頑張ってレベルを上げて商会の役に立てるように頑張ります」

 その後、俺と師匠は部屋を出て寮の方へと行き一緒に風呂に入った。
 そして入浴を済ませ、そのまま食堂へと向かった。

「そう言えば、師匠。クラリスの調子はどうですか?」

「そうだな……魔法の素質があると理解していたが、俺の想像を超える程の逸材だな」

「師匠でもそう思う程ですか?」

「ああ、彼女の才能は間違いなく国が欲しがるレベルだな」

 クラリスの魔法の腕は高い事は知っていたが、師匠からもそう評価されるとは自慢の妹だ。

「妹を褒められて嬉しそうだが、俺の中では一番凄いと思ってるのは変わらずアルフだぞ。固定で経験値が入り、スキルもレベルも努力次第で上げられる。エルドさんが言ってた通り、直ぐに俺のレベルなんて抜かされると思ってる」

「レベルだけ抜いたとしても師匠の様な技術は全く身についてないので、そっちの方も頑張らないといけませんね」

「そこに関してはこれからもみっちり教えるつもりだ」

 そう師匠は言うと、今後の訓練の内容について少しだけ教えてくれた。
 それから夕食を食べ終えた俺は師匠と別れ、部屋に戻って少し休んでいるとクラリスが部屋に来た。

「兄さん、帰ってたんだね。勉強してて、迎えに行けなかった」

「大丈夫だよ。クラリスが勉強を頑張ってるのは知ってるからね。それで、どんな感じ?」

「今日から受付に入って仕事をしてみたんだけど、ちょっとだけ失敗しちゃった……」

「クラリスでも失敗するんだね。昔から、何でも出来たのに珍しいね」

 クラリスの言葉から〝失敗した〟と聞いた俺は、少し驚きながらそう言った。

「初めての〝労働〟で、自分で思ってた以上に緊張してたみたい。でも先輩の受付係の人が助けてくれて、なんとか一日無事に仕事出来たよ。先輩からも筋が良いって褒められて、明日も仕事に入る予定なんだ」

「楽しそうで良かったよ。ルクリア商会の人達はいい人達ばかりだけど、何か困ったらいつでも俺を頼っていいからな?」

「うん。兄さんも何か困ったら、私に言ってね」

 そうお互いに言った後、少し迷宮の話をしてから明日も朝が早いのでクラリスを部屋の外に見送り、俺はベッドに横になり眠りについた。
 翌日、学園に登校してアリス達と話をしていると、なんだか廊下の方が騒がしくなり、気になった俺は廊下を見に行った。

「やあ、アルフ。話し合いぶりだね」

「レオルド!? な、何でここに居るの?」

「ちょっと、アルフと話をしたいと思ってね。今日のお昼休憩、もし時間があるなら少し話せないかな?」

 レオルドにそう言われた俺は、俺の後ろにピッタリと付いてきていたアリスに「お昼一人になるけど良いかな?」と聞くと。

「私は大丈夫だから、王子様を優先して……」

「大丈夫みたい。学園の食堂に行けばいいかな?」

「いや、それよりもいい場所があるから、昼休憩になったら迎えに来るよ」

 レオルドはそう言うと、去って行きその場には王子と話していた俺に注目してる生徒が残った。
 俺はそんな生徒達の視線から逃げるように教室に戻ると、レイン達から「さっきのあれなんだったの?」と聞かれた。

「俺にもよく分からん。事前に何か連絡があったわけでもないからな。多分、レオルドの独断だとは思うけど時と場所を選んで欲しかったな……」

「アルフ君と王子様がお友達って事は前に聞いて知ってたけど、あんなに仲良く喋るのを見ると知ってても驚いちゃったよ」

「私も王子様がここに来た事よりも、アルフ君とあんなに楽しそうに喋ってる王子様の顔に驚いちゃった」

 レインとリサがそう言うと、俺の隣ではアリスも何度も頷いていた。
 その後、暫く廊下から視線を感じていたが、俺はただジッと先生が来るのを待ち続けた。
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