外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花

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第二章

第89話 【規格外の兄妹・4】

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 それから人の視線を感じつつも耐え抜き、ようやく昼休みとなった。
 レオルドは朝の約束通り、俺を迎えに来たので俺はアリスに「行ってくるね」と言って教室を出た。
 その後、レオルドについて行った俺はとある部屋に案内された。
 その部屋は広すぎない丁度いい感じの部屋で、家具も良い物が揃えられていた。

「ここって何に使われてる部屋? やけに私物が多いけど……」

「まあ、言ってしまえば僕の私室かな? アルフも最近は経験してるから分かるけど、人の視線は集めすぎると気持ちのいい物では無いからね」

「まあ、確かに……今日は尚の事、それを感じたよ」

「そんな人達に対して、学園も措置を取ってくれててね。成績が優秀であれば、自分の私室として使える部屋を用意してくれるんだよ」

 成績がいいとそう言った特典も貰えるのか、結構この学園は実力主義な所があるんだな。

「多分、アルフも申請したら使わせてもらえると思うよ」

「いや俺は申請しないかな。学園ではアリスと一緒に行動していて、基本的に教室からは出ないから部屋まで歩いて来る方が疲れそうだ」

「聞いてるよ。アルフがどういった理由で学園に通ってるのか、でもアリスさんの為にも部屋を用意してたら心が休まる場所として使えると思うけどね。いうだけはタダだし」

 そうレオルドは言うと、この話はここで終わり。
 今回、俺を呼び出し話へと変わった。

「実はアルフに頼みたい事があるんだ」

「頼み?」

「アルフが放課後、ルクリア商会の寮で訓練をしてるのは聞いて知ってる。もし良かったら、僕もその訓練に参加させてほしい」

 レオルドはそう言うと、俺に対して頭を下げてきて俺は驚いた反応をした。

「えっ、訓練に参加? 別にそんな改まってお願いしなくても、俺は別に良いけど……」

「訓練に参加してもいいのか!?」

「うん。でもレオルドが来るってなると、陛下とエルドさんの二人の許可が必要じゃない? 後はまあ、アリスが緊張するかもだから、時間を分ける事になるかもしれないね」

「……そんな簡単に決めていいのか?」

 来ても良いと言った俺に対して、レオルドは驚いた顔をしてそう聞き返してきた。

「うん。レオルドは友達だし、俺としては教えられる事があるなら教えてあげたいけど、流石に王子様を俺の独断で寮に連れてはいけないし……」

「いや、迷う所はそこなの? ほら、教える相手が増えて負担が増えるとか思わないのか?」

 レオルドは俺の負担が増える事に対し、不安を感じていた様でそんな事を聞いて来た。

「ん~、人に教える事が負担だとは思わないよ? 人に教える事で新しい気づきも出来るし、俺としても良い事ではあるんだよ」

「そうなのか?」

「うん。まあ、アリスがレオルドに緊張したら毎日は無理だけど、陛下達から許可が下りるなら週に二日。レオルドとだけの訓練時間を作っても、アリスの訓練に問題は無いと思うし」

「……ハッ、ハハハ!」

 アリスが緊張した時の事を踏まえて話していると、レオルドは突然笑い出した。

「どうしたのレオルド?」

「いや、アルフは本当に良い人すぎるなって思ってね」

「そりゃ、友達が頼ってくれたんだからそれに応えようとしただけだよ。それとも、さっきの頼みは嘘だったの?」

「いや、訓練をつけて欲しいのは本当だよ。後、父上とエルドさんの許可だけど既に取ってあるんだ。後は、アルフが許可待ちで久しぶりに二人で話したいと思って今日呼び出したんだ」

 昔から用意周到なレオルドの事だから、既に許可を取ってるんじゃないかなと思っていたけど、俺の予想通り取っていたようだ。

「レオルドも昔から変わらないね。その用意周到さは」

「これでも王族だからね。先を見据えて行動をしなさいって、そう教えられて育ってるからね」

 自慢気にレオルドはそう言うと、今日の学園が終わったら別の馬車で商会に出向いてアリスと顔合わせをすると言った。

「エルドさんからもアルフが許可を出しても、アリスさんが無理そうなら考えてくれって言われてるから、もしその時点で駄目だったらさっきの日程をずらすやり方になるけど、それでアルフは本当に大丈夫なの?」

「アリスの訓練も大事だけど、レオルドも大事な友達だからね。そうなった時は、俺からアリスとエルドさんに話しておくから大丈夫だよ」

「ありがとう。アルフ」

 俺の言葉に対し、レオルドは笑みを浮かべてそう言った。
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