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第二章
第105話 【冒険者活動・3】
しおりを挟む本格的な冒険者活動を始めてから、二週間が経った。
この二週間で俺は数多くの魔物と戦い、沢山の経験を積んだ。
今までゴブリンやウルフ、スライム等と言った低級の魔物とばかり戦っていた俺だが。
この数日間は、それらの魔物に加えてオークやオーガ、サイクロプスや低級魔物の上位種などとも戦った。
「師匠に言われてから新しい装備を買って使ってるけど、買って良かったな~」
師匠に言われて新しい装備を手に入れた俺は、その着心地の良さや性能面に初めて装備した日は楽しくていつもよりも狩りを楽しんだ。
今はもう慣れてはいるが、使いやすく本当に買って良かったと思っている。
「アルフ君、いつも通り早い帰還ね」
依頼を受けて王都の外に出掛けていた俺は、討伐対象を倒してギルドに戻ってくるとアンナさんからそう言われて出迎えられた。
「おめでとう。アルフ君、鉄級冒険者に昇格よ」
「あれ、もうそんなに実績溜まってましたか?」
「アルフ君の場合、迷宮探索での実績も考慮されてるし、依頼は全部一つ上のランク帯の依頼を受けていたでしょ? だから、こんなに早く上がったのよ」
そうアンナさんは言うと、鉄級冒険者と書き直された冒険者カードを返してくれた。
俺はそのカードを見て、少しだけ笑みが零れた。
その後、今日は早めに終わるようにと師匠に言われていた俺は、ギルドを出て師匠の家へと帰宅した。
「おかえり、アルフ」
「遅かったな、アルフ!」
「えっ、ウィルとダラムスさんが何で居るんですか?」
師匠の家に帰宅すると、リビングに師匠と何故かウィルとダラムスさんが居た。
「実は少し前に俺の所にダラムスから手紙が来てな、折角冒険者活動をしているなら、ウィルも一緒にさせてくれないかって打診が来たんだ。ウィルはアルフの友達だし、一度アルフに聞いてみるって返事をして今日来る事になったんだ」
「そうだったんですね。あれ、でも前に商会に手紙が来た時は、暫くは修行で出歩けそうにないって愚痴ってなかった?」
「修行を乗り越えたんだ。アルフの事を調べまわってる間の事を許す代わりに、父さんに一発攻撃を当てるまで何処にも行かせないって言われてね。その修行を終えるのに時間が掛ったんだよね……」
「俺のせいで苦労したんだ。ごめんね」
そう謝罪をすると、ウィルは「気にしなくていいよ」と言った。
「それでアルフ。僕と一緒に冒険者活動をしてくれないかな? 勿論、邪魔になると思うなら容赦なく断ってもらって良いから」
「いや、邪魔だなんて思わないよ。見た感じ、前に会った時よりもウィルも強くなってるでしょ? それに友達と一緒に冒険者活動が出来るのに、断る理由は無いよ」
断っても良いと言ったウィルに対し、俺はそう自分の気持ちを伝えた。
「ハハッ、流石アルフとウィルの友情だな! どうだアレン。俺達も一緒に冒険者として何か依頼でも受けないか?」
「断る。お前と依頼をする理由がないし、俺は弟子の成長を見守ると言う師匠としての仕事があるからな」
「少しは考えてくれても良いだろ……」
師匠を誘ったダラムスさんだったが、一瞬で断れて少しだけ落ち込んでいた。
「それで一緒に活動するのは良いけど、ウィルの冒険者のランクはいくつなの? 一応、俺は鉄級に上がったばかりだけど」
「一緒だね。僕も鉄級冒険者だよ」
ウィルに今のランクを聞くと、何と俺と同じ鉄級冒険者だと言った。
家系的にも実力派の家だし、ウィル自身が努力家な性格をしているから、俺と同じ鉄級冒険者でも驚きはしなかった。
「ちゃんと弟子の育成はしてるみたいだな」
「まあな、これでも俺が教えられる冒険者としての知識は叩き込んでるつもりだからな。まあ、残念なのはウィルは俺みたいに筋肉質になる素質が無い事位だな……」
「父さんもどちらかと言えば、ムキムキではないので家系的にダラムスさんみたいな筋肉質な体は無理ですけどね」
「それで言うと、アルフはウィルと違って筋肉が付きやすいみたいだな……」
ウィルの言葉を聞いたダラムスさんは、ニカッと笑みを浮かべ俺の事を見ながらそう言った。
「言っておくが、アルフに変な事を教えたらルクリア商会が敵対するから覚悟するんだぞ? アルフはエルドさんのお気に入りだし、ルクリア家からも絶大な信頼を置かれてるからな」
「わ、分かってるよ! それに俺は変な事は教えん! 訓練の仕方を少し教えるだけだ……」
「それが変な事なんだよ。お前の訓練方法は頭がおかしいんだから、ウィルなら俺の言ってる意味は分かるだろ?」
「あ~……まあ、そうですね。父さんもその辺の事は気にしていたみたいで、俺の師匠に付ける際に「変な事を教えるなよ?」と言って、約束を交わしてました」
その後、師匠はダラムスさん対して、俺に絶対に変な事を教えないようにと、念入りに注意をした。
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