外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花

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第二章

第106話 【冒険者活動・4】

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 ウィルと冒険者活動を一緒にしようと言った翌日、早速俺はウィルと一緒に依頼を受けて街の外へと出たいた。
 勿論、移動はフェルガに乗って移動をしている。
 ウィルはフェンリルに乗れたことが嬉しかったのか、物凄く興奮していた。

「馬よりも早く移動したのはじめてだよ。これだけでも一緒に冒険者活動をしようと言って正解だったよ」

「まだ依頼先に着いたばかりなのに、もう決めちゃっていいの?」

「うん。だって、もうこの時点で楽しいからね。フェンリルに乗れる機会なんて無いから、凄く良い体験を出来たよ」

 ウィルは凄く嬉しそうな表情でそう言い、目的地に着くまでずっと楽しそうにしていた。
 その後、目的地に到着したのでフェルガから降り、フェルガには異空間に入ってもらい討伐対象を探し始めた。

「そう言えば、決めてなかったけどさアルフは前衛と後衛どっちにする?」

「う~ん……一応、どっちでも行けるよ。ウィルはどっちがしたい?」

「僕的には前衛かな? これでも父さんからは、死ぬほどきつい剣術の訓練を付けられてるから」

「了解。それじゃ、俺が後衛で魔法で戦うから、ウィルは前衛をよろしくね」

 陣形を決めた俺達は、それから少しして対象の魔物を発見した。
 今回の魔物は、三体のオーガの討伐。
 既に三体のオーガは俺達の事を認識していて、ウィルは俺よりも少し前に出て右手に剣を持ち、背中に担いでいた盾を左手で構えた。
 オーガは俺達の見つけると、叫びながら突進して来た。

「ウィル。避けないと危ないよ!」

「大丈夫ッ!」

 ウィルは突撃してきたオーガ達に対し、盾を構えその場に立ったままオーガ達の突進を受け止めた。
 本来であれば、ウィルはオーガの突進で飛ばされてる筈だ。
 しかし、ウィルの盾から魔力が放出されていて、その魔力の力でオーガ達は止まっていた。

「アルフ。今だよ!」

「あっ、うん。分かった!」

 ウィルの行動に驚いていると、そう言われて俺は魔法で三体のオーガの頭部を魔法で撃ち抜いた。

「ウィル。さっきのって、スキルなの?」

「うん。【魔力壁】って言って、盾から放出する事で大きな盾を出す事が出来るんだよ」

「凄い便利な技だね。それって、盾持ちじゃないと出来ないの?」

「ううん。そんな事は無いよ。その名前の通り魔力の壁を普通に作る事が本来の使い方だよ。僕のやり方は、盾を持ちたいから改良した感じだね」

 ウィルはそう言うと、オーガの死体を見て「綺麗に頭を撃ち抜いてるね」と言った。

「精密性は師匠から、大事だとずっと言われてたから訓練で一番と言っていい程、訓練して来た内容だよ」

「そうだろうね。そうじゃなきゃ、いくら盾で動きを止めていたからってこんな綺麗に打ち抜けないよ。流石、アルフだね」

「ウィルも三体のオーガを止められる身体能力は、凄いと思うよ」

 そう俺達は互いに褒め合い、死体が痛まない内に回収をした。
 それから再び、フェルガに乗って街に戻ってきた俺達は依頼の達成報告をして、三体のオーガの死体を買い取ってもらった。

「こんな短時間でこれだけ稼ぐって、普通じゃないよね?」

「まあ、移動時間がかなり短縮されてるからね」

「……アルフ。二週間で一体どれだけ稼いだの?」

「ざっくりだけど、数ヵ月分の貯金を元に戻せる位には稼いだかな? ちなみに貯金の主な収入源は、商会からの給料だね」

 そう言うと、ウィルは「冒険者として成功してるね」と言った。
 その後、依頼の報酬金とオーガを売却して得たお金を半分にしてお互いで受け取り、違う依頼を受けて街の人へと出た。
 それから俺達は大体4件程、依頼を達成してから今日の活動は終わりにした。

「一日だけで、かなりの収入を得たね。これってアルフのいつもの日常?」

「いや、今日はいつもより戦いやすかったからいつも以上だよ。やっぱり、今までは前衛と後衛を同時にやってたから、魔物の気配を感じ取って常に警戒してたけど、ウィルのおかげでそれらの負担が少なくなったからね。思う存分、目の前の魔物と戦えていつも以上戦いやすかったよ」

「そうなの? それは良かった。アルフの邪魔になってたら、どうしようかなって思ってたんだけど役に立てていた様で良かった」

 ウィルはそう安心したように言うと、今日はこれで解散をしてまた明日、ギルドで集合と言って別れた。
 その後、まだ陽が沈む前で家に帰宅しても今日はする事が無いなと思った俺は、その足でこの街の商業区へと足を運んだ。

「おやっ、アレンさんのお弟子さんのアルフ君じゃないか。今日はアレンさんとは一緒じゃないのかい?」

「はい。依頼の帰りでちょっと時間を潰そうと思って、こっちに来たんです」

 商業区に入り、少し店を回っている雑貨屋のおじさんから話しかけられた。
 この街では師匠は有名人で、その弟子である俺も必然的に有名になってしまった。
 それからおじさんは久しぶりに会えたからと、以前もここで貰った薬草等を採取する時に使うハサミを無料でまた貰った。

「あの、普通に買いますよ」

「良いさ、これはおじさんの気持ちだ。アレンさんには色々と世話になったからね。これくらいはさせて欲しい」

 そうおじさんから言われた俺は、無理に返す事が出来ず「ありがとうございます」とお礼を言った。
 そして、貰い物だけでは気が引けた俺は雑貨屋で少し買い物をしてから店を出た。
 それから暫く商業区の中を見て回り、陽が沈み始めた頃に師匠の家に帰宅し、最近の日課となってるリアナさんと一緒に夕食を作った。

「今日も美味しいな。こんな美味い飯を食べられる俺って、本当に幸せ者だな……」

「ふふっ、アルフ君が日に日に料理の理解度が増してるからだと思うわよ。今まではスキルレベルに助けられてた部分もあったと思うけど、最近はそんな事も無くなってきてるわ」

 料理も魔法や剣術と同じで、スキルレベルが高くとも技術が無ければただの宝の持ち腐れだ。
 勝負したあの日から、俺はリアナさんに夕食の時間は料理を教えて貰っていて、日に日に料理の理解度を上げている。

「またいつか、師匠と二人で迷宮に潜る事もありますから、その時の為にもっと美味しい料理を食べれるように頑張りますね」

「ああ、その時を楽しみに待ってるよ」

 その後、夕食を食べ終えた俺は風呂に入り、明日も冒険者活動がある為、早めに寝る事にした。
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