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第二章
第110話 【二人目の白金級冒険者・4】
しおりを挟む「ふむ、フローラがアルフに剣術をか……」
「実力で言えば、既に冒険者を引退した私よりはあります。それに何より、フローラは現在は謹慎の身ですので時間は私よりもあります」
エルドさんの部屋に移動した後、フローラさんが俺に剣術の師匠になりたいという事を伝えた。
その話を聞いたエルドさんは、フローラさんの性格を知っている為か凄く悩んでいた。
「……アルフはどう思っているんだ?」
「戦って見て分かったんですが、フローラさんからは沢山学ぶべき技がありました。エルドさんが許してくれるのでしたら、フローラさんに剣術を教わりたいです」
そう俺が言うと、フローラさんは嬉しそうな顔をして俺の事を見て来た。
「ふむ……まあ、アルフが自分で良いと思ってるなら儂が断る理由は無いな。ただし、フローラ。お主は謹慎中だから、寮の外には出るんじゃないぞ」
「はい! わかりました!」
そうしてエルドさんから許可が降りたフローラさんは、どんな事を俺に教えようかなと楽しそうに考え始めた。
「それにしても、フローラと戦えるとは相当強くなったみたいだな……アレン。今のアルフはどれ程の力なんだ?」
「そうですね。総合的な能力で言いますと、既に白金級冒険者に近い能力は持っています。後、アルフに必要なのは経験と技術を磨く事だけですね」
「そうか、よくここまで頑張ったな……約半年前、商会に来た頃は何も出来なかったと自らを責めていたのが嘘のようだな」
「……えっ、エルド様。待ってください!」
エルドさんが俺の成長を懐かしんでいると、俺の訓練を考えていたフローラさんが驚いたような顔をして話に入って来た。
「今、アルフレッド君が半年前に来た時は何もできなかったって言ってましたけど、それって剣術もなんですか!?」
「そうだぞ。そもそも、アルフの剣術はエリスがアルフがここに来た半年前から教え始めたものだ。アルフは半年前まで、剣をほぼ握った事のない素人だったんだぞ」
「そ、それって本当なんですかエリスさん?」
「本当よ。そもそも、アルフ君が何で商会に居るのか商会の人間なら全員通達されてるから知ってると思うわよ? もしかして、フローラちゃん通達をみてなかったんじゃないわよね?」
エリスさんの言葉に対し、フローラさんは「そ、そんな事は」と否定しようとした。
しかし、俺の事情を知らない時点で見てない事が露呈している。
その為、完全に否定する前にバッと頭を下げ「すみません!」と謝罪をした。
「はぁ~、もういいわよ。今日は怒り過ぎて、もう怒る気にもなれないわ……」
そんなフローラさんを見て、エリスさんは頭を抱えながらそう言った。
それから許可も取り終えたので、俺達はエルドさんの部屋を出て明日から、早速訓練を始めたいとフローラさんは言った。
「師匠。どうしますか? 明日からの予定は特に決めてませんでしたが」
「まあ、訓練を受ける事が決まったんなら、早い内に手を付けた方が良いだろう。取り合えず、暫くはフローラに鍛えて貰うと良い。俺はその間、またアルフの修行内容を考えておくよ」
「わかりました。フローラさん、これからよろしくおねがいします」
「よろしくね。私、弟子って初めてだから教え方が下手かも知れないけど、もし困った事があればいつでも言ってね」
そうフローラさんは言うと、今日はもう時間が遅いので食堂へと向かい夕食をフローラさんと師匠と一緒に食べた。
そしてそれから風呂に入り、俺は部屋に戻って来て少しだけ今日の出来事を振り返った。
「白金級冒険者のフローラさんと互角にやりあえたなんて、未だに信じられないな……でも本気って言いつつも、フローラさんは一切スキル関係は使ってなかったな」
フローラさんは戦闘中、色んな動きを見せてくれたがスキルは一切使ってなかった。
だから多分、本当の本気は出していないんだろうと俺は思う。
「まあ、それに関しては明日から分かるだろうから、今日は早めに寝て明日に備えた方が良いな」
その後、今日は俺が帰って来たばかりだからとクラリスとの勉強会は無く、俺は早めに寝る事にした。
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