外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花

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第二章

第126話 【大会に向けて・3】

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 迷宮の外に出た後、迷宮の近くだと迷惑になるだろうと思い少しだけ離れた平原に移動した。
 ここなら人は来ないだろうし、来る前に迷宮を守ってる兵士に師匠が戦うからと事前に伝えているから問題にはならないだろう。

「フェルガ、俺はいつでも良いぞ」

「我だって、既に準備は出来ておる」

 そうして師匠達の戦いの審判役は、この中で唯一止められそうな俺がやる事になった。

「師匠、フェルガ。準備はいい?」

「いつでも良いぞ」

「我もだ」

「それじゃ……試合開始!」

 師匠達に準備が出来たから改めて確認した俺は、そう言って試合を開始した。
 開始早々、師匠はフェルガとの距離を取り、魔法を複数同時に発動した。
 それに対してフェルガは、自身に身体強化系の能力を付与したのか凄い速さで師匠に近寄った。

「やっぱり遅くなったんじゃないか?」

 師匠は凄い速さで近寄って来たフェルガを驚く事なく、魔法で躱すのと同時に魔法をフェルガに放った。
 フェルガは師匠の魔法に一瞬驚いたせいか、反応が遅れて魔法が体に掠ってしまった。

「以前のお前なら、簡単に避けられた攻撃だぞ? 異空間でのんびり暮らし過ぎたな」

「……」

 フェルガはここまで自分は変わってないと思っていたが、現実を目の当たりにして今までの様に反論はしなかった。
 しかし、怒りに任せて攻撃していたフェルガだったが、深呼吸をして落ち着きを取り戻し、真剣な表情で師匠を見つめた。

「確かに、アレンの言う通り我は多少勘が落ちた様だ……だがな、お主がそこまで哀れむ程、落ちぶれてはおらん!」

 フェルガはそう叫ぶと、全身に魔力を通すとフェルガの体から魔力が漏れ出始めた。
 なんだかいつものフェルガと違って、カッコよく見える。

「ほ~、本気を出すのか? 久しぶりの運動なのに大丈夫なのか?」

「ふっ、大丈夫に決まっておる!」

 その後、フェルガと師匠の戦いは激しさを増して行った。

「アレンさんって凄い人って事は知ってたけど、まさかあんなに凄いとは思わなかった。アルフもあんなな風に戦えるの?」

「流石にまだ無理だよ。師匠の強さに追いつくには、それこそ毎日迷宮に通って最大効率でレベルを上げて行けば能力値だけなら追いつけると思うけど、あんな戦いが出来る技量を身につけるには数年かかるだろうね」

 レオルドの質問に対し、俺は師匠とフェルガの戦いを見ながらそう言った。
 師匠は俺が教えた剣術すらも今では巧みに使い、フェルガと近接戦闘をしながら魔法を展開している。

「正直、師匠に追いつけるかもしれないとレベルが100を超えた時に思ったけど、レベルが追い付いても師匠に追いつくことは出来るのか今は不安しかないよ」

 それから暫く、師匠達の戦いは続きフェルガの体力が切れた段階で師匠の勝利として、戦いを終わらせた。

「我はまだやれるぞ!」

「とか言ってるけど、足がプルプルしてるよ? そんなに戦いたいなら、普段から運動をしっかりして戦える状態にしておかないと」

「うッ」

 まだやれる! と叫ぶフェルガに俺は、足をツンツンしながら言うと、フェルガは地面に横たわった。
 そして師匠の方を見ると、最初は余裕がある戦い方をしていたが、今は多少傷を負っていた。

「師匠もあまりフェルガを虐めないでくださいよ。俺の従魔なんですから」

「すまんすまん。久しぶりにフェルガと戦って、力加減を間違えた」

 師匠は久しぶりに本気を出して戦えたからか、スッキリしたような表情でそう言った。
 そして疲れた横になってるフェルガの近くに、アリス達と一緒に見学していたクロが近寄った。

「……こんな短時間でそこまで疲れるとは、落ちぶれたな駄犬」

「ッ! う、煩いぞ! そういうお主こそ、ずっと異空間に居ただろう!」

「我はちゃんと異空間でも体を動かしていたぞ? 寝てるだけの駄犬と一緒にするな」

 試合が終わったばかりなのに、今にも喧嘩を始めそうな雰囲気のフェルガ達を見て、俺は直ぐに異空間へと入れた。
 脳内にフェルガ達の文句が届いたが、こちら側から強制的に聞こえないようにして俺はアリス達の所に戻った。

「従魔達をあの状態でいれても大丈夫なの?」

「大丈夫だよ。どうせ、少ししたら落ち着くと思うから」

 心配して声を掛けてくれたレオルドに俺はそう言い、それから俺達は時間も時間なので王都に帰宅する事にした。
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