外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花

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第二章

第127話 【大会に向けて・4】

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 王都に帰宅後、商会へと真っ直ぐ帰り師匠はエルドさんの所へと報告に行き、俺達は移動の疲れもあるので風呂に直行した。
 まだ陽が落ちてそんなに時間が経っておらず、俺達以外は人が居なかった。

「二日間あっという間だったね~」

「そうだね。まあ、二日目に関しては最後は師匠とフェルガの対決を見てたから、早く感じたってのもあるけどね」

「確かに、それはそうだね。でも、アレンさんとフェルガ君の戦い。本当に凄かったよね。あんな戦い初めて見たよ」

 レインは若干興奮気味にそう言うと、レオルドは「実際に見ると本当に凄かった」と頷きながら言った。

「改めてアルフは凄い人が師匠なんだなって、今日の戦いを見て再認識したよ。あんな凄い魔法使いは、この国ではアレンさんくらいだろうしね」

 デイルからそう言われた俺は、師匠の事を褒められて嬉しく感じた。
 その後、お風呂から上がり食堂でアリス達と一緒に夕食を食べた。
 そして夕食を食べ終わった後、商会の馬車でリサとレインを送り、アリスとレオルドの迎えの馬車も来たので皆を見送った。

「毎回そうだけど、皆と一緒に居たのにこの見送りの後ってなんだか少しだけ寂しく感じるよね」

「楽しい時間はあっという間だからね……さっ、あまり外に居ると風邪引いちゃうから中に入ろう」

 クラリスに俺はそう言って寮へと戻り、俺の部屋に移動していつもの勉強会を行う事にした。
 翌日、準備を終えて学園に登校すると、教室に担任の先生が待っていて俺は学園長が呼んでると言われて学園長室に行く事になった。

「アルフレッド君、ごめんなさいね。朝から呼び出しをしちゃって」

「いえ、大丈夫ですよ。それより、何かあったんですか?」

「何かあった訳ではないわ。アルフレッド君の大会に向けての準備が進んでいるのか、確認をしたかったのよ。お昼休みは友人達と過ごした方がいいと思って、朝に聞こうと思ったのよ」

「そうだったんですね。大会については、エルドさんや学園長から今の実力でも問題ないとの事でしたので、訓練は怠らないように友人達の訓練に付き合ってます。俺以外にも商人科から上位に進んだ人が居れば、商人科への認識も少しは変わると思ったので」

 アリス達の訓練をしている事を伝えると、学園長は「それは助かるわ」と嬉しそうな表情をしていった。

「まあ、商人科だけでは無くレオルド王子と側近のデイルも一緒に訓練してますけどね」

「彼等とアルフ君が仲が良い事は知っているわ」

 そう学園長は言うと、確認も終わったので俺は教室に戻った。

「さっき、学園長に呼ばれてたけど何かあったの?」

「ううん。大会に向けての準備は順調か確認をされただけだよ」

「そうだったんだ。それにしても、学園長がそんな確認をするってアルフ君に物凄く期待してるみたいだね」

「そうみたいだね。まあ、俺が優勝する事で商人科が他の科から見下される事が無くなればいいんだけどね」

 大会で優勝する目的の他の科から商人科が見下される事が、本当に無くなるのか少し心配だ。
 今は商人科が言い返せない立場に居るから、他の科の生徒は頭に乗っているがこれで俺が優勝したら争いになる可能性もあるなと考えている。

「まあ、でも他の科もそこまで馬鹿じゃないと思うよ? 商人科の生徒って基本的に商人の家庭の子が多いから、敵に回したら生活に支障が出るって流石に理解してると思うよ」

「そこまで考えてないと思うよ? 私の友達が魔法科に居るんだけど、今の事しか考えてない人が多いってよく嘆いてるわ」

「……最悪な事にならない事を祈るしかないね」

 その後、残りの数日間も皆と訓練を続けて次の休みの二日間はより強い魔物のいる迷宮へと行き、レベル上げに専念した。

「皆、無事に目標のレベル30だね。お疲れ様」

「疲れた~……」

「少し前までレベル10ちょっとだったのに、こんな上がったの自分でも信じられない……」

 レベル30と言えば、冒険者でもそこそこの実力のある者として見られるレベル。
 そんなレベルに到達出来た事に対して、リサとレインは勿論の事、レオルドとデイルも嬉しそうにしていた。

「最後はフェルガとクロに頑張ってもらったけどね」

 時間的に厳しいと感じた俺は、俺のレベル上げの時は禁止していたフェルガ達の力を借りる事にした。
 フェルガ達は互いに競い合い、一瞬にして数十体の魔物を倒したりと、皆のレベルに必要な魔物の数を稼いでいった。
 そうして、レベル上げの目標にも到達した俺達は王都へと戻り、残りの数日間は今の能力値になれる為に訓練を続けた。
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