外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

第二章

第131話 【学生大会・４】

　集団戦で活躍した生徒、そして個人戦第一試合という事もあり俺が出て来ると会場は「ワァッ！」と盛り上がった。

「凄い声援ね。貴方がデイル君達が昔から話してたアルフレッド君ね」

「初めまして、今はただの平民のアルフレッドです。ヘレナ先輩」

「あら、私は名乗ってないけどデイル君達に聞いたのかしら？　でも一応、挨拶を返さないとね。はじめまして、ヘレナ・フォン・アルベティスよ。よろしく、噂は色々と聞いてるわ。お手柔らかにお願いね」

　ヘレナさんは、ニコッと笑みを浮かべてそう言った。
　たった数秒間会話しただけだが、彼女から感じる魔力は今まで会って来た生徒の中でもかなり高い。
　多分、レベルだけで言ってもレオルド達よりもかなりあるだろうな……。

「両者、かなり戦いに飢えている様子ですね！」

　そんな俺達を見ていた司会役の人は、若干興奮気味にそう叫ぶと改めてルールの確認を行った。
　個人戦も集団戦と同じく、敗北の条件は魔石が破壊、もしくは場外に落ちた場合となる。
　しかし、集団戦の時とは違い魔石の強度は更に上がっているので、より長い戦いが必要となると伝えられた。

「長い戦い……貴方を相手に何分持つかしらね」

　そう笑みを浮かべてヘレナさんはそう言い、俺と彼女は定位置へと移動して武器を構えた。
　そして司会役の人は俺達の準備が終わったのを確認すると、試合開始の合図を出した。

「フレイムブレットッ！」

　開始早々、ヘレナさんは俺に対して、詠唱短縮で作りだした火の弾を放ってきた。
　速度、精度、威力、どれもかなりの高いレベルで普通の相手なら驚いて対応をミスるだろう。
　俺は即座に水の壁を作りだし、その魔法を撃ち消した。
　
「……結構、今の魔法は自信があった魔法なんだけど」

「それは、すみません。防御系に関しては、師匠にみっちりと教わってるもので」

「師匠って、確か黒衣の魔術師アレンさんだったかしら？」

「はい。ちなみに、その二つ名は嫌ってるので本人の前では言わない方がいいですよ」

　ヘレナさんの言葉に俺はそう返し、今度は俺から攻撃を仕掛けた。
　師匠から沢山の魔法を教わった俺だが、その中でも特に教え込まれたのは〝無詠唱による魔法の発動の仕方〟だった。
　基本的に魔法使いは、魔法を使う際に詠唱を行う。
　しかし、師匠の様な高い技術を持つ魔法使いは、無詠唱での魔法しか使わない。
　その理由は明白で、魔法を使用する際に詠唱なんてしていたら敵に対して、今からこんな攻撃をしますよと教えているようなものだからだ。
　その為、俺は師匠の弟子となってから特に、無詠唱による魔法の使用を徹底的に教わった。

「集団戦の時もそうだったけど、無詠唱での魔法の使用が出来るのね。それもかなりの数の魔法を……」

「そう教え込まれましたからね。それと、まだ行きますよ」

　そう俺は宣言してから、ヘレナさんに対して数々の魔法を放った。
　ヘレナさんは学園のトップクラスの魔法使いなだけあり、俺の魔法に対して的確に魔法を放った相殺していた。
　しかし、俺の魔法は一つ一つがかなりの強度の魔法でヘレナさんは徐々に魔力を消耗していった。
　そして３分も経たない内にヘレナさんの魔力が底を尽き、俺の魔法が直撃してしまい魔道具の魔石が砕けてしまった。

「勝者、一年生アルフレッド！」

　司会役の先生は直ぐにそう宣言すると、会場中から大きな歓声が鳴り響いた。
　それから俺は早々に会場を去り、待合室に戻って来た。
　そして待合室には、対戦相手のヘレナさんと一緒に戻って来て、レオルド達から労いの言葉を掛けて貰った。

「デイル君達から聞いてた通り強かったわ。正直、これでも少しは魔法使いとしての実力がある方だと思ってたけど、アルフレッド君と戦って見て私はまだまだだなって気づいたわ」

「そんな事は無いですよ。俺とヘレナさんはレベル差がかなりあるのに、あそこまで持ちこたえた時点でヘレナさんの実力はかなり高い事が分かりますから」

「……私、これでもレベルは４０あるのよ？」

「１００は超えてますね」

　ヘレナさんは俺の言葉を聞き、驚いた表情をしてその場で固まってしまった。