外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花

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第二章

第132話 【学生大会・5】

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 それから数秒後、意識を取り戻したヘレナさんは視線をレオルドとデイルの方へと向けた。

「間違いない。ここだと見せられないけどね」

 確認するような目で見たヘレナさんに対し、レオルドはそう言うとヘレナさんは俺の方を見て「嘘でしょ……」と呟いた。

「アルフの場合、特殊だからね。ヘレナが驚くのも無理ないよ」

「時間さえあれば強くなれるからね。学園に通って無かったら、今頃多分レベルも500とか行ってるんじゃない?」

「ありえるな~、アルフ君って訓練好きだし」

 レオルド達がそう言うと、話を聞いていたヘレナさんは内容が内容なだけあって、混乱した様子で話を聞いていた。

「皆、あんまり一気に喋るからヘレナさんが困ってるよ。さっきまで戦ってた上に、ヘレナさんは魔力が底をついてるから休ませてあげないと」

「あっ、そうだった。ごめん、ヘレナ」

「ううん。大丈夫だよ。デイル君、それよりさっきの話で気になったんだけど、アルフレッド君はどうしてそんなレベルが高いの? 普通では考えられないよね?」

「デイルの婚約者だし、話してもいいかも知れないけど……レオルドからみてヘレナさんは口は堅い?」

 俺はこの場でヘレナさんの事をよく知っていて、第三者であるレオルドにそう尋ねた。

「王族が信用してる家の一つだから、口の堅さは保証するよ」

「それならいいか……俺のレベルが高い理由ですけど、簡単に説明すると成長系のスキルを持ってるからなんです」

 レオルドの保証があるなら大丈夫だろうと思い、俺はヘレナさんに対して少しだけ俺の能力の事を教える事にした。

「成長系……それでその歳でレベルが高いのね。それにその口ぶりからして、もっと凄い能力なのね」

「まあ、ここだと何処に人の眼があるか分からないですからね。一応、俺達の周りに風の魔法で結界の様な物を張っていて、音は聞こえないようにしてますけど」

「そんな事も出来るのね。……はぁ~、こんな凄い人が居るならもっとデイル君も強く言って欲しかったわ。そしたら、一人で長期休暇に訓練なんてせずにデイル君達と一緒に訓練出来たのに」

 ヘレナさんは不貞腐れた様子でデイルにそう言うと、デイルは「僕は強く言ったよ!」と反論していた。
 それから、いつまでも音が聞こえないようにしていると不自然な為、魔法を解いて試合の観戦をする事にした。
 その後、レイン達の試合も行われ、レベル30を超えてるレイン達は無事に全員が勝利してベスト8に残った。

「じゃあ、僕はここで死んでくるよ」

「縁起でもない事を言うなよ。それに始まる前までは、あんなに頑張るって言ってただろ?」

「し、仕方ないだろ! 一回戦でのヘレナとの戦いを見て、更に絶望したんだよ!」

 デイルはレインの言葉に、若干涙を目に浮かべながらそう訴えた。
 レインはデイルの気持ちがわかるのか、そんなデイルの肩を優しく叩き「頑張ってこい」と慰めていた。
 貴族と平民ではあるけど、あの二人かなり仲が深まったよな……同じ剣士ってのもあるけど、性格が似てるからかな?
 そんな事を考えながら、俺はデイルと一緒に会場へと向かった。

「——!」

「凄い歓声だな、目立ち過ぎたな……」

 会場に出て来ると、観客席から大きな歓声が鳴り響いた。
 その歓声を聞いた俺は、やり過ぎた事を後悔しつつ中央へと歩みを進めた。

「デイル。緊張してるの?」

「いや、ここまで来たら大分楽にはなったけど、アルフの魔法にどう対応しようか迷ってるんだよね」

「それなら剣で勝負する?」

 デイルの言葉を聞いた俺は、ここに来るまでに考えていた事を口にした。

「えっ、いいの? 正直、魔法に関して絶望的だから、そっちの方が僕としては有難いけど……」

「剣を使う機会は早々ないからね。それにフローラさんやエレナさん以外の剣士と、剣術勝負をした事がないからいい経験にもなると思ったのと、もうここまで目立ってるならもっとやってもいいかなって」

「アルフ。なんだか変な方向に吹っ切れてないか?」

 それから司会役の人から、互いに準備が出来たか聞かれた俺達はその言葉に頷き、司会役の人は試合開始の合図を出した。
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