外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花

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第二章

第135話 【学生大会・8】

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「二人共、お疲れ様」

 待合室に戻って来ると、待合室で待っていたレインからそう労いの言葉を掛けられた。
 レインの隣には、アリスと医務室から戻って来たデイルが座っていた。

「デイル。もう起きて来ても大丈夫なのか?」

「ただの体力が切れただけだったから、少し休んだらよくなったよ。それより、アルフ。僕と本気で戦ってくれてありがとう」

「そういう約束だったからね。友達との約束は破らないよ」

 そう俺はデイルに言い、俺とリサも席に座ってレオルドの戦いを観戦する事にした。
 レオルドと対戦相手のあいつの実力は、そこまで差は無くレオルドが剣も使えるという点だけ相手に勝っていた。
 魔法の使い手としては、歴も相手の方が長くレオルドの方が若干押されていた。

「純粋な魔法使いとしての腕は確かにいいのに、何であんなクズみたいな性格なんだ?」

「まあ、商人科以外ってかなり競い合って成長する感じだから、その過程で性格が捻じれたんじゃないかな? あそこまでじゃないけど、魔法科に居る知り合いも、性格が悪い奴がいて困ってるって愚痴を言ってたし」

「そうなんだ。デイルの周りにはあんな奴いるの?」

「流石にあそこまで酷い性格の人は、僕の所には居ないよ。まあ、中には居るとは思うけどね」

 そう俺達が話していると、戦っているレオルドが対戦相手にかなり強烈な魔法を与え、勢いが一気にレオルドに傾いていた。
 しかし、その勢いも相手選手が上手く立ち回ってせいで、直ぐに落ち着いてしまった。

「こうしてみると、あの相手生徒はかなりの実力者だな……」

 弱者には徹底的に弱点をついて、性格の悪い攻撃をしていたが実力が同格の相手には素早い判断能力で戦闘をしている。
 あれで性格が悪くなければ、就職先も沢山あるだろうにと感じた。
 その後、レオルドと相手生徒の戦いは続き、両者一歩も譲らない状態が続いたが、戦いは突然終わってしまった。
 相手よりもダメージを受けていたレオルドの魔道具は、限界を迎えていたのか相手生徒が放った魔法が掠り、魔石が壊れてしまった。

「あ~、残念だね。かなりいい戦いしてたのに……」

「序盤に削られた差だったな……これで決勝戦は、俺とあの生徒って事か……」

「一応、言っておくけどアルフ。間違っても相手を殺したりしたら駄目だよ? いくら、アリスちゃんに対して酷い行いをしたからって、それをしたらアルフが咎められるからね?」

 デイルがそう言うと、レインとリサも同じような事を言ってきた。

「大丈夫だよ。レオルドの戦いを見てたら、少しは落ち着いたから。まあ、やった分は返すつもりだけどね。最後だから、相手も棄権は出来ないだろうし」

「……アルフ君、笑顔だけどなんだか怖いな」

「普段怒らない人が怒ると怖いって聞くけど、まさしくアルフ君の事だね……」

 その後、10分間の休憩時間が設けられ、その間に俺は体を動かして決勝戦に向けて準備を行った。
 そして遂に時間となり、俺は皆に見送られて会場へと向かった。

「学生大会、決勝戦の舞台に勝ち上がった二名を改めてご紹介いたします。右側に見えますのは、今大会一番の注目の生徒。一年生、アルフレッドッ!」

 司会役の先生は、決勝戦だからか更に気合の入った様子でそう俺の紹介をした。

「そして左側に見えますのは、その独特な戦い方から今大会一の嫌われ者、魔法科三年生ケルビン!」

 嫌われ者、と堂々と紹介された相手の生徒は気にする様子は無く、逆にその紹介に満足していた。
 変な奴だなと思いながら、俺は試合開始の合図を待った。

「それでは、皆様もこれ以上は待てないと思いますので早速試合を始めさせていただきます。両者、準備はいいですね?」

「はい」

「いつでも大丈夫です」

 そう俺達が返答すると、司会役の先生は試合開始の合図を送った。
 開始早々、俺は場外に落とさないように氷の壁を四方に生成した。
 観客には戦いが見えるように、中が見えるように作っているが強度はかなりある為、壊される可能性はほぼ無い。

「聞いていた通り、かなりの魔法が上手いんだな? だけど、こんな壁を形成するよりも前に俺に攻撃をした方が良かったんじゃないか?」

 ケルビンはそうニヤッと笑みを浮かべながら、数十個の【火属性魔法】を俺に放って来た。
 しかし、俺はその全ての魔法を【風属性魔法】の突風でかき消した。

「お前程度の魔法なんて、俺には効かないから安心して壁を作ったんだよ。勝手に外に落ちられても困るからね」

「……年下の癖に生意気だな」

「年齢で実力が変わるとでも思ってるのか?」

 ケルビンは俺の煽りに対してイラついたのか、俺に対して魔法を放ってきた。
 俺はその攻撃に対して剣を抜いて魔法を切り裂き、一気にケルビンへと詰め寄った。

「お前のその腐った性格、俺が叩き直してやるよ」

「ッ!」

 一瞬で詰めよった俺に対し、ケルビンは驚いた顔して何とか防御をしようとした。
 だがその防御は間に合わず、俺の蹴りを真面に食らい数m吹っ飛び、蹴りが当たった腹部を抑え俺の事を睨んで来た。
 そこから俺はケルビンに対し、容赦のない攻撃を続けた。
 これまでの戦いを見て、魔石の耐えれるギリギリまで俺は続け、ケルビンは既にフラフラの状態となっていた。

「ハァ、ハァ、ハァ……」

「さてと、そろそろ終わらせるか」

 最早、力尽きる寸前のケルビンに対して俺はそう告げ、俺は巨大な炎の玉を会場の上空に作りだした。
 その魔法の熱により、最初に作りだした氷の壁は溶けてなくなった。
 そして俺は、その魔法をケルビンに対して落とす動作をした。
 ケルビンは俺の魔法に対抗する事は出来ないと悟り、その場に倒れ「や、やめてくれ!」と叫んだ。

「……お前が俺の本当の敵だったら、ここで落としてたけど。今はただの大会だからな」

 泣き叫んだケルビンに対し、目の前で魔法を消しながらそう言った。
 そして、最後に小さな火の玉をケルビンの足に当てると、ギリギリで調整していた魔道具の魔石は粉々に砕け散った。

「……勝者、一年生アルフレッド!」

 その光景を見ていた司会役の先生は、魔石が砕けるのを確認するとそう勝者の宣言をした。
 それと同時に、静まり返っていた観客席から大きな歓声が鳴り響いた。
 その後、気絶したケルビンは担架で医務室へと送られ、戦いに勝利した俺は優勝者として表彰された。
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