特性【プレイヤー】に覚醒した俺は、前世の記憶を思い出し異世界を楽しむ

霜月雹花

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第一章

第48話 【支援活動・4】

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 設計図の制作は意外と早くに終わり、直ぐに作業に取り掛かった。
 既に木の加工技術は大体教わっていたので、大事な基礎部分は大工さん達に任せ、俺は木の加工に集中する事にした。
 正直、初めての事だから色々と不安もあったが、キリさん達も居て直ぐに相談が出来る環境のおかげで作業は止まる事無く進んだ。

「それだとしても、経った三日で初心者のクリスがこれだけ立派な建物を建てるとはな……任せた俺が言うのもあれだが、予想外だな」

 建築を任された俺は、三日間で一つの建物を完成させた。
 こんなに早く出来るとは思ってなかったのだが、前世とは違ってこの世界では魔法がある。
 そのおかげで時短できる所は時短して、更に普通だったら複数人で運ぶ木も俺の【念動力】で移動させて作業の効率化を行った。
 その結果、三日間で二階建ての家を建てる事が出来た。

「それに早く出来たからと言って、雑に作ってる訳でも無いしな……」

「デイルさんに教わった通りにやったのもありますが、キリさんや他の大工さん達が居たおかげです」

「そうかそうか、だったら他の建物も作ってみないか?」

「……え?」

 デイルさんからのとんでもない提案に対し、俺は一瞬何を言ってるんだ? と頭で考えてそう発した。
 どう断ろうかと悩んでいると、周りの大工さん達がザワザワと騒がしくなり後ろを振り返るとアイザックさんが来ていた。

「デイル。クリス君はそろそろ王都に戻る。だから、自分の仕事をクリス君に押し付けようとするな」

「押し付けるだなんて、ただクリスの仕事が早いから手伝って貰おうかなと」

「そう言うなら、暫くは酒は禁止で良いよな? 昨日も早々に仕事を終わらせて、酒を飲んでいたんだろう? それさえなければ、もっと早くに仕事が終わるだろうからな」

 アイザックさんはニコニコと笑みを浮かべながらデイルさんに言うと、自分の行動がバレてる事を察したデイルさんは何も言えずにいた。
 翌日、俺は帰る準備をしてアイザックさんと一緒の馬車に乗った。

「クリス君、本当に色々と助かった。荷物の運搬だけだったのが、炊き出しを始め土砂の片付け、それに建物まで建ててくれて」

「全部自分がしたくてした事なので、少しでも俺が力に慣れた様で良かったです」

「十分すぎるよ。街の者達もクリス君には感謝してると、常々私の所に声が上がっていた」

 そうアイザックさんが言うと、馬車の窓を開け外から「クリス君、ありがとう!」と街の人達からの感謝の声が聞こえて来た。
 窓の外を見ると、来た時は暗い顔をしていた街の人達値は笑みを取り戻し、俺の乗る馬車に向かって手を振っていた。

「皆さん、笑顔を取り戻せて良かったですね」

「大部分はクリス君のおかげだ。領主である私は、殆ど何も出来てないさ」

「そんな事はありませんよ。あれだけの物資を買うのも大変ですし、何より被害に遭った街の為に沢山の人も導入してましたから、街の人達もアイザックさんには感謝してると思いますよ」

「それだと嬉しいけどね。取り合えず、帰りは行きとは違って街に寄りながら帰る予定だ」

 そうアイザックさんに言われた後、馬車に数時間揺られながら移動して今日寄る予定の街に到着した。
 被害のあった街から一番近い街で、ここも少し被害を受けたらしいがそこまで酷くはなく数日で復旧が完了したらしい。
 その為、今では他の街からの冒険者や商人も来ており、普通の生活を送っていると聞いた。

「まあ、馬車で数時間の距離は開いてるからそれだけ被害の差もあるんだろうな……それにしても、ただの運搬の依頼がこんな事になるとは思いもしなかったな」

 初めての指名依頼で受けた依頼が、こんな大事な仕事になるとは受ける前は思わなかった。
 そう俺は宿の部屋で考えながら、早く王都に帰りたいなと考えていた。
 街で支援活動をしてる際は、王都の事は考えない様にしていたがいざ帰るとなると、早く帰りたいと言う気持ちになってしまった。

「アリシアさんとも最後にあって一週間以上も経ってるし、店の事も不安だしな……」

 念の為、在庫は沢山作ってあったし、最後行く前にノアさんに頼んで元食堂の建物を在庫置き場として借りた。
 だからせっけんの数は大丈夫だろうとは思うけど、心配ではある。

「まあ、でも焦ったとしても安全な道のりで帰るみたいだし、あまり考えないようにするために何か作業しながら馬車に乗ってようかな?」

 そんな事を考えながら俺はベッドに横になり、考え事をしながら寝ていたからかいつの間にか寝て朝を迎えていた。
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