特性【プレイヤー】に覚醒した俺は、前世の記憶を思い出し異世界を楽しむ

霜月雹花

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第一章

第64話 【強敵・4】

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 あれから少しだけ従魔使いについて理解した俺は、家へと帰って来てまずはハクの身体を洗う事から始めた。
 あのウルフから逃げる為、家族と共に必死に走っていたであろうハクの身体はかなり汚れている。
 このまま浴室で洗えば、逆に浴室に掃除に時間が掛かるだろうと思って家の庭で大きな桶を用意して洗った。

「元々、白いなとは思ってたがかなり綺麗になったな。動物用って訳じゃないけど、別に変な物が入ってないからせっけんを使って洗ったが問題無さそうか?」

「きゃう!」

 ハクは自分が綺麗になった事を確認すると、喜んでる様子で俺の足元をぐるぐると回りながら鳴いた。
 念の為、アリシアさんが帰ってくるまでは家の中に入れて良いかも分からないので、庭先に簡単に犬小屋を作りそこで待つように指示をした。
 中には温かく寝れるようにクッションを置いてやっていたおかげで、少し後に様子を見に行くとスヤスヤと寝ていた。

「まあ、疲れてただろうからな。家族と離れて、俺について来てからもずっと気を休める場面は無かっただろうし」

 俺はそう考え、ハクの事はそっとしておくことにして家の中に戻り、夕食の準備を進めた。
 そうして夕食を作り終えた頃、アリシアさん達が帰って来たので俺は夕食の前にハクの事について話す事にした。

「クリス君が従魔を作ったの?」

「色んな才能があって、魔物からも好かれる才能もあるなんてクリス君は本当に何者?」

 一通り、今日の出来事を話すとアリシアさん達からそう言われた。
 そして二人は、その俺の従魔であるハクを一度見てみたいと言ったので、庭に行きハクを連れて戻って来た。

「「可愛い……」」

「きゃうんっ!」

 アリシアさんとノアさんは、ハクをジッと見つめながら〝可愛い〟と言うと、ハクは嬉しそうに鳴いた。
 その後、すんなりとアリシアさんからこの家で飼う許可を貰った。

「それにしても、ウルフの子供がこんなに可愛いなんて知らなかったわ。最近は戦ってないけど、冒険者を始めた頃はよく戦ってて集団で居た時は大変だった記憶ね」

「そうそう。あの時、最初は戦いに慣れてなくて怪我してお母様に怒られて、数日間冒険者活動を止めさせられたりしたのも良い思い出だわ」

 アリシアさん達はハクの頭や体を撫でつつ、夕食を食べまだ駆け出しだった頃の事を思い出しながら喋っていた。

「そう言えば、さっきの話で大きなウルフを倒したって言ってたけど、その死体はまだ持ってるの?」

「いえ、ギルドに調査してもらうために渡してます。今回は余裕が無く、そもそも死体がボロボロなので解体するつもりも無いのでジックリ調査してもらいます」

「そうなのね。冒険者としては正しい行動ね。普段みたな魔物が現れたら、なるべくギルドに協力しておいた方がいいわよ。それによって、事件を防げたりも出来るから」

「少し前で言うと、ゴブリンの量が増えてる事に気付いた冒険者がギルドに報告して、巣が巨大化する前に処理出来たりもしたわね」

 そう言われた俺は、今後もギルドには積極的に協力をしようと考えつつ、夕食を食べ終えたので風呂に入り自室で横になった。

「……ハク。確かにアリシアさんから家の中で居ても良いとは言われたけど、初日から俺のベッドに陣取るとは大した度胸だな」

「くぅ~ん!」

「まあ、いいや部屋の隅に念のためにトイレ設置してるから、したくなったらそこでするんだぞ? もし他でしてたら、アリシアさんが許しても俺が今後は家の中に入れないからな」

「きゃう!」

 ちゃんと寝る前にハクにそう注意事項を伝え、俺の言葉に返事をしたハクと一緒に眠りについた。
 翌日、俺は砂に埋まる夢を見て目が覚めると、布団の中でハクが俺の腹に乗っていた。
 ハクは俺が起きると、目を開けて元気よく「きゃう!」と鳴いた。

「お前は元気で良いよな。こっちは悪夢にうなされていたって言うのに……」

 そう俺はハクに悪態をつきつつ、起き上がり念のためにベッドの中を確認した。
 見た感じやられた様子はなく、トイレもまだ汚れてもいなかった。
 その後、部屋から出るとハクは庭先に出たがっていたので外に出すと、庭の隅でトイレをしていた。

「……賢い奴だとは思ってが、まさか自分のトイレはそこと決めていたのか?」

 その行動をみて、俺は取り合えず勝手口のドアにハクが通れる扉を作ってもいい聞いておこうと考えた。
 それから朝食の準備をした俺は、ハクの分の飯も用意してやると、ハクは美味しそうに食べていた。
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