特性【プレイヤー】に覚醒した俺は、前世の記憶を思い出し異世界を楽しむ

霜月雹花

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第一章

第68話 【従魔・4】

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「クリス君、顔色が悪いけどどうしたの?」

「……実は、折角ハク専用のベッドを作って別々で寝たんですけど、夜中にハクがこっそり俺のベッドに入って来ていてそのまま腹の上で寝ていたんです」

「あ~、それでハクがそんなに申し訳なさそうにしてるのね」

 昨夜、別々のベッドで寝ていた俺とハクだが、夜中にハクはトイレで一度起きて戻ってきた際、自分のベッドでは無く俺のベッドに入って来た。
 そしてそのまま、俺の腹の上で寝て俺も気付かないままずっと寝ていたせいで、起きてからずっと調子が悪い。

「きゅ~ん……」

「まあ、対策を怠った俺の責任なので今日中に何かしら対策はしようとは思います。ただ今日は冒険者活動をしようと思っていたんですが、流石に体調が悪いのに外に出たら危ないので店の方にだけ顔を出そうと思います」

「その方が良いわよ。体調が悪いのに無理する程、クリス君はお金にも困ってないしね」

 俺の言葉に話を聞いていたノアさんはそう言うと、体調が悪化するなら医者に診てもらった方が良いと言われた。
 この世界にも病院は存在しており、俺が採ってギルドに卸してる薬草等を調合して薬を作って治療している。
 魔法も使われるのだが、魔法よりも薬メインの所の方が多いイメージだ。

「きゃうきゃう」

「ハク。別に大丈夫だから、そんなに気にしなくても良いぞ。ハクだってワザとやった訳じゃないんだから、今後気を付けてくれたらいいから」

「きゃう」

 ハクは俺の言葉に元気を取り戻して、元気よく返事をした。
 その後、アリシアさん達を見送り俺は家の中でもう少しだけ休む事にした。

「異世界に来て体調を崩したのは初めてだから、なんか不安だな……こういう時に役立つスキルを覚えておくか、薬を用意しておいた方がいいな」

 病気への対策を何もせずにいたら、万が一の時にそのまま死ぬ可能性もある。
 一応、菌への対策としてせっけんを作りはしたけど、それだけで十分ではないからな……。

「まあ、取り合えず今は入浴剤を完成させないとな」

 それから少しだけ休憩をして体調が良くなった俺は、まずは店へと顔を出して売上や在庫の確認を行った。
 店を始めてかなり経ち、孤児院組も最近では接客も行って大人組の負担もかなり減っているようだ。

「オーナー。ずっと気になっていたんですけど、別の街に支店とかは出さないんですか?」

「出したくない訳では無いんですけど、それを出来る程の人とせっけんの在庫が無いんですよね」

「確かに最近は落ち着いてますけど、それでも数日経てば在庫のせっけんが無くなってますからね」

「これでも最初に決めた数はずっと作ってるんですけどね。作り過ぎると、今度は素材の方が供給が追い付かなくなるのでこのままの数で王都での販売が落ち着くのを待つしかないですね」

 ちなみに売れてる商品としては、平民の方も貴族向けの品もどちらもほぼ同じ様に売れている。
 正直、ここまで差がなく売れるとは思わなかったが、国が用意した建物のおかげだろう。

「それにしても、せっけんだけでこれだけの売上ですから次に発売する予定の入浴剤が来たらどれだけ売れるのか今から楽しみですね」

「そうですけど、せっけん程では無いとは思いますよ? 入浴剤はちゃんとした浴室が必要になってくるので、平民の方は購入しても浴室が家になければ意味がありませんから」

「オーナー、最近のブームはお風呂なの知らないんですか? 最近は貯金してでも、家にお風呂を作る家が増えているんですよ」

 リオルドさんの話によると、最近は貯金をしたり、複数の人が一緒になってリフォームして家に風呂を設置しているらしい。
 俺のせっけんによって、風呂に対する意識が変わったみたいだ。

「だとしたら、俺の予想よりも入浴剤は売れそうですね。早い内に情報が知れて良かったです」

「お役に立てたようで良かったです。ちなみに私も、オーナーのせっけんを使うようになってから家のリフォームをした一人です」

 その後、俺は店での確認を終えた俺は入浴剤の完成を急ごうと作業場へと向かい、陽が落ちるまで実験を行った。
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