特性【プレイヤー】に覚醒した俺は、前世の記憶を思い出し異世界を楽しむ

霜月雹花

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第一章

第74話 【家・2】

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 そしていつも通りの日常を送りながら、暇な時は現場に顔を出しては食事を振舞い。
 設計図と進行状況を見比べて、家が完成していくのを近くで見守り。
 予定通り一週間で俺の家が完成した。

「……ここがクリス君の家なの? 実際に建つまで隠されてたけど、まさかこんなに広い敷地だとは思わなかったわ」

「エドガーさんから、商人として威厳のある家を持つようにと言われたので頑張ってみました。ここまで徒歩で来ましたど、距離も近いので遊びにも来やすいですよ」

「確かに、それはそうだけどこんな立派な家。貴族でも持ってる方が少ないわよ……」

「クリス君が設計図を描いたと言ってたから、何かしら凄い物が出来ると予想はしてたけど、まさか貴族の家とほぼ同等クラスの物を貴族街以外の所に建てるなんて本当に凄いわね」

 家が完成した翌日、俺は早速アリシアさんとノアさんを家に招待した。
 外観はこの世界に合わせた中世ヨーロッパ風の造りをしており、敷地も広いのでそれなりの大きさの物となっている。
 ただ敷地全部を建物にした訳では無く、ちゃんと庭もあってハクがいつでも走り回れるスペースは用意してある。

「外観だけでこんなに驚いていたら、中に入ったら驚きすぎて疲れると思いますよ」

「そう思うわね。ノア、気を引き締めて行かないとね」

「……そうね。ただ家を見に来ただけなのに、強敵と戦う前の様に気持ちだわ」

 そんな風に言った二人を連れて、俺は玄関から中に入った。
 この建物は地下二階地上三階の造りをしており、玄関からは上に上がる階段が設置されている。
 両脇からカーブしながら上に行く感じになっており、かなりインパクトのある玄関となっている。

「地下もありますけど、そっちは作業場や倉庫になってるので特に面白みのありませんけど見に行きますか?」

「地下もあるの!?」

「はい。折角ならと造ってみましたけど、ちょっと広すぎて使い切れる気はしませんね」

 そう言いながらノアさんが見てみたいと言ったので、俺は地下に二人を案内した。
 地下一階には、修練所や作業が出来るスペースを作っている。
 更に下の地下二階には、倉庫ともしもの事があった時の避難所を作っている。

「避難所にもお風呂を作ってるなんて、贅沢ね」

「あった方がいいかなと、まあここを使う事が無い方が良いんですけどね」

「それはそうね。ここを使うって事は、王都が大変な事になってるって意味だし」

 その後、地下の紹介を終えた俺は地上に戻って来てリビングや部屋の紹介をしていった。
 そして大体の部屋を紹介した俺は、今回の家造りで一番考えた水回りへと案内した。

「……ここ台所なのよね? 一人暮らしなのにかなり広くないかしら?」

「料理は好きですし、こんなに大きな家だったら人も多分呼ぶと思うので作業がしやすいように大きく作ってみたんです。これだったら、アリシアさん達が遊びに来た時に一緒に料理も出来ますよ」

 まず最初に案内したのは、台所。
 食堂にあるような広さで、作業がしやすい造りとなっている。
 一人で使う分には広すぎるがアリシアさん達が来た時に一緒に料理したり、他にも人を呼ぶ機会もあるだろうからと大きい造りとなっている。

「正直、ここまででもかなり驚いてるんだけどお風呂とトイレが残ってるのが怖いわね……」

「トイレはまだ良いとして、クリス君の事だからお風呂は凄い事になってそうね。だって、避難所にも普通のお風呂があったのよ? なのに普段使うお風呂が普通な訳ないわよね……」

「まあ、特に頑張ったのはお風呂ですけどトイレはそこまで変じゃないですよ?」

 そうして俺は台所の後にトイレへと案内すると、とある仕様に二人から詰め寄られた。

「クリス君。このボタンなに?」

「あ~、それですか? これを押すと温水が出るようになってるんです」

 そう言いながら俺は実際にボタンを押し、温水が出る所を二人に見せた。
 この世界では紙がまだ貴重な方なのと、トイレで紙を流せないのでその処理が元日本人からすると面倒だった。
 だから少しでもその手間を少なくする為、俺は自分で洗浄機能を作る事にした。

「お風呂が凄いと予想してたけど、まさかこんな隠し玉を用意してるなんて……」

「クリス君、これ作るの難しいの?」

「いえ、特に難しくはありませんよ。ただまあ、温水を作るので魔石はかなり使うのがデメリットくらいですかね?」

 形と性能自体は頭の中にあったので、この家を作ってる期間に開発した。
 ただ温水を直ぐに出すのは意外と難しく、結果的に魔石を常時使う事で解決した為、魔石の交換頻度は高くなっている。
 一応、ボタン一つでオフに出来るので、節約できる時は節約していた方が良いかなと考えている。

「クリス君、これ売ったらお金になるわよ。正直、今すぐにアリシアの家と実家に作ってほしい位だもの」

「そ、そんなにですか?」

 そう俺が聞き返すと、ノアさんはウンウンと何度も頷きアリシアさんも「お金はちゃんと払うから作ってほしいわ」と頼まれた。
 そんなアリシアさん達から頼まれた俺は、近い内に作りに行きますと約束をして次はここまで残しておいたお風呂へと案内した。
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