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第一章
第二話
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「ふむ、つまりリーゼ殿はオレとの結婚に乗り気というわけじゃな?」
ここはレーヴェ王国の王太子宮殿。セバスチャンは偵察隊からの報告を聞いていた。
「ははっ!おそれながら、セバスチャン様のことを乱世を生き抜く力があると思われたようです!」
「乱世を生き抜く力?ははは!そんなもの、あるかはわからんのう!」
セバスチャンは大声で笑った後、
「じゃが、オレのような者と一緒になることを面白いと思うなら、それはそれでよいことじゃな!」
と言って自信に満ちた表情をした。
「どのようなお方かのう?」
再び偵察隊の者に聞いてみると、
「セバスチャン様、くれぐれも油断されませぬように。」
と注意の言葉が返ってきた。そして、
「この度同盟を結ぶことになったとはいえ、元々は敵同士。いつ裏切るか、分かりません。」
と警告された。
「ははは!そんなこと、百も承知!そのうえでどんな姫か、気になるというものじゃ!」
と言って再びセバスチャンは豪快に笑ってみせた。そして、
「まあ、これからも偵察を怠るなよ。」
と言って偵察隊に命令を下した。
セバスチャンの情報収集とは関係なく、リーゼとセバスチャンとの結婚話は、バイル公国とレーヴェ王国の間で、トントン拍子に進んでいった。2カ国の間では滞りなく準備がなされていったが、長年敵対関係にあったので、周辺の国々からは驚きの声がたえなかった。
「ふふふ、周辺国のヤツらめ、驚いておるな。」
バイル公爵は不敵な笑みを浮かべて満足げであった。
「まあ、我々が手を組むとは、予想外じゃろう。」
レーヴェ国王も同様であった。
かくして結婚式の日、オスト川のほとりで両家の王家、公爵家の面々、多数の重臣のもと、盛大に式が行われた。
「バイル公国、ばんざーい!」
「レーヴェ王国、ばんざーい!」
集まった人々は、皆お祝いの言葉を述べた。式場全体が、和やかな雰囲気に包まれた。
だが、その裏では人々はさかんに疑念の声を述べていた。
「バイルとレーヴェが手を組むとは思わなかった。」
「なに、元々は敵同士。どうせすぐにもの別れになるさ。」
「しかし、この度の結婚は他にもあるのであろう?王家と公爵家は二重三重に結びつきを強めるらしい。」
「まあでも、お互いに人をだますことにかけては指折りじゃ。しょせんは政治的な打算じゃろ。」
結婚式の最中、バイル公爵はリーゼを別室に呼び出した。そして、黒い鞘に収まった小刀を手渡した。
「これは?」
「ワシからの餞別じゃ。」
「と、言いますと?」
「うむ。もし、セバスチャン殿がウワサ通りにただのぼんくらでアホなヤツならば、これで刺してもよいぞ。」
「まあ。」
「ただし、その振る舞いに実は深い意味があって、乱世を勝ち抜く器があるのなら、この小刀は使わなくてよい。」
しばらく間があってから、リーゼは
「分かりました。」
と答えた。
「うむ。」
バイル公爵も眼光鋭く娘を見た。リーゼは
「しかし、」
と言いかけて、少し間をおいた。そして、再び口を開くと、
「もし、乱世を勝ち抜く英雄ならば、いずれはお父様を刺すことになるかもしれませんね。」
と言って、微笑みを浮かべながら父を見た。
バイル公爵は、一瞬たじろいたが、
「ふふ。さすがはワシの娘じゃ。」
と返した。その目には、とても満足そうな笑みを浮かべていた。
ここはレーヴェ王国の王太子宮殿。セバスチャンは偵察隊からの報告を聞いていた。
「ははっ!おそれながら、セバスチャン様のことを乱世を生き抜く力があると思われたようです!」
「乱世を生き抜く力?ははは!そんなもの、あるかはわからんのう!」
セバスチャンは大声で笑った後、
「じゃが、オレのような者と一緒になることを面白いと思うなら、それはそれでよいことじゃな!」
と言って自信に満ちた表情をした。
「どのようなお方かのう?」
再び偵察隊の者に聞いてみると、
「セバスチャン様、くれぐれも油断されませぬように。」
と注意の言葉が返ってきた。そして、
「この度同盟を結ぶことになったとはいえ、元々は敵同士。いつ裏切るか、分かりません。」
と警告された。
「ははは!そんなこと、百も承知!そのうえでどんな姫か、気になるというものじゃ!」
と言って再びセバスチャンは豪快に笑ってみせた。そして、
「まあ、これからも偵察を怠るなよ。」
と言って偵察隊に命令を下した。
セバスチャンの情報収集とは関係なく、リーゼとセバスチャンとの結婚話は、バイル公国とレーヴェ王国の間で、トントン拍子に進んでいった。2カ国の間では滞りなく準備がなされていったが、長年敵対関係にあったので、周辺の国々からは驚きの声がたえなかった。
「ふふふ、周辺国のヤツらめ、驚いておるな。」
バイル公爵は不敵な笑みを浮かべて満足げであった。
「まあ、我々が手を組むとは、予想外じゃろう。」
レーヴェ国王も同様であった。
かくして結婚式の日、オスト川のほとりで両家の王家、公爵家の面々、多数の重臣のもと、盛大に式が行われた。
「バイル公国、ばんざーい!」
「レーヴェ王国、ばんざーい!」
集まった人々は、皆お祝いの言葉を述べた。式場全体が、和やかな雰囲気に包まれた。
だが、その裏では人々はさかんに疑念の声を述べていた。
「バイルとレーヴェが手を組むとは思わなかった。」
「なに、元々は敵同士。どうせすぐにもの別れになるさ。」
「しかし、この度の結婚は他にもあるのであろう?王家と公爵家は二重三重に結びつきを強めるらしい。」
「まあでも、お互いに人をだますことにかけては指折りじゃ。しょせんは政治的な打算じゃろ。」
結婚式の最中、バイル公爵はリーゼを別室に呼び出した。そして、黒い鞘に収まった小刀を手渡した。
「これは?」
「ワシからの餞別じゃ。」
「と、言いますと?」
「うむ。もし、セバスチャン殿がウワサ通りにただのぼんくらでアホなヤツならば、これで刺してもよいぞ。」
「まあ。」
「ただし、その振る舞いに実は深い意味があって、乱世を勝ち抜く器があるのなら、この小刀は使わなくてよい。」
しばらく間があってから、リーゼは
「分かりました。」
と答えた。
「うむ。」
バイル公爵も眼光鋭く娘を見た。リーゼは
「しかし、」
と言いかけて、少し間をおいた。そして、再び口を開くと、
「もし、乱世を勝ち抜く英雄ならば、いずれはお父様を刺すことになるかもしれませんね。」
と言って、微笑みを浮かべながら父を見た。
バイル公爵は、一瞬たじろいたが、
「ふふ。さすがはワシの娘じゃ。」
と返した。その目には、とても満足そうな笑みを浮かべていた。
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