【完結】政略結婚で、敵国に嫁ぐことになった公爵令嬢

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第二章

第一話

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「これから、よろしく頼む!」

結婚式がお開きになり、2人きりになった時、セバスチャンはリーゼに言った。

「こちらこそ、よろしくお願いいたします。」

2人は、この頃の他の王族や貴族と同様に、結婚するまで顔も知らなかった。だが、セバスチャンはリーゼをひと目みるなり、面白そうな女だと思った。

リーゼの方も、結婚式での夫の立ち居振る舞いから、意外とマトモな人なのではないかと思っていた。たしかに奇抜で破天荒なところはあるだろうし、取り巻きにも変な人がいるのかもしれないが、要所要所ではしっかりしている人だろうと推測した。

「酒でも飲むか?」

セバスチャンはそう言ってワインのボトルを持ってきた。右手に赤、左手に白ワインだった。

「ありがとうございます。いただきます。」

リーゼはそう言うと、白ワインを求めた。リーゼに白ワインをつぐと、セバスチャンは自分のグラスに赤ワインをついだ。

「乾杯!」

「乾杯!」

2人は飲みはじめたものの、すぐに口数が少なくなってきた。先ほどまでは豪快な印象だったセバスチャンも、何から話したらよいか分からないという感じであった。リーゼも話す内容に困ってしまった。そこで、敢えて気になっていたことを正面から聞いてみた。

「セバスチャン様。失礼ながら、嫁入り前にセバスチャン様のウワサはたくさん聞きました。あくまでウワサですが、ぼんくらと言われる方がおります。」

リーゼはおそるおそる聞いてみた。すると、セバスチャンは間髪入れずに、

「まあ、言いたいヤツには言わせておけばよい!」

と言った。そして、

「リーゼ殿はどう思う?」

と聞いてきた。リーゼは一瞬戸惑って顔を伏せたが、すぐにセバスチャンに向きあって

「正直、ぼんくらとは思いません。」

と言った後、

「ただ、奇抜とか破天荒とかいうのは分かる気がします。」

と付け加えた。そして、

「おそらく、頭の回転が速すぎるのでは?凡人が及ばない領域まで考えつくのかもしれません。いずれにせよ、天才肌のお方とお見受けいたします。」

と考えを述べた。セバスチャンは、

「わはははは!」

と大笑いした後、

「いやいや、買いかぶりすぎじゃ!そんな良いものではないわ!」

と言った。ただ、リーゼの評価に気をよくしたことは確かで、この後はお互いに話が弾むようになった。リーゼはいつしか自分が目の前の男に惹かれていくのを感じた。
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