あぁ、そうですか。

ぷゆぷゆ

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あぁ、資金は大切

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「ねぇ、どう?」

「どうって…これはシャルロットが考えたのか?」



ラルフは穴が開きそうな勢いで、私が書いた企画書を見ている。

企画書の内容は前世にあった便利な道具について。ペンなどの文房具から始まり、ドライヤーなど家電製品まで。私がここにきてから、あったら便利なのにという道具を簡単な構造とともに企画書にしもの。


それを上手くいけば商品化できないかなと思っている。




「こんな凄いものを簡単に見せたらダメだろ!俺が企画を盗むような奴だったらどうするつもり!?」

「あはは、ラルフはそんなことしないよ」

「ラルフのことは私も信頼していますから」


私とクロヴィスが笑っていると、ラルフは呆れたように溜息をついた。

あのデビュータント以来、ラルフとクロヴィスの3人で度々会い、仲がかなり縮まった。敬語じゃなくてタメ口、様付じゃなくて呼び捨てになるほどに。




「私、高等部に入学するまでに店を開きたいの。そのための資金を稼ぎたくて!」

「それで商品開発の企画をね…公爵様にお願いしたら資金もだしてくれるんじゃない?」

「お父様に甘えて店を出すのは簡単にだけど、私は自分の力でやりたいの!」


力説するあまりイスから立ち上がってラルフにつめより、鼻息が荒くなってしまった。

クロヴィスは馬を落ち着かせるように、私に“どうどう”としてきた。…ちょっと失礼ね。




咳払いをして、私は真剣に話しを続ける。


「売上の5%が私の取り分、これで取引してくれる人いると思う?」


そう、ラルフに聞きたかったのはこれなんだ。

企画書と言っているけど、実は詰めがかなり甘い。構造や仕組みを全ては理解していないから、一緒に作り上げてくれる仲間が必要なんだけど、私の取り分も欲しい!

という我儘な取引だ。

こんな取引をしてくれる人いるんだろうか?





ラルフは顎に手を当てて考え込み、企画書を見つめたまま黙ってしまった。

…やっぱり難しいのかなぁ
これが上手くいかないなら、他の稼ぎ方を探さないといけない




「来週、うちに来てくれない?俺だけじゃ判断できないから、親父にも見てもらいたい」

「へ?ラルフのお父様に!?」



思わない回答に声が裏返ってしまった。

商業の才能がある方に、私の企画書を見ていただけるなんて光栄すぎるけど!緊張してしまうわ!!



「私もついて行ってもいいかい?」

「あぁ、寧ろクロヴィスも契約内容を把握してくれた方がいい。…シャルロットだけでは不安だからな」

「クロヴィスが面倒みないとダメみたいに言わないでよ。一応、私が姉なのよ!?」



思わずツッコミを入れると、ラルフとクロヴィスに笑って誤魔化された。

…最近、両親や使用人にもそんな扱いをされる。まるでクロヴィスがいないと何もできないみたいな!










後日、スチュアート家に招待された私達は、ラルフの家を訪ねた。


ラルフのお父様は、サイモン・スチュアート様。筋肉質で大柄な体なため威圧感がある。

そんなサイモン様がまじまじと、つたない企画書をみている状況。



「ほう…これは素晴らしいですね」

「私の知識だけでは足りないところがあるので、協力してくれる人を探しているのです」


顎に手を当てながら考えているサイモン様の姿が、ラルフと重なった。まるで将来のラルフを見ているような気持ちになる。

…ちょっとだけ、張り詰めいてた気が抜けた


そこから一通り説明をした。
自分の店を開くための資金を集めていること、利益のこと、これ以外にも開発したい商品があること。

サイモン様は子どもの話だからと適当にあしらうことなく、最後まで真剣に話を聞いてくれた。




「結論から申し上げますと、うちでやらせて貰えないでしょうか?開発から販売までツテがあり、シャルロット様に損はさせません」

「へ?いいのですか!?」


思ってもみない申し出に、思わずイスから立ち上がり大声を出してしまった。隣にいたクロヴィスに注意され、やってしまったと恥ずかしく顔に熱が集まる。

サイモン様は令嬢らしくない私の行動に一瞬驚いたようだったけど、私に負けない大声で“がはは”と豪快に笑った。



「うちの息子が、なぜシャルロット様と仲良くなったのか不思議だったのですが理解できました」

「お恥ずかしいところをお見せして申し訳ありません…」

「いやいや、公爵家の令嬢が男爵家に畏まらなくていいのですよ」

「私が尊敬するかたを敬っているだけです!そこに爵位は関係ありません!」



私がはっきり言い切ると、サイモン様は優しく微笑み、ラルフの頭に手を置いた。

「いい友達を見つけたな」
「…はい」

照れたように頷いたラルフ。そんな風に思ってくれていることに、私も嬉しくなった。





詳しい契約内容は後日、書面で送ってくれることになり、無事に商品開発が進められるようになった。


商品を開発するためにいい職人さんを紹介してもらい、頭を下げて直談判をする予定でいた。

しかし、スチュアート商会が間に入ってくれることで、私はできた商品を確認するだけ。時間や校数、手間がかなり減った。

その変わりに、新しく考えた企画なども全てスチュアート商会を通すことになった。私の発想を独占することで、スチュアート商会の利益になるみたい。


…前世の記憶が役になってよかったわ



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