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生徒会
しおりを挟む「クロヴィ「クロヴィス様、ここの問題なんですけど、回答よりこちらの方が素敵な解き方ではありませんか?」
私の言葉を遮るように、コレット様がクロヴィスに話しかけた。…これで3度目だから偶然ではなく、きっとわざとなんだと思う。
ラルフ、私、クロヴィス、コレット様の順で座り、
机を挟み反対側に、
カスティーユ様、会長、ランベール殿下、リリアン様が座っている。
「…ラルフ、この問題わかる?」
「シャルロットと同じ学力の俺に、わかるわけないだろ」
「…だよね」
わからない問題に突き当たるたび、クロヴィスに教えてもらおうと話しかけるんだけど…コレット様に遮られてしまうという状況。
まっっったくテスト勉強にならない。
ランベール殿下に話しかけたらリリアン様が恐ろしいし…
リリアン様に頼める仲でもないし…
会長とカスティーユ様に聞こうとしたらコレット様に捕まっているクロヴィスに、少し待てと睨まれてしまう…
想像していた通り、地獄のような空間だ。
ため息を吐いてノートから視線を上げると、ちょうどカスティーユ様と視線がぶつかった。
「わからないところでもあるのかい?私が教えてあげるよ」
「…いいのですか?」
「うん、自分のテスト勉強は終わっているから」
カスティーユ様は女性が悲鳴をあげてしまいそうな甘い笑顔で、心よく引き受けてくれた。
女性に手が早いチャラ男だと思っていたけど、勉強できて優しいのね。人は見た目では判断できないわ。
カスティーユ様は席を立ち、私の後ろに来た。私の学力をすぐさま理解し、私がわかるように教えてくれた。カスティーユは見かけによらず、教えることがとても上手だ。
…ただ私の肩に手をついているのはいただけないけど、カスティーユ様にとっては癖みたいなものなんでしょう。
「とてもわかりやすかったです、ありがとうございます」
「わからないことがあれば、いつでも声をかけて」
カスティーユ様はそう言い、私の髪を一束とって口づけをした。
…ん?
その状況が理解できずカスティーユ様を見上げて固まっていると、カスティーユ様はウィンクをして自席に戻って行った。
…え?
今、髪にキスされた?
この世界では女性の髪にキスをするとことは、恋人や口説きたい相手にする行為。
その行為を流れるようにし、それが似合ってしまう美形だというのが憎たらしいわ!
男性に耐性がない私は顔が赤くなってしまった。悔しくて睨みつけると、カスティーユ様はからかうように楽しそうに笑った。
…悔しいわ!
「カスティーユ先輩は…いえ、なんでもありません」
ランベール殿下が何かを聞こうとして、リリアン様に睨まれて口を閉ざした。
男性に話しかけることも気を使うのね…リリアン様は独占力が強く、ランベール殿下も大変そうだ。
「ね・ぇ・さ・ん?」
「は、はい!」
隣から恐ろしいく低い声が聞こえ、背筋が凍った。
ゆっくりと横を向くと、コレット様と話していたはずのクロヴィスが額に怒りマークをつけて笑っていた。
…この顔はクロヴィスが本気で怒っているときにする表情!
「未婚の女性が、婚約者でもない男性に肩や髪に触れさせてもいいのでしたか?」
「い、いえ…よくないです」
「そうですよね、私の知らないうちに常識が変わったのかと思いましたよ?」
「カスティーユ様にとっては挨拶代わりのようなもの…かと」
「カスティーユ先輩だけは特別だと?」
「ち、違うわ!」
クロヴィスは更に低い声になり、間違った返答をしてしまったのだと理解した。
変な汗が背中を流れる。
隣にいるラルフに助けを求めようと視線を向けると、巻き込むなと言わんばかりに目を逸らされた。
「今、私と話をしているんだよね?」
「は、はい」
顎を掴まれて、ラルフへ向けていた視線を無理やりクロヴィスに戻された。至近距離で綺麗な顔がお怒りになっており、迫力がとんでもない。
逃げることも、視線をそらすことも許されない。
「ご、ごめんなさい」
「なにに対して謝っているの?」
「男性に肩と髪を触れさせたこと…です」
「そうだね、次からは?」
「…次からは気をつけます」
「うん、次はないからね?」
私が何度も頷くと、クロヴィスは許してくれたみたいで、親が子どもにするように優しく頭を撫でた。いつものクロヴィスに機嫌が戻ったことに安堵し、私はされるがまま撫でられることにした。
…周りの視線が痛い
…一応姉なのに弟にしつけられているところなんて恥ずかし
「聡明なクロヴィス様に対して…シャルロット様はいい噂を聞きません。クロヴィス様の足を引っ張るようなことはしないでください!」
コレット様が真圧な言葉を投げつけてきた。
部屋の空気が凍りつく。
コレット様の言ったことは事実だ。だけど、男爵令嬢が公爵令嬢に不敬にあたる発言なんてあってはならない。
私が常識外れな令嬢でも、貴族社会で皇族の次に高い身分の公爵家だ。それに対してコレット様は、貴族中で1番身分の低い男爵家。
「いつまでもクロヴィス様がいると思わないでください!
シャルロット様は弟離れをするべきです!」
コレット様はあえて私を怒らせようとしているように見える。
私がキレたところで、誰かに泣きつき、悪役令嬢に勇敢に立ち向かうヒロインを演じる算段なのだろう。
…別に怒るようなことを言われたわけでもないし、スルーしてもいいかしら?
と、思っていると…
「私と姉のことに口を挟まないでいただきたい」
「でも、シャルロット様のせいでランチをご一緒できないし、放課後も早く帰って、休日までシャルロット様に振り回されておられるではないですか!」
「私が姉さんと一緒にいたいのです。
それと、いくら学園内とはいえ、公爵令嬢に対して不敬です。」
「私はクロヴィス様のことを思って!」
「今後、姉に対して不敬な発言をすれば、公爵家を通して男爵家に報告させてもらいます」
「そんな!?」
「私達は帰らせていただきます」
何かいいたそうなコレット様を無視して、クロヴィスは生徒会メンバーにそう言い放った。生徒会の方々は無言で頷き、引き留めなかった。
私は困惑したままクロヴィスに手をひかれ、ラルフと一緒に部屋を去った。
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