28 / 99
ドキドキ初デート⑤
しおりを挟む
「いらっしゃいませーっ!」
と、元気な声が店内に響いた。
「こちらへどうぞ」
店員さんに案内された席は、海が見える窓際。太陽に照らされた水面がキラキラしていて、少し眩しい。
でも、とても綺麗で清々しい気分になる。
「いらっしゃいませ。ご来店ありがとうございます!本日のメニューは、『金目鯛のアクアパッツァ』と『サーモンの香草焼き』の二種類になっております。いかが致しますか?」
うぉうっ!どっちも美味しそうじゃない!
うーん。どうしよう……。
悩む私を見かねて、雪ちゃんが「一つずつ頂けます?」と両方を注文してくれた。
「かしこまりました。只今お作りいたします」
ペコッとお辞儀をして店員さんが厨房へ戻る。
「すみません。私、いつもなかなか決められなくて……」
「構わないわよ。シェアして食べましょ」
「はいっ」
嬉しいな、嬉しいな。
お水を一口飲んで雪ちゃんを見る。
煌く水面を、眩し気に目を細めて見ていた。
「……綺麗ですね」
「ええ……」
それだけ言って、また二人で海を眺めた。
お客さんの声やBGMが、心地好く頭の中に響き渡る。
波に身を任せ、ゆらゆら揺れている様な感覚。
しばらくボーッとその感覚に浸っていると、
「あれから……」
「はい?」
「あれから、笹木は会社を休んでいるみたいよ」
と言う雪ちゃんの言葉で、現実に引き戻された。
「そう、なんですか……」
「まあ、無理もないわね。皆がいる前であんな騒ぎ起こして、平気な顔で出社は出来ないわよ」
確かに、そうかもしれない。
私だって、次の日の朝はどんだけ憂鬱だったか。
突然、フフッと雪ちゃんが笑い出した。
「どうしたんですか?」
「いえね、次の日の朝は大変だったな、って。思い出したらおかしくなっちゃって」
「笑い事じゃありませんよ……」
雪ちゃんの言う通り、あの時は大変だった。
出社するや否や女子社員からの質問攻め。
「いつから付き合ってるんだ」
とか、
「どっちから告白したの」
とか、
「もうアッチの方は済んでるの?」
とか、下世話な事まで。
廊下を歩けばヒソヒソ話が聞こえるし、
『難攻不落の津田部長を落とした魔性の女』
『二人の男を手玉に取る魔性の女』
なんてレッテル貼られるし……。
どっちにも「魔性の女」が付いて胸くそ悪いったら。
もうもう、とにかくある事ない事ウワサが一人歩きして、全然収拾が付いていない。
「アタシ達、手玉に取られちゃったのね」
当然そのウワサは雪ちゃんの耳にも届いている様で、からかい混じりにイジられる。
「違いますってば!ホント、止めて下さいよ……」
私は本当にイヤで、涙目になりながら抗議する。
「ごめん、ごめん。でも、会社でそのウワサを聞いた時、笑い堪えるの必死だったわよ」
今の雪ちゃんも、必死に笑いを堪えている。
「他人事だと思って……」
ぶぅ、と頬を膨らませると、
「ホラホラ、可愛い顔が台無しよ」
頬をツンッと突つかれた。
「お待たせいたしました!」
突つかれた頬をさすっていると、元気な店員さんが料理を運んで来た。
「金目鯛のお客さまは……」
「ああ、両方真ん中に置いて頂戴。あと、取り皿頂けるかしら?」
「かしこまりました」
雪ちゃんがテキパキと指示を出し、料理が並べられる。
と、元気な声が店内に響いた。
「こちらへどうぞ」
店員さんに案内された席は、海が見える窓際。太陽に照らされた水面がキラキラしていて、少し眩しい。
でも、とても綺麗で清々しい気分になる。
「いらっしゃいませ。ご来店ありがとうございます!本日のメニューは、『金目鯛のアクアパッツァ』と『サーモンの香草焼き』の二種類になっております。いかが致しますか?」
うぉうっ!どっちも美味しそうじゃない!
うーん。どうしよう……。
悩む私を見かねて、雪ちゃんが「一つずつ頂けます?」と両方を注文してくれた。
「かしこまりました。只今お作りいたします」
ペコッとお辞儀をして店員さんが厨房へ戻る。
「すみません。私、いつもなかなか決められなくて……」
「構わないわよ。シェアして食べましょ」
「はいっ」
嬉しいな、嬉しいな。
お水を一口飲んで雪ちゃんを見る。
煌く水面を、眩し気に目を細めて見ていた。
「……綺麗ですね」
「ええ……」
それだけ言って、また二人で海を眺めた。
お客さんの声やBGMが、心地好く頭の中に響き渡る。
波に身を任せ、ゆらゆら揺れている様な感覚。
しばらくボーッとその感覚に浸っていると、
「あれから……」
「はい?」
「あれから、笹木は会社を休んでいるみたいよ」
と言う雪ちゃんの言葉で、現実に引き戻された。
「そう、なんですか……」
「まあ、無理もないわね。皆がいる前であんな騒ぎ起こして、平気な顔で出社は出来ないわよ」
確かに、そうかもしれない。
私だって、次の日の朝はどんだけ憂鬱だったか。
突然、フフッと雪ちゃんが笑い出した。
「どうしたんですか?」
「いえね、次の日の朝は大変だったな、って。思い出したらおかしくなっちゃって」
「笑い事じゃありませんよ……」
雪ちゃんの言う通り、あの時は大変だった。
出社するや否や女子社員からの質問攻め。
「いつから付き合ってるんだ」
とか、
「どっちから告白したの」
とか、
「もうアッチの方は済んでるの?」
とか、下世話な事まで。
廊下を歩けばヒソヒソ話が聞こえるし、
『難攻不落の津田部長を落とした魔性の女』
『二人の男を手玉に取る魔性の女』
なんてレッテル貼られるし……。
どっちにも「魔性の女」が付いて胸くそ悪いったら。
もうもう、とにかくある事ない事ウワサが一人歩きして、全然収拾が付いていない。
「アタシ達、手玉に取られちゃったのね」
当然そのウワサは雪ちゃんの耳にも届いている様で、からかい混じりにイジられる。
「違いますってば!ホント、止めて下さいよ……」
私は本当にイヤで、涙目になりながら抗議する。
「ごめん、ごめん。でも、会社でそのウワサを聞いた時、笑い堪えるの必死だったわよ」
今の雪ちゃんも、必死に笑いを堪えている。
「他人事だと思って……」
ぶぅ、と頬を膨らませると、
「ホラホラ、可愛い顔が台無しよ」
頬をツンッと突つかれた。
「お待たせいたしました!」
突つかれた頬をさすっていると、元気な店員さんが料理を運んで来た。
「金目鯛のお客さまは……」
「ああ、両方真ん中に置いて頂戴。あと、取り皿頂けるかしら?」
「かしこまりました」
雪ちゃんがテキパキと指示を出し、料理が並べられる。
23
あなたにおすすめの小説
【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました
藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。
次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。
定時で帰りたい私と、残業常習犯の美形部長。秘密の夜食がきっかけで、胃袋も心も掴みました
藤森瑠璃香
恋愛
「お先に失礼しまーす!」がモットーの私、中堅社員の結城志穂。
そんな私の天敵は、仕事の鬼で社内では氷の王子と恐れられる完璧美男子・一条部長だ。
ある夜、忘れ物を取りに戻ったオフィスで、デスクで倒れるように眠る部長を発見してしまう。差し入れた温かいスープを、彼は疲れ切った顔で、でも少しだけ嬉しそうに飲んでくれた。
その日を境に、誰もいないオフィスでの「秘密の夜食」が始まった。
仕事では見せない、少しだけ抜けた素顔、美味しそうにご飯を食べる姿、ふとした時に見せる優しい笑顔。
会社での厳しい上司と、二人きりの時の可愛い人。そのギャップを知ってしまったら、もう、ただの上司だなんて思えない。
これは、美味しいご飯から始まる、少し大人で、甘くて温かいオフィスラブ。
貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
玖羽 望月
恋愛
朝木 与織子(あさぎ よりこ) 22歳
大学を卒業し、やっと憧れの都会での生活が始まった!と思いきや、突然降って湧いたお見合い話。
でも、これはただのお見合いではないらしい。
初出はエブリスタ様にて。
また番外編を追加する予定です。
シリーズ作品「恋をするのに理由はいらない」公開中です。
表紙は、「かんたん表紙メーカー」様https://sscard.monokakitools.net/covermaker.htmlで作成しました。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
借りてきたカレ
しじましろ
恋愛
都合の良い存在であるはずのレンタル彼氏に振り回されて……
あらすじ
システムエンジニアの萩野みさをは、仕事中毒でゾンビのような見た目になるほど働いている。
人の良さにつけ込まれ、面倒な仕事を押しつけられたり、必要のない物を買わされたり、損ばかりしているが、本人は好きでやっていることとあまり気にしていない。
人並みに結婚願望はあるものの、三十歳過ぎても男性経験はゼロ。
しかし、レンタル彼氏・キキとの出会いが、そんな色の無いみさをの日常を大きく変えていく。
基本的にはカラッと明るいラブコメですが、生き馬の目を抜くIT企業のお仕事ものでもあるので、癖のあるサブキャラや意外な展開もお楽しみください!
数合わせから始まる俺様の独占欲
日矩 凛太郎
恋愛
アラサーで仕事一筋、恋愛経験ほぼゼロの浅見結(あさみゆい)。
見た目は地味で控えめ、社内では「婚期遅れのお局」と陰口を叩かれながらも、仕事だけは誰にも負けないと自負していた。
そんな彼女が、ある日突然「合コンに来てよ!」と同僚の女性たちに誘われる。
正直乗り気ではなかったが、数合わせのためと割り切って参加することに。
しかし、その場で出会ったのは、俺様気質で圧倒的な存在感を放つイケメン男性。
彼は浅見をただの数合わせとしてではなく、特別な存在として猛烈にアプローチしてくる。
仕事と恋愛、どちらも慣れていない彼女が、戸惑いながらも少しずつ心を開いていく様子を描いた、アラサー女子のリアルな恋愛模様と成長の物語。
涙のあとに咲く約束
小田恒子
恋愛
事務系の仕事に転職したばかりの松下理緒は、総務部の藤堂がシングルファーザーではないかという噂を耳にする。
噂を聞いた後、偶然藤堂と小さな男の子の姿を見かけ、男の子が落とした絵本をきっかけに親しくなる。
家族持ちの藤堂にどうしようもなく惹かれていく。
そんなある日、真一は事故で亡くなった兄夫婦の子で、藤堂が自分の子どもとして育てていると知ったた理緒は……
ベリーズカフェ公開日 2025/08/11
アルファポリス公開日 2025/11/28
表紙はぱくたそ様のフリー素材
ロゴは簡単表紙メーカー様を使用
*作品の無断転載はご遠慮申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる